地域連携薬局とは?2026年現在の認定要件と2027年5月20日改正を薬剤師目線で整理
こんばんは、薬剤師のしぐです。
今回は、
「地域連携薬局」
について。

実はこの記事、最初に書いたのが2021年2月。
当時は地域連携薬局の制度がまだ始まる前で、
「2021年8月までに、どこまで認定基準を満たせるのか?」
「地域連携薬局と専門医療機関連携薬局に薬局が分かれていくのかな?」
なんてことを書いていました。
それから5年。
地域連携薬局はすっかり実際の制度として定着し、厚生労働省によると2026年7月31日時点で全国4,299薬局が認定されています。
ちなみに専門医療機関連携薬局は227薬局。
数字を見るだけでも、地域連携薬局の方がかなり広く普及してきたことが分かりますね。
そして今回、この記事を完全更新しようと思った一番大きな理由。
2027年5月20日から、地域連携薬局の認定基準が大きく変わります。
2026年6月には新しい省令も公布済み。
ということで今回は、
現在の地域連携薬局の認定要件と、2027年5月から何が変わるのかを、薬剤師目線で整理していきます。
地域連携薬局とは?
地域連携薬局は簡単にいうと、
「外来・入院・退院・在宅まで、患者さんの薬物療法を地域の医療・介護関係者と連携して支える薬局」
です。
薬機法に基づき、一定の基準を満たした薬局が所在地の都道府県知事の認定を受けることで、「地域連携薬局」と名乗ることができます。
しかも一度認定されればずっと続くわけではなく、認定は1年ごとの更新制です。
厚生労働省も、地域連携薬局には外来だけでなく、在宅医療や入退院時も含めて服薬情報を一元的・継続的に共有し、さらに地域の他薬局への医薬品提供や情報発信などを通じて支える役割を求めています。

つまり、
「自分の薬局だけで完結する薬局」ではなく、「地域全体の薬物療法をつなぐ薬局」
と考えるとイメージしやすいですね。
専門的ながん治療などへの対応を中心とする専門医療機関連携薬局については、こちらの記事でもまとめています。

【2026年現在】地域連携薬局の主な認定要件
ここは旧記事から基本的な考え方は続いています。
ただ、「施設基準」というより、正確には薬機法に基づく認定基準ですね。
2026年現在の主な要件を整理すると、こんな感じです。
| 分野 | 2026年現在の主な要件 |
|---|---|
| 構造設備 | 座って相談でき、相談内容が漏れないよう配慮した設備 |
| バリアフリー | 高齢者・障害者などが円滑に利用できる構造 |
| 地域連携 | 地域包括ケアシステムに関する会議へ継続的に参加 |
| 医療機関への情報提供 | 過去1年間で月平均30回以上 |
| 時間外対応 | 開店時間外でも薬に関する相談へ対応 |
| 休日・夜間 | 他薬局と連携して調剤へ対応できる体制 |
| 医薬品供給 | 必要時に地域の他薬局へ在庫医薬品を提供できる |
| 麻薬 | 麻薬小売業者免許を取得し調剤できる |
| 無菌調剤 | 無菌製剤処理が可能。共同利用も可 |
| 薬剤師 | 常勤薬剤師の半数以上が同一薬局で1年以上勤務 |
| 研修 | 常勤薬剤師の半数以上が地域包括ケア関連研修を修了 |
| 在宅 | 過去1年間で月平均2回以上の訪問実績 |
| 医療機器等 | 必要な医療機器・衛生材料を提供できる体制 |
こうして並べると……
やっぱり結構あります。
2021年の記事で、
「なかなかハードル、高くないでしょうか……」
と書いていましたが、5年経って見ても、これは変わらないですね(笑)。

