2026年から栄養剤に処方理由が必要?イノラス・エンシュア・ラコールの対象薬と薬局対応を解説

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2026年から栄養保持目的医薬品に必要となった処方理由を解説

こんばんは。薬剤師のしぐです。

2026年度診療報酬改定で、薬局現場でもかなり気になる変更がありました。

それが、

イノラス、エンシュア、ラコールなどの「栄養保持を目的とした医薬品」の取扱い。

2026年6月以降、一定の栄養保持目的の医薬品を外来患者さんへ処方する場合、

「なぜこの栄養剤が必要なのか」

という理由の記載が重要になりました。

厚生労働省の2026年度診療報酬改定では、対象となる患者について、

  • 手術後の患者である場合はその旨
  • 経管により栄養補給を行っている場合はその旨
  • 必要な栄養を食事で摂取することが困難な場合などは、その理由

処方箋および診療報酬明細書に記載することで算定可能とする取扱いが示されています。

これだけ見ると、

「じゃあ病院側が処方理由を書けばいいだけだよね?」

と思うかもしれません。

でも、実際の薬局現場ではちょっと違う印象があります。

少なくとも僕の周りでは、

「しっかり処方理由を書いて今までどおり処方する」よりも、これを機に栄養剤そのものを処方から外す

という医療機関も意外と多い印象です。

今回は、

  • なぜ2026年からルールが変わったのか
  • 対象となる栄養剤
  • どんな患者さんなら保険給付の対象になるのか
  • 実際に見かける処方理由
  • 「栄養補助のため」だけでいいのか
  • 薬局で何を確認するのか
  • 病院で処方削除が増えている印象について

まで、薬局現場目線でまとめてみます。

ではいきましょう!

2026年、栄養保持目的の医薬品の保険給付が見直された

今回の変更の背景にあるのは、

「栄養保持を目的とした医薬品の保険給付の適正化」

です。

厚生労働省は、薬効分類325「たん白アミノ酸製剤」に分類される医薬品の中には、医薬品でありながら、市販されている栄養補助食品と栄養成分や用途が近い製品が存在することを示しています。

そのため、

「医薬品として保険給付する必要性が本当にあるのか?」

という点が、これまで以上に重視されるようになりました。

つまり今回の変更は、

栄養剤を保険で処方できなくした

わけではありません。

医薬品として必要な患者さんについては引き続き使用できます。

ただし、

「なぜ医薬品としてこの栄養剤が必要なのか」を明確にしましょう

という方向へ変わったわけですね。

対象になる主な栄養剤は?

エンシュア・ラコール・イノラスなど対象となる栄養保持目的医薬品

厚生労働省の資料で示されている代表的な対象薬には、

  • エンシュア・リキッド
  • エンシュア・H
  • ラコールNF配合経腸用液
  • ツインラインNF配合経腸用液
  • エネーボ配合経腸用液
  • イノラス配合経腸用液

などがあります。

いわゆる、

「医薬品の経腸栄養剤」

ですね。

特に薬局では、

エンシュア
ラコール
イノラス

あたりはかなり見かけるのではないでしょうか。

イノラスについては、125mLと187.5mLの違いやフレーバーなどをこちらの記事でも詳しくまとめています。

→「イノラス配合経腸用液とは?125mL・187.5mLの違い・味・処方理由を薬剤師が解説【2026年版】」

どんな患者なら保険給付の対象になる?

厚生労働省が示している考え方では、大きく分けると次のようになります。

① 手術後の患者

手術後の栄養保持目的で使用する場合。

この場合は、

「手術後である」

という旨を記載します。

② 経管栄養を行っている患者

胃瘻や経鼻胃管などから経管的に栄養補給を行っている場合。

この場合も、

「経管栄養を行っている」

という旨を記載します。

③ 通常の食事だけでは必要な栄養を摂取できない患者

ここが外来処方では一番多そうです。

たとえば、

  • 嚥下機能低下
  • がん治療中の食欲低下
  • がん悪液質
  • 消化器疾患
  • 高齢による摂食量低下
  • その他の理由で通常の食事摂取が困難

など。

こうした患者さんについて医師が、

医薬品としての栄養剤が必要

と判断した場合には、その理由を記載します。

実際の処方理由はどんな記載が多い?

