
こんばんは!薬剤師のしぐです。
2026年9月9日、塩野義製薬は「エンドキサン錠50mg」と「注射用イホマイド1g」の限定出荷を案内しました。
どちらも、がん薬物療法を支える大切な抗がん剤です。とくにエンドキサン錠は院外処方で保険薬局が関わることもあるため、「次回分まで確保できるのか」「処方元へ早めに伝える必要はないか」と気になった薬剤師も多いのではないでしょうか。
先に重要な点をまとめると、今回の案内は販売中止や出荷停止ではなく、限定出荷です。また、「2027年1月」という見通しは、少なくとも注射用イホマイド1gについて示された限定出荷解除予定であり、2製品すべての供給が同時に正常化する日と断定することはできません。
この記事では、2026年9月10日時点の公開情報をもとに、限定出荷の内容と薬局・医療機関で確認しておきたいことを整理します。
※供給状況は短期間で変わる可能性があります。発注・調剤時には、メーカー、卸、医療用医薬品供給状況データベースなどの最新情報をご確認ください。
エンドキサン錠50mg・注射用イホマイド1gが限定出荷へ
塩野義製薬が2026年9月9日に公表した対象製品は、次の2品目です。
| 製品 | 一般名 | 包装 | 2026年9月9日時点の状況 |
|---|---|---|---|
| エンドキサン錠50mg | シクロホスファミド水和物 | 100錠 | 限定出荷 |
| 注射用イホマイド1g | イホスファミド | 1g×10瓶 | 限定出荷 |
メーカーの告知日は2026年9月9日です。医療用医薬品供給状況データベースでは、注射用イホマイド1gは出荷量「Aプラス」、対応状況「④限定出荷(その他)」とされています。
ここで押さえておきたいのは、限定出荷=製品が完全に入らなくなる、という意味ではないことです。供給可能な数量を踏まえ、メーカーが卸への出荷量を調整する状態なので、施設ごとの納入実績や卸の在庫によって入手状況が変わります。

エンドキサン錠とイホマイドは同じ薬ではない
名称が並んで案内されていますが、2製品は同一成分ではありません。
- エンドキサン錠50mg:シクロホスファミド水和物を成分とするアルキル化剤
- 注射用イホマイド1g:イホスファミドを成分とするアルキル化剤
いずれもアルキル化剤ですが、適応、投与経路、投与方法、支持療法は異なります。供給が不安定だからといって、薬局や患者さんの判断で相互に置き換えられる薬ではありません。
エンドキサン錠は悪性リンパ腫、乳がんなどの悪性腫瘍に加え、治療抵抗性のリウマチ性疾患やネフローゼ症候群などでも使われることがあります。一方、注射用イホマイドは医療機関内で複数のがん種・レジメンに用いられます。
つまり、今回の限定出荷は「抗がん剤の供給問題」だけでなく、エンドキサン錠については非がん領域の処方にも影響し得る点に注意が必要です。
抗がん剤の供給不足は2027年1月まで続く?
注射用イホマイド1gについては、限定出荷の解除見通しが2027年1月予定とされています。ただし、海外における供給状況などにより変更となる可能性がある、という注記があります。
一方、エンドキサン錠50mgについては、同じ日から限定出荷となったものの、現時点で解除時期を2027年1月と一律に扱うのは適切ではありません。
したがって、タイトルの「2027年1月まで?」に対する答えは次のようになります。
注射用イホマイド1gは2027年1月の限定出荷解除が見込まれていますが、確定日ではありません。エンドキサン錠50mgを含め、製品ごとに最新の供給情報を確認する必要があります。
「2027年1月になれば必ず通常どおり入る」と患者さんへ説明するのではなく、あくまで現時点の見通しとして扱うことが大切です。
保険薬局でまず確認したい5つのこと

