どもどもーーしぐです。
1月も1週間が過ぎます。少し早いですが、そろそろ春季カタルについて書いておきます。
まず、みなさん春季カタルってご存知ですか??
知らない、という方も多いと思います。
自分も薬学部に通ってる時や国家試験を受ける時は知りませんでした。
(ホントは習ってたのかもしれませんが、覚えてなかった!)
そして、実際に薬剤師として働き始めてから、薬の添付文書の効能効果の欄で初めて知ったのです。ナンジャこりゃって思いました、、、。
と、いうわけで、そんな春季カタルについてまとめていくよ。
最近お世話になりっぱなしのレシピプラスさん。
「点眼剤」についてまとめてくれていて、各容器の特徴や注意点、使い方までわかりやすく学べます。
本のデザインもかわいくて、いいよね。
春季カタルとは
概要
春季カタルとは、「重症のアレルギー性結膜疾患」の1種です。
症状自体は年間を通してみられるが、スギ花粉などが原因で春季に悪化することが多いため、「春季カタル」というふうに呼ばれています。
患者は学童期男児に多く、10代にピークがあるようです。
主な抗原は上記の通りスギ花粉だったり、ダニだったり。
発症にはⅠ型アレルギー反応が関与します。抗原侵入後数時間経って、局所に浸潤した好酸球から放出された組織障害性タンパク質が周囲の細胞を傷害してしまう「遅発性反応」が春季カタルの病態に深く影響を与えています。
病態
結膜に増殖性変化を来す疾患です。
典型的な例で言うなら上まぶたの結膜に、直径1mm以上の大きな粘膜の隆起物(石垣状乳頭増殖)がいくつも発現したり、黒目と白目の境目周辺も隆起したり、角膜に潰瘍やびらんを生じることもあります。
症状増悪により、視力の低下もあるようです。
自覚症状
下記症状が一般的です。
- 激しい目の痒み
- 充血
- 大量の目やに
- 眼痛
- 遺物感
春季カタルの薬物療法
基本的には抗アレルギー点眼薬を用います。
症状悪化、効果不十分があるとステロイド点眼薬や免疫抑制点眼薬が用いられます。
抗アレルギー点眼薬
ほとんどの抗アレルギー点眼薬の適応が「アレルギー性結膜炎」を持ってるので、なんでも使えますね〜。
春季カタルになると角膜に傷がついていることも多々あるため、ベンザルコニウムを防腐剤として使用している抗アレルギー点眼薬の長期使用はあまりオススメできないです。
以前書いたベンザルコニウムについての内容がこちら
あと、新しく発売になったアレジオンLXも防腐剤フリーなんだよ!
みてみてね。
ステロイド点眼薬
一般的に使われるのは下記2種類でしょうか。
リンデロン点眼点耳点鼻液0.01%(ベタメタゾン)
フルメトロン点眼液0.1%(フルオロメトロン)
ステロイドは強力な消炎作用を持つのですが、眼圧上昇や感染症といった副作用に注意を払いながら継続します。
免疫抑制点眼薬(カルシニューリン阻害薬点眼液)
2剤しかないんだけど、適応はどっちも「春季カタルのみ」です。
適応外で難治性のぶどう膜炎にも使われたりするみたいですが。
パピロックミニ点眼液(0.1%シクロスポリン)
0.1%シクロスポリン点眼薬は、防腐剤を含まない1回使い捨て容器に入った水性点眼薬で1回1本、1日3回点眼します。
高濃度ステロイド点眼薬に比較し、効果の発現はゆっくりですが、ステロイド点眼薬との併用で1ヵ月後には重症な角結膜所見が改善し、ステロイド点眼薬併用例でもステロイド点眼薬の離脱が可能となっています。
即効性に乏しく、効果発現まで1ヶ月程度かかると言われてるので抗アレルギー点眼薬と併用されるのが一般的ですね。
高分子であり、眼表面から眼内へはほとんど浸透しません。
ちなみに、薬価は211.8円/本。1日3回なので、約650円/日。
1本で両眼使用するって計算でね。
タリムス点眼液0.1%(0.1%タクロリムス)
0.1%タクロリムス点眼薬は、懸濁点眼薬で1日2回の用法です。
ちなみに、防腐剤としてベンザルコニウムが入ってるよ。
懸濁性なので、よく振ってから使用します。
早期に症状の改善が得られ、ステロイド抵抗性の重症例に対しても有効な治療薬です。
血中濃度を測定した結果では、検出限界以下の症例がほとんどでした。
薬価は9799.1円/瓶。1本5mlなので約100滴分。1日2回なので、約200円/日。
今回はこんな感じーー。
あ、ちなみに自分が初めて「春季カタル」を知ったのはタリムス点眼液を調剤した時でした。タクロリムスって強めの免疫抑制剤のイメージなので、ホントに症状ひどい人に使用されるんだろうなーって。
ではではーしぐでしたっ
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