薬剤師のしぐです。
今回のタイトル。
アトピー性皮膚炎は、治療可能な疾患になりました
こう断言する医師が増えています。
デュピクセント皮下注を使用している患者さんも、
「すごく調子が良くて、ほとんど症状も落ち着いてる。」
という方が自分の薬局だけでも数名いらっしゃいます!
これまでこのアトピー性皮膚炎の症状をここまで抑制してくれるお薬があったでしょうか。
自分が薬剤師になって10数年。けっこうインパクトのあるお薬となりました。
アトピー性皮膚炎による各種症状で、こんなにデメリットがでているようです。
そんなデュピクセント皮下注について、まとめてみるよ。
一緒にアトピー性皮膚炎について、基本的なところから、最近学んだ話題もいくつか書いてくのでみてみてね
デュバルマブ〈デュピクセント〉アトピー性皮膚炎治療で初の抗体医薬品
2018年に承認がおりたデュビルマブ(デュピクセント)皮下注。
承認当時は院内での投与に限定されていたのですが、昨年の夏頃かな?
院外処方にて自己注可能となりました。それで自分の薬局の門前病院も患者から強い希望がない限り原則院外処方での対応となりました。
今のところ、このデュピクセント皮下注処方患者さんの8割近くを自分の薬局で応需できてるという状況です。
ちなみに、適応、効能効果は全く違うけど同じ「モノクローナル抗体医薬品」はコチラ
脂質異常症治療薬のアリロクマブ〈プラルエント皮下注〉
抗がん剤のベバシズマブ〈アバスチン〉
「〜マブ」は、モノクローナル抗体医薬品につけられる名称なんですよね!
デュビルマブ〈デュピクセント皮下注〉の作用機序について
デュピクセント皮下注は、IL-4とIL-13によるシグナル伝達を阻害しアトピー性皮膚炎の病態に深く関与するTh2型炎症反応を抑える、世界初のヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体(生物学的製剤)です。
IL-4受容体複合体(IL-4Rα/γcもしくはIL-4Rα/IL-13Rα1)及びIL-13受容体複合体(IL-4Rα/IL-13Rα1)に共通のIL-4受容体αサブユニット(IL-4Rα)に特異的に結合することにより両受容体複合体の形成を阻害し、IL-4、IL-13の両方のシグナル伝達を阻害する遺伝子組換えヒト型モノクローナル抗体。
IL-4RαはIL-4とIL-13が結合する共通の受容体のため、デュピクセントはIL-4とIL-13の受容体への結合を共に阻害することが可能ということになります。
このIL-4/13の関連する症状としては、炎症以外にも「皮膚バリア機能低下」もあります。
デュビルマブ〈デュピクセント皮下注〉効能効果
- 既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎
- 気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)
さらに、このデュピクセント皮下注は適応拡大となっております。
デュピクセント皮下注の用法用量
アトピー性皮膚炎
通常、成人にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として初回に 600mg を皮下投与し、その後は 1回300mgを2週間隔で皮下投与します。
気管支喘息
通常、成人及び12歳以上の小児にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として初回に600mgを皮下投与し、その後は1回300mgを2週間隔で皮下投与する。
用法用量に関連する使用上の注意
アトピー性皮膚炎の場合
本剤による治療反応は、通常投与開始から16週までには得られる。16週までに治療反応が得られない場合は、投与中止を考慮すること。
デュビルマブ〈デュピクセント皮下注〉の使用方法
デュビルマブ〈デュピクセント皮下注〉の投与経路
投与前に45分以上かけて室温に戻しておくことが望ましい。
溶液が白濁したり、着色したり、微粒子がみられた場合及びシリンジに損傷がみられた場合には本剤は使用しないこと。
投与直前まで本剤の注射針のキャップを外さないこと。キャップを外したら直ちに投与すること。
デュビルマブ〈デュピクセント皮下注〉の投与部位
皮下注射は腹部、大腿部又は上腕部に行うこと。腹部へ投与する場合は、へその周り5cmを外して投与すること。同一箇所へ繰り返し注射することは避けること。
正常な皮膚の部位に注射すること。皮膚が敏感な部位、皮膚に損傷、打撲や傷のある部位、アトピー性皮膚炎の強い炎症を伴う部位には注射しないこと。
デュビルマブ〈デュピクセント皮下注〉と他の薬剤と混合しないこと。
本剤は1回使用の製剤であり、再使用しないこと。
デュビルマブ〈デュピクセント皮下注〉を投与するにあたっての条件
治療を受ける側の条件
成人アトピー性皮膚炎と診断されており、かつステロイド外用剤やプロトピック軟膏にて6ヶ月以上治療を行っている患者さん(あるいは、副作用や過敏症のため、これらの外用療法が継続できない)
次の3つの項目を判定して、一定のスコア以上である必要があります。
- IGAスコアが3以上
- 全身又は頭頸部のEASIスコア が16以上
- 体表面積に占めるアトピー性皮膚炎病変の割合(%)が10%以上
これらのスコアは、医師が皮疹の状態を見て判定します。
医師側の条件
医師免許取得後2年の初期研修を終了した後に、5年以上の皮膚科診療の臨床研修を行っていること。
デュビルマブ〈デュピクセント皮下注〉の副作用
主な副作用
注射部位反応29例(7.2%)、頭痛12例(3.0%)、アレルギー性結膜炎7例(1.7%)
重大な副作用
アナフィラキシー(0.1%未満)が報告されている。血圧低下、呼吸困難、意識消失、めまい、嘔気、嘔吐、そう痒感、潮紅等があらわれることがあるので、本剤投与時には観察を十分に行い、異常がみられた時には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
むしろ、アナフィラキシーのみなんですよね。
このてのお薬にしては、すごく安全なイメージ。
デュピクセント皮下注の薬価
- デュピクセント皮下注300mgシリンジ:83152円/本
自分の薬局で処方される方はみなさん1回に6本で3ヶ月分の処方です。
こんなの保険がないと使えないですよね、、、。
デュピクセント皮下注についてのまとめ
- 世界初のアトピー性皮膚炎に適応のある遺伝子組換えヒト型モノクローナル抗体。
- デュピクセント皮下注のみの治療で症状がガラッと落ち着く患者さんが多い。
- 1本83152円!!