ここからは少し現場のお話。

実際の処方箋を見ていると、僕の周りでは、

「食事困難による栄養補助」

という記載をよく見ます。

ほかにも、

「がん悪液質による栄養補助のため」

など。

このあたりは、今回の制度の趣旨とも比較的わかりやすく一致しています。

単に、

「栄養補助のため」

だけではなく、

なぜ通常の食事では足りないのか

という背景まで読み取れる記載になっています。

たとえば、

  • 食事摂取困難による栄養補助
  • 嚥下機能低下により食事摂取困難
  • がん悪液質による栄養補助
  • 抗がん剤治療に伴う食欲低下による栄養補助
  • 消化管術後の栄養保持
  • 胃瘻による経管栄養

など。

薬局側としても、

「この患者さんに医薬品の栄養剤が必要な理由が読み取れるか?」

という視点で確認するとわかりやすいと思います。

「栄養補助のため」だけではどうなの?

これは判断に迷うところですよね。

今回の制度では、

「必要な栄養を食事により摂取することが困難な患者」

などであることがポイントになっています。

そのため、

「栄養補助のため」

だけだと、

「なぜ医薬品による栄養補助が必要なのか?」

までは少し読み取りにくい印象があります。

一方、

「食事困難による栄養補助」

なら、

通常の食事から必要量を摂取できないという背景がわかります。

また、

「がん悪液質による栄養補助のため」

であれば、病態も明確。

制度上どこまで具体的な記載を求めるかについては、医療機関や審査支払機関での運用も確認が必要ですが、

薬局としては、

「なぜ栄養剤が必要なのかが読み取れるか」

をひとつの目安にするといいと思います。

実際には「処方理由を書く」より「処方を削除」が多い?

2026年度改定を受けて栄養剤処方を見直す医療現場

今回の改定後、個人的にかなり気になっているのがここ。

制度上は、

必要な患者さんには理由を書いて処方を継続する

という仕組みです。

しかし実際の現場では、

「処方理由を毎回入れよう」

という病院ばかりではありません。

僕の周りではむしろ、

「じゃあ栄養剤は処方から外そう」

という対応を取る医療機関も多い印象があります。

これはあくまで僕が薬局現場で感じている範囲ですが、今回の改定が、

栄養剤処方そのものを見直すきっかけ

になっているのは確かだと思います。

背景としては、

  • 医師側の記載負担
  • レセプトへの理由記載
  • 本当に医薬品である必要があるのかという見直し
  • 市販の栄養補助食品への切り替え
  • 患者負担・保険給付の適正化

などが考えられます。

厚生労働省自身も、対象となる栄養保持目的の医薬品について、市販されている栄養補助食品と比較した資料を示しています。

なので今回の改定は、

単純に、

「処方箋に一文追加する改定」

ではないんですよね。

むしろ、

「この患者さんに医薬品の栄養剤を使う必要が本当にあるのか?」

を改めて考える改定だと思います。

ただし「市販品へ変更」で済まない患者もいる

ここも大切。

栄養剤が食品に近いからといって、

すべて市販品へ置き換えればいいわけではありません。

患者さんによっては、

  • 摂取できる容量が限られている
  • 必要なカロリー密度が高い
  • 経管投与が必要
  • 栄養組成を一定に管理する必要がある
  • 病態に応じた栄養管理が必要

など、医薬品の経腸栄養剤を使用する医学的な意味があります。

特に、

がん悪液質

や、

長期間ほとんど食事を取れない患者さん

などでは、単に、

「ドラッグストアの栄養ドリンクでいいですよ」

という話ではありません。

だからこそ今回、

必要な患者さんをきちんと見極めて、理由を記載する

という仕組みになったと考えるとわかりやすいですね。

がん患者さんでは栄養剤処方が特に身近

個人的には、今回の変更はがん患者さんを多く受けている薬局ほど影響が大きいと思っています。

抗がん剤治療中は、

  • 悪心・嘔吐
  • 味覚障害
  • 口内炎
  • 食欲不振
  • 倦怠感
  • がん悪液質

などによって、食事量が大きく落ちることがあります。

そのため、

エンシュア
イノラス
ラコール

などが追加される患者さんも少なくありません。

実際、

「がん悪液質による栄養補助のため」

という理由は、かなり納得感のある記載です。

こういう患者さんでは、

「栄養剤が消えたから終わり」

ではなく、

栄養状態が維持できているのか

まで薬局側も少し意識しておきたいですね。

栄養剤が突然処方からなくなったときには、

「病状が改善したから?」

「食品タイプへ切り替えた?」

「単に改定対応で削除された?」

など、背景が違う可能性があります。

薬局で確認したいポイント

薬局で栄養剤の処方理由を確認するポイント

2026年6月以降、対象となる栄養剤が処方されていたら、薬局では次の点を確認しておきたいところです。

① 対象となる栄養保持目的医薬品か

まず、

エンシュア
ラコール
イノラス
エネーボ

など、今回の対象に該当する薬剤か確認。

② 入院患者ではなく外来患者か

今回の見直しは、

入院中の患者以外

が対象です。

③ 処方理由が記載されているか

処方箋の備考欄などを確認します。

実際、札幌医科大学附属病院では2026年6月から院外処方箋様式を変更し、対象となる栄養剤が処方された場合、備考欄に**「栄養剤投与理由」**を掲載する運用を案内しています。

④ 理由の内容が読み取れるか

たとえば、

「食事困難による栄養補助」

「がん悪液質による栄養補助」

「経管栄養」

など。

⑤ 理由がない場合はどうする?

