免疫チェックポイント阻害薬の作用機序。PD-1やPD-L1、CTLA-4まとめ

薬剤師のしぐです。

今回は、今や抗がん剤治療の主役と言っても過言ではない「免疫チェックポイント阻害薬」の作用機序についてまとめてみます。

正直、病院から発行される「レジメン情報提供文書」でもよく使用されている印象にあるこの免疫チェックポイント阻害薬。

よく目にする免疫チェックポイント阻害薬として「ニボルマブ〈オプジーボ〉」「ペムブロリズマブ〈キイトルーダ〉」「デュルバルマブ〈イミフィンジ〉」あたりになります。

どれも【〜マブ】なので、モノクローナル抗体ですね〜

では、今回は各薬剤の特徴というより、「免疫チェックポイント阻害薬の作用機序」というテーマでまとめてみます。

免疫チェックポイント阻害薬の作用機序の解説!

免疫システムには刺激因子と免疫抑制因子があります。

刺激因子には、T細胞を活性化させがん細胞などの異物を排除する働きがあり、免疫抑制因子には逆にT細胞の過剰な活性化を抑制し、免疫恒常性を保つ役割があります。

免疫抑制因子免疫チェックポイント分子と総称され、代表的なものとしてT細胞上に発現するPD-1(Programmed cell Death-1)CTLA-4(Cytotoxic T Lymphocye-associated Antigen-4)、そして正常組織を含む様々な細胞、特にある種のがん種の腫瘍細胞の表面に高い頻度で発現するPD-L1(Programmed cell Death Ligand 1)がある。

キーワード:免疫チェックポイント分子
  • PD-1:T細胞上に発現
  • CTLA-4:T細胞上に発現
  • PD-L1:がん細胞を含む様々な細胞表面に発現

癌細胞が発現する腫瘍関連抗原は、抗原提示細胞に取り込まれ、T細胞を活性化し癌細胞を排除するようになるが、腫瘍細胞は、免疫チェックポイントをアップレギュレートすることで、このような免疫監視機構から逃避するという能力を持っています。

例えば、がん細胞はPD-L1というアンテナを出して、がんを攻撃するT細胞にあるPD-1と呼ばれる受容体に結合し、T細胞の攻撃から逃れることができます。

逆に、T細胞上のPD-1受容体に蓋(ふた)をして、がん細胞のPD-L1が結合しないようにすれば、がん細胞がT細胞の攻撃にブレーキをかけられないようにすることができるというわけです!

ここに作用するお薬が、免疫チェックポイント阻害薬になります。

T細胞に発現する免疫チェックポイント受容体であるPD-1は、抗原提示細胞表面のリガンド及び癌細胞表面のリガンド(PD-L1またはPD-L2)と相互作用し、T細胞の活性化を抑制するが、これらの免疫チェックポイント分子を標的とするモノクローナル抗体である免疫チェックポイント阻害薬を投与することで、T細胞に対するブレーキが外れ、T細胞による抗腫瘍効果が発揮されるようになるというわけですね。

そこで、PD-1にピンポイントで結合する抗体である免疫チェックポイント阻害薬を利用し、PD-1受容体に対する蓋の役割をさせることによって、「T細胞上のPD-1受容体」と「がん細胞上のPD-L1」が結合できないようにします。

その結果、がん細胞によりブレーキがかかり、はたらきが弱くなったT細胞が再び活性化してがん細胞を攻撃し、がん細胞の増殖を食い止めることができると考えられているわけです。

免疫チェックポイント阻害薬は高価な薬剤であり、今後の課題として費用対効果も含めた議論が行われているようです。

PD-1:T細胞上に発現

PD-1(Programmed cell Death-1)は、「T細胞表面に発現する抑制性受容体」ということ!

PD-L1:がん細胞を含む様々な細胞表面に発現

PD-L1(Programmed cell Death Ligand 1)は、「がん細胞を含む多くの細胞上に発現するリガンド」ということ!!

PD-1・PD-L1に対する免疫チェックポイント阻害薬

基本的に、免疫チェックポイント阻害薬というと、この「PD-1とPD-L1の結合を阻害」する作用機序になります。

  • ニボルマブ〈オプジーボ〉:小野薬品
  • ペムブロリズマブ〈キイトルーダ〉:MSD
  • アテゾリズマブ〈テセントリク〉:中外製薬
  • アベルマブ〈バベンチオ〉:メルクバイオファーマ
  • デュルバルマブ〈イミフィンジ〉:アストラゼネカ

これがこのPD-1・PD-L1の結合阻害を作用機序とする免疫チェックポイント阻害薬の一覧です。

今後は各薬剤の特徴や比較等まとめていきます!

CTLA-4:T細胞上に発現

CTLA-4(Cytotoxic T Lymphocye-associated Antigen-4)は、「T細胞表面に発現する抑制性受容体」の1つということ!

CTLA-4に対する免疫チェックポイント阻害薬

  • イピリムマブ〈ヤーボイ〉:BMS

このCTLA-4をターゲットにする免疫チェックポイント阻害薬は今のところこのイピリムマブ〈ヤーボイ〉1剤しかないんですよね。

ちなみに、この「T細胞上のCTLA-4」は、「抗原提示細胞のCD80・CD86」と結合することで腫瘍抗原特異的なT細胞の機能低下を起こします。

そこを阻害することで、腫瘍の増殖を抑制するという作用機序なわけですね。

今回はこんな感じです。

免疫チェックポイント阻害薬の作用機序についてまとめてみました。

PD-1、PD-L1、CTLA-4の発現場所さえ理解してしまえばすごく簡単ですよねー

しっかりまとめられてる参考書のリンクも貼っておきます。

ではではーしぐでしたっ

コメント

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