1.現在庫と処方予定日数
エンドキサン錠の現在庫、使用期限、未納分、直近の処方量を確認します。「100錠あるから大丈夫」ではなく、継続患者さんが何人いて、それぞれ次回受診がいつかまで見えると判断しやすくなります。
2.卸への発注可否と入荷見込み
限定出荷中は、通常の発注画面で注文できても、予定どおり納品されるとは限りません。主な取引卸だけでなく、入荷予定日、割当数量、未納・取り消しの扱いまで確認しておきたいところです。
ただし、必要量を超えた発注や過度な在庫確保は、ほかの患者さんへの供給をさらに難しくします。処方実績と次回予定に基づく適正量の確保が基本です。
3.新規患者か継続患者か
供給が限られる場面では、継続中の患者さんの治療を途切れさせない視点が重要です。新規処方を受けた場合は、今回だけ調剤できるかではなく、次回以降も継続して準備できるかを考えます。
今後の確保が難しい可能性がある場合は、初回調剤後に問題を先送りせず、処方元と早めに情報共有します。
4.服用スケジュールと残薬
エンドキサン錠では、毎日服用する処方だけでなく、疾患や治療計画によって服用方法が異なります。患者さんの自己判断による減量・隔日服用・休薬を防ぐためにも、次の点を確認します。
- 1回量と服用日
- 休薬日の有無
- 次回受診日
- 手元に残っている錠数
- 医療機関から受けた服用指示
残薬があっても、供給不足を理由に患者さん側で服用間隔を変えることはできません。調整が必要な場合は必ず処方医の判断につなげます。
5.処方元との連絡ルート
在庫が不足してから疑義照会するよりも、入荷が不透明になった段階で、病院薬剤部や処方元へ共有できる体制が理想です。
伝える内容は、「限定出荷になった」という事実だけでなく、薬局の現在庫、入荷見込み、次回調剤予定、継続患者数まで具体的にまとめると話が進みやすくなります。
病院・診療所側で確認したいこと
注射用イホマイドは院内で使用される薬剤ですが、レジメンの延期や変更は治療全体に関わります。医療機関では、次のような確認が必要になります。
- 採用規格と実在庫、予約患者数
- レジメン別の必要量と投与予定日
- 新規導入患者と継続患者の見通し
- 卸からの割当量と次回納品予定
- 代替治療を検討する場合の院内手順
- 医師、薬剤部、外来化学療法室、看護部の情報共有
代替薬やレジメン変更は、単純な同効薬への置換ではありません。有効性、安全性、支持療法、投与量、臓器機能などを踏まえた医学的判断が必要です。
患者さんへどう説明する?

供給不足のニュースは、「薬がなくなる」「治療が続けられない」という不安につながりやすい情報です。説明するときは、必要以上に不安をあおらない言葉選びが大切です。
たとえば、次のように伝えます。
このお薬は現在、メーカーからの出荷量が調整されています。販売中止が決まったわけではありません。次回分も含めて在庫と入荷予定を確認し、必要があれば病院と早めに相談します。服用方法はご自身で変更せず、いつもどおり指示に従ってください。
あわせて、残薬数、次回受診日、連絡可能な電話番号も確認しておくと、入荷状況が変わった際に動きやすくなります。
薬剤師として感じること
抗がん剤は、同じ成分・同じ規格の代替品が必ずあるとは限りません。たとえ調剤件数が多くない薬でも、必要としている患者さんにとっては「その1回を途切れさせないこと」が非常に重要です。
今回のような限定出荷では、在庫がゼロになってから探すのではなく、継続患者さんの次回分まで見通して、卸や処方元と早めにつながることが薬局にできる大きな役割だと感じます。
一方で、過剰発注は供給の偏りを大きくします。確保と抱え込みは違います。実需に基づく数量を確認し、地域全体で必要な患者さんへ届くように動く視点も忘れたくありません。
まとめ
- エンドキサン錠50mgと注射用イホマイド1gは、2026年9月9日から限定出荷
- 限定出荷は販売中止・出荷停止とは異なる
- 2製品は同じアルキル化剤に分類されるが、成分も投与方法も異なる
- 注射用イホマイド1gは2027年1月に限定出荷解除予定だが、海外の供給状況により変更の可能性がある
- エンドキサン錠まで「2027年1月に必ず解除」と一括りにしない
- 薬局では現在庫、入荷見込み、継続患者、残薬、次回受診日を早めに確認する
- 患者さんの自己判断による減量・休薬を防ぎ、必要時は処方元と連携する
供給情報は変化します。この記事も新しい案内が確認でき次第、追記していきます。
よくある質問(FAQ)
Q1.エンドキサン錠50mgは販売中止になるのですか?
現時点で公表されているのは限定出荷であり、販売中止の案内ではありません。ただし、納入状況は卸や医療機関・薬局によって異なるため、個別の在庫確認が必要です。
Q2.注射用イホマイド1gの限定出荷はいつ解除されますか?
2026年9月10日時点では、2027年1月の解除が見込まれています。ただし、海外の供給状況などによって変更される可能性があります。
Q3.エンドキサン錠も2027年1月に通常出荷へ戻りますか?
2製品の限定出荷開始日は同じですが、解除時期を一律に判断することはできません。製品ごとの最新案内を確認してください。
Q4.在庫がない場合、エンドキサン錠をほかの薬へ変更できますか?
薬局や患者さんの判断で変更することはできません。代替薬の選択や治療計画の変更は、適応や投与方法、安全性などを踏まえて処方医が判断します。
Q5.患者さんが自分で服用回数を減らしてもよいですか?
できません。供給不足を理由に自己判断で減量、隔日服用、休薬をすると、治療へ影響する可能性があります。薬が足りなくなる心配がある場合は、早めに薬局または処方元へ相談してください。


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