これは各医療機関・薬局の運用にもよりますが、

必要に応じて処方元へ確認することになります。

薬剤師側で、

「きっと食欲不振だからだろう」

と勝手に理由を推測して補うものではありません。

「経口だからダメ」ではない

今回の改定で誤解しやすいのが、

「口から飲んでいる栄養剤はもう保険では出せない」

という考え方。

そうではありません。

今回対象となっている医薬品は、そもそも経管だけでなく経口投与されるものもあります。厚生労働省も、経口投与される栄養保持目的医薬品について今回の保険給付適正化を行っています。

つまり、

経口かどうか

よりも、

通常の食事だけでは必要な栄養を確保できず、医薬品としての栄養剤が必要か

が重要。

ここは患者さんへ説明するときも押さえておきたいポイントですね。

今回の改定で薬局の役割も少し変わった

これまでは栄養剤が処方されていても、

薬局では、

「何味にする?」

「在庫ある?」

「飲めている?」

という確認が中心だったかもしれません。

2026年からはそこに、

「なぜこの栄養剤が必要なのか」

という確認が加わりました。

そして個人的には、

処方理由が記載されていること以上に、

「栄養剤が処方から消えた患者さん」

にも少し目を向けたいと思っています。

本当に不要になったのであれば問題ありません。

ただ、

改定をきっかけに処方だけ削除されていて、

患者さんの食事量が相変わらず少ないのであれば、

栄養状態は大丈夫なのか?

食品の栄養補助剤へ切り替わっているのか?

というところまで聞けると、薬剤師として一歩踏み込んだフォローになると思います。

まとめ

2026年度診療報酬改定では、

イノラス、エンシュア、ラコールなど一部の栄養保持目的の医薬品について、

保険給付する際の医学的必要性がこれまで以上に明確化されました。

外来患者さんでは、

  • 手術後ならその旨
  • 経管栄養ならその旨
  • 食事から必要栄養量を摂取できない場合などは、その理由

を処方箋・診療報酬明細書へ記載することが重要になります。

薬局現場で実際に見かける理由としては、

「食事困難による栄養補助」

「がん悪液質による栄養補助のため」

など。

一方で実際には、

理由を書いて処方を続けるのではなく、栄養剤そのものを処方から削除する医療機関も少なくない印象

があります。

今回の改定は、

「処方箋に理由を書けば終わり」

ではなく、

「この患者さんに医薬品としての栄養剤が本当に必要なのか?」

を医師・薬剤師が改めて考えるきっかけなのかもしれません。

これから薬局では、

対象となる栄養剤が処方されているときは処方理由を確認。

そして逆に、

今まで出ていた栄養剤が突然なくなった患者さんにも少し注意する。

この2つを意識しておきたいですね。

ではではー。

しぐでしたっ。


FAQ

Q1.2026年からエンシュアやイノラスは保険で処方できなくなった?

いいえ。保険給付できなくなったわけではありません。手術後、経管栄養、通常の食事では必要な栄養を摂取することが困難な場合など、医学的必要性がある患者では、所定の理由を記載することで対象になります。

Q2.処方理由はどこに記載する?

処方箋や診療報酬明細書への記載が求められます。実際に院外処方箋の備考欄へ「栄養剤投与理由」を掲載する病院もあります。

Q3.「食事困難による栄養補助」は処方理由になる?

通常の食事だけでは必要な栄養を摂取できないことが読み取れる記載であり、制度の考え方に沿った理由の一例と考えられます。実際の算定・審査については個別の病態や運用に従います。

Q4.「がん悪液質による栄養補助」は?

がん悪液質によって通常の食事から必要な栄養摂取が困難で、医師が医薬品としての栄養剤を必要と判断する場合、その背景を示す記載の一例になります。

Q5.理由が処方箋にない場合、薬局で勝手に記載していい?

薬局側で患者背景を推測して理由を補うのではなく、必要に応じて処方元へ確認します。

Q6.経口で飲んでいるエンシュアは保険対象外?

経口というだけで対象外になるわけではありません。通常の食事では必要な栄養を確保できず、医薬品として必要と判断されているかが重要です。

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