薬剤師のしぐです!
今回は2019.2くらいに発売されたタリージェ錠について!
整形外科さんなんかではすでに結構使われてますよね。
新薬でしたが、2020.3から14日処方制限も解除になりました。
心待ちにしている医師も多く、倍量処方やら何やら、変に複雑化されている処方を受けることもしばしばありましたが。これでなんとか通常の処方になりそうです。
ではっタリージェについてまとめますよ。
ミロガバリン〈タリージェ錠〉の作用機序
タリージェは、第一三共が創製したα2δリガンド(電位依存性カルシウムチャネルのα2δサブユニットに結合する物質)。
α2δリガンドは、電位依存性カルシウムチャネルのα2δサブユニットに結合する物質です。神経の痛みには脳内の神経細胞が深く関わっていて、神経細胞を興奮させるシグナルのひとつにカルシウム(Ca)イオンがある。神経細胞(シナプス前終末)にCaイオンが流入すると興奮性神経伝達物質が過剰に放出されて疼痛(痛み)が引き起こされると考えられている。
本剤(ミロガバリン)は、シナプス前終末におけるCaイオンの通り道となる電位依存性カルシウムチャネルのα2δサブユニットという部位に強力かつ特異的に結合し、このチャネルからのCaイオンの流入を抑え興奮性神経伝達物質の過剰な放出を抑えることで鎮痛作用をあらわすとされている。
つまり、神経の過剰な興奮を抑え、神経伝達物質の過剰な放出を抑えることで鎮痛作用をあらわすということです。
神経障害性疼痛は神経系に起因する感覚障害であり、自発痛、痛覚過敏,およびアロデイニア(異痛症)などの症状が特徴的である。その発症 メカニズムは非常に複雑であり、いまだ不明な点が多い。
ミロガバリン〈タリージェ錠〉の特徴α2δ-1サブユニットとは
電位依存性カルシウムチャネル はα1、α2、β、γ、δの5種のサブユニットで構成されており、α2δ-1サブユニットに対する高親和性リガンドは、シナプスにおける神経伝達物質の放出を制御して、非常に優れた疼痛治療効果を発揮することから、現在注目を集めている。
α2δ-1は,神経障害に伴って脊髄および脊髄後根神経節(DRG)での発現が増加することがこれまでに報告されており、ガバペンチンやプレガバリンといったα2δ -1リガンドが三環系抗うつ薬とともに神経障害性疼痛治療において第一選択薬として広く用いられてきている。
しかし ながら、α2δ-1サブユニットの疼痛発現抑制メカニズムについては不明な点も多い。α2δ-1が機械的痛覚および冷痛覚刺激の伝達に重要であることが行動学的生理学的に明らかにされ、α2δ-1リガンドによる疼痛抑制メカニズムの一部であると考えられる。
一方,神経障害に伴ってα2δ-1 のDRGにおける発現増加が引き起こされるが,他サブユニットの発現変化は認められなかった。
α2δ-1が神経障害後、早い段階において疼痛発現に関与していることが明らかとなり、α2δ-1が鎮痛効果だけでなく、神経障害性疼痛発現自体にも関与していることが推測される。一方、ガバペンチンやプレガバリンの作用機序として、上位中枢等の関与も一部報告されていることから、今後の更なる研究が期待される。
ミロガバリン〈タリージェ錠〉の適応、効能効果
タリージェは、糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)・帯状疱疹後神経痛(PHN)患者を対象とし、「末梢性神経障害性疼痛(PNP)」を適応として、国内製造販売承認を取得した。
PNPは、さまざまな原因によって末梢神経に損傷や機能異常が起こり生じる痛みで、代表的なものにDPNPやPHNなどがある。
DPNPは、神経の損傷によって引き起こされる末梢性神経障害性疼痛の代表的な疾患。糖尿病性末梢神経障害は、四肢の神経障害や知覚麻痺を引き起こす疾患で、最も一般的で長期化する糖尿病の3大合併症のひとつ。
症状として、激しい痛み、痛覚過敏、しびれ、平衡および筋肉運動障害、灼熱痛、刺痛などがあり、夜間に痛みが増すことが多く、睡眠障害に至ることもある。日本で1,000万人を超えると推測される糖尿病患者のうち、DPNPに罹患している患者の割合は9~22%と報告されている。
また、PHNは、神経の損傷によって引き起こされる末梢性神経障害性疼痛の代表的な疾患で、帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスが神経節内に潜伏感染し、ウイルスに対する免疫力が低下することで発症。
帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹が治癒した後も焼けるような痛みや電気が走るような痛みが持続し、まれに筋力の低下や麻痺を引き起こす難治性疼痛のひとつと考えられている。日本で年間に50~60万人が発症している帯状疱疹患者のうち、PHNに罹患している患者の割合は10~25%とされている。
治療期間の目安は4週間と言われてますね。
タリージェやリリカを用いる神経障害性疼痛とは
神経障害性疼痛は、国際疼痛学会により「体制感覚神経系の病変や疾患によって引き起こされる疼痛」と定義されています。
原因となる神経の損傷部位の位置により「末梢神経障害性疼痛」と「中枢神経障害性疼痛」の2つに分けられます。
上記の通り、タリージェ錠はこの末梢神経障害性疼痛にのみ適応を持ってます。
ちなみに、リリカ(プレガバリン)の適応は「神経障害性疼痛」と「線維筋痛症に伴う疼痛」なんだよね。
そう、「神経障害性疼痛」ってことは、末梢性にも中枢性にも使えるってこと。
適応は、リリカの方が少し広いてことですね。
※「痛み」については「実際になんらかの組織損傷が起こった時、あるいは組織損傷が起こりそうな時、あるいはそのような損傷の際に表現されるような、不快な感覚体験および情動体験」というふうに定義されています。
ミロガバリン〈タリージェ錠〉の副作用
神経の興奮を抑える作用の仕組みからミロガバリンの主な副作用として、めまいや眠気などの精神神経系症状があらわれることがあり、特に高齢者などにおいてはより注意が必要となる。
プレガバリンとの大きな違いは副作用の発現頻度で、用量依存的に副作用が増えていく傾向にあるプレガバリンに対して、ミロガバリンは用量とは関係なく、増量しても副作用の頻度は高くない。もともとミロガバリンは中枢への移行性も低いみたいです。
体重増加の副作用が見られるようであれば、食事療法・運動療法を取り入れる。
視覚障害を起こすこともあるので、定期的な問診・異常の有無確認が必要になります。
ミロガバリン〈タリージェ錠〉の半錠や1包化での改良点
あ、あと大事なのが1包化・半錠不可!!割線あるのに!!!
こんなに規格が多いのに!!!!気をつけてください。
先日普通に1回0.5錠での処方が来て、他薬剤師が普通に半錠してました、、、。
勉強会でダメって言われたよね?ちょっとちょっと。
割線あるからわっちゃうよねーー。わかるわかる。でも、ダメだから。
と、騒いでいたのも今は昔。2020.3以降、製品の安定性に改良を加えてくれたらしく、なんとなんとまさかの1包化・半錠・粉砕可能な製剤として生まれ変わったのですこのタリージェ錠!!
もう1度言います。
1包化・半錠・粉砕が可能になりました!!!
そして、いただいた資料がこちら。
あと、錠剤の刻印も変わります。1包化できるようになったので、1包化した時の鑑査に向けての改良でしょうか。すごく、助かる!!!
ついでじゃないけど、タリージェ錠2.5mgだけ、錠剤の形も変わります。謎に。
自分の薬局でも、2020.7納品分のタリージェ錠2.5mgが既に丸い錠剤に変更されていました。もう一般的に出回っているってことですね。
タリージェの名前の由来
名前の由来は「Target」のTAR と「ligand」のLIG。最後のジェはおまけ。
タリージェと同系統既存薬プレガバリン〈リリカ〉について
あと、プレガバリンはOD錠の苦味を気にしてる先生も多いですよね〜。
その苦味でコンプライアンス不良になったら困るからってカプセルでの処方も結構多い我が薬局。うーーーむ。調剤過誤の種がこんなところにも。
新薬タリージェの処方日数制限解除
大事なのが、ここですよねー
予定では2020.3から。制限なく処方可能になります。
本格的に需要が高まるのはココからですかねーーー。
最後に、メーカーさんからイイ感じの資料もらったので貼っとくね。
こんな感じですね〜
余談ですが、ヒートがカラフルですごくキレイでした!!2.5mgの色の組み合わせってなかなかみなくないですか??センスを感じますよね〜〜
タリージェ錠に関する【追記】※処方制限解除直前
自分の門前病院ですが、すごく、倍量処方が多いです。
最近は他のお薬が28日分なのに、「タリージェ錠だけ4錠2x朝夕食後14日分」とか。
なんか、、、難しいよね。
法律は守ろうよとは思うけど、いいお薬なのに2週間までしか使えないっていう矛盾。
うーーーーむ。
個別指導では必ずツツかれるんだよね。
やだなー。
処方量は増えてるけど、副作用を訴える患者さんはあまりいないんですよね。
やはり副作用は少ないのかな。といった印象。
こちら、ついに製造販売承認されたプレガバリン〈リリカOD錠〉の内容です
ではではっ。しぐでした!
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