とりあえずデュピクセント皮下注については、こんな感じですねー。
以下は、アトピー性皮膚炎の治療で自分が「ほうほうっ」って思ったこと。
デュピクセント皮下注ペンの承認取得!新剤型で利便性向上
2020.9に、下記案内が届きました。
サノフィは9月18日、アトピー性皮膚炎などに用いるヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体・デュピクセント(一般名:デュピルマブ(遺伝子組換え))について、在宅自己注射時の利便性の向上が期待できる「デュピクセント皮下注300mgペン」の承認を取得したと発表した。
これまでのシリンジ製剤「デュピクセント皮下注300mgシリンジ」に今回、オートインジェクター製剤が加わることになる。デュピクセントの在宅自己注射は2019年5月から保険適用されている。
デュピクセントは、▽既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎▽気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)▽鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)――の適応で承認されている。
今やシリンジ製剤の方が少ないですからね。
以前はヒュミラ皮下注やエンブレル皮下注もシリンジでしたが、今はほぼほぼペン型が主流ですよね。
プロアクティブ療法
寛解が導入された後にもステロイド等抗炎症外用剤を間欠的に投与し寛解状態を維持する方法です。
再燃を繰り返す皮疹に対して、治療による寛解導入の後に抗炎症外用薬を定期的に(1日おきや、2日1回など)塗布し、寛解状態を維持しつつ抗炎症剤使用の間隔をあけていく治療法です。
シクロスポリン〈ネオーラル〉が適応になるアトピー性皮膚炎患者
「16歳以上の既存治療で効果不十分で強い炎症を伴う
皮疹が対表面積の30%以上に及ぶ最重症患者」
上記患者が適応となります。
ただ、全アトピー性皮膚炎患者のホントに数%程度しか対象にならないようです。
「T細胞に特異的に作用しIL-2などのサイトカイン産生を抑制する」という作用機序で皮膚の炎症を抑制します。
ちなみに、タクロリムス外用薬と、このシクロスポリンは元々妊婦さんへは禁忌でした。2018年の7月に添付文書が改定され、妊婦さんへの投与が可能となりました。
さらにさらに、タクロリムスは外用薬はアトピー性皮膚炎に適応あるけど、内服では適応がないんだよね。商品名はプログラフですね。
何よりも重要なのは保湿剤
2014年に、「新生児から保湿剤を全身に塗布することで、アトピー性皮膚炎の累積発症率が約3割減った」という日本国内での研究発表がありました。
アトピー性皮膚炎と診断されてからも、保湿は基本的な治療。
診断されなくても、保湿が1番の予防効果があるってことですね。
以前まとめた保湿剤「ヘパリン類似物質〈ヒルドイド〉」の内容がコチラ!
あと、保湿剤を塗布するタイミング。
上の記事内にも書いてるけど、一般的には入浴直後にできるだけ速やかに塗布するのが効果的と言われています。入浴中に皮膚が吸収した水分が10分程度で元に戻ってしまうので、その前にその水分が逃げないように保湿剤を塗ってしまおうというのが根拠なんだとか。
ただ、実際に入浴直後に塗布したほうが効果が高いというエビデンスはなく、逆に入浴直後でも30分後でも1時間後でも差がないという海外での報告があるんだって。
アトピー性皮膚炎と汗
症状悪化因子としてとらえられがちな汗。
でも、この汗は「汗をかくこと(発汗)」と「かいた後の汗」に区別して考える必要があります。かいた汗により症状が悪化するのは事実ですが、発汗後の汗をしっかり管理することで、逆に皮疹が著明に改善することもあるからです。
その理由として、「汗の機能」が関係します。
汗の機能は、体温調節・保湿・感染防御・皮脂膜形成による皮膚のバリア効果など。
かいた汗が乾くと、塩分のみが皮膚に残り刺激になってしまいますが、汗にはこんなに大事な機能があったんですねー。
なので、汗は「かかないように気をつける」のではなく、「かいた後のケアをしっかり行う」ことが重要てことですね!
水道水でいいので簡単に流す、ぬれた布でふき取るなどで十分みたい。
今回はこんな感じーー!
他にも「アレルギーマーチ」や「ステロイドによる黒ずみ」などなど話題はいくつかありますが、また今度まとめます。
ではではーしぐでしたっ
あまり特集されることのない皮膚疾患。
日経DIクイズの総集編です。
みなさんご存知のとおり、日経DIのクイズはすごく勉強になるんですよね。
ために見当違いの内容もあったりしますが、ココでしか学べない内容も多数あります。
ぜひぜひ、みてみてくださいねー
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