やっぱり大きい「月平均30回」の情報連携
現在の地域連携薬局で、実務上かなり大きなポイントになっているのが、
医療機関への報告・連絡:月平均30回以上
という要件です。
単純計算すると、
30回×12か月=年間約360回。
しかも何でも実績として数えられるわけではありません。
厚生労働省のQ&Aでは、単に「服薬状況に問題ありません」と伝えただけの報告や、薬学的評価を伴わないもの、通常の疑義照会などは実績として扱わない考え方が示されています。
一方で、入院時・退院時・外来・在宅で行う意味のある薬学的情報提供は対象になります。
つまり、
「とにかくトレーシングレポートを30件出せばいい」
という制度ではないんですよね。
ここは、地域連携薬局という制度の本質を考えるうえでも大事だと思います。
在宅医療も重要|現在は月平均2回以上
もうひとつの大きな柱が在宅医療。
2026年現在は、過去1年間に
月平均2回以上
居宅等で調剤・情報提供・薬学的管理指導を行った実績が求められます。
施設を訪問した場合は、患者さんの人数ではなく訪問1回として数えるなど、回数の考え方にも注意が必要です。
さらに、
麻薬への対応、無菌製剤処理、高度管理医療機器等の提供体制なども必要。
地域連携薬局が単なる「情報提供をたくさんする薬局」ではなく、
在宅医療まで担える地域の薬局
として設計されていることがよく分かります。
【重要】2027年5月20日から地域連携薬局が変わる
そして、ここからが今回のリライトで一番大切なところ。
2027年5月20日から地域連携薬局の認定基準が改正されます。
2026年6月30日に厚生労働省令第110号が公布されており、2027年5月施行分として厚生労働省から正式に公表されています。
主な変更点を並べると、かなりインパクトがあります。
| 項目 | 2026年現在 | 2027年5月20日~ |
|---|---|---|
| 地域包括ケア会議 | 継続的に参加 | 年3回以上※ |
| 医療機関への情報連携 | 月平均30回以上 | 年60回以上※ |
| 情報連携の対象 | 入退院・外来・在宅など | 入院・退院・在宅に重点化 |
| 薬剤師配置 | 現行の人員・研修要件 | 常勤換算2.5人以上※ |
| 他薬局への医薬品提供 | 提供できる体制 | 年24回以上の実績※ |
| 在宅訪問 | 月平均2回以上 | 年48回以上※ |
| 災害・感染症 | ― | 地域薬局と連携できる体制 |
| ターミナル・小児在宅 | ― | 対応体制を明確に要求 |
| 他薬局の在宅支援 | ― | 一時的に代替対応できる体制 |
※地域事情に応じ、都道府県知事が別の基準を定められる規定があります。

情報連携「月30回→年60回」なら緩和された?
ここ、数字だけを見ると気になりますよね。
現在は、
月平均30回=年間約360回
なのに、2027年からは
年間60回以上。
「めちゃくちゃ緩くなるじゃん!」
と思いそうです。
でも、今回の改正をそこだけで見るのはちょっと違うと思います。
新基準では情報提供の対象が、
入院時・退院時・在宅療養中
といった、患者さんの療養環境が変わる重要な場面へ絞られます。
さらに、
在宅年48回
他薬局への医薬品提供年24回
常勤換算2.5人以上
ターミナル・小児在宅への対応
災害・感染症時の医薬品供給
など、新たに具体的な実績や地域での役割が求められます。
なので個人的には、
「情報提供の件数を稼ぐ制度」から、「地域で実際に機能している薬局を評価する制度」へ
少しずつシフトしているように感じます。
これは結構大きな変更ですよね。
在宅は月2回から「年間48回」へ
こちらは逆にハードルが上がります。
現在は月平均2回なので、単純計算なら年間24回程度。
2027年5月からは、
年間48回以上
が基本になります。
しかも今後は、通常の在宅だけでなく、
ターミナルケアを必要とする患者さんや小児の在宅医療
へ対応できる体制まで明示されます。
さらに、地域の他薬局が一時的に在宅対応できなくなった場合に、代わりに訪問対応できる体制も求められます。
「自局の患者さんに在宅をやっています」
だけではなく、
地域の在宅医療を薬局同士で支える拠点
という色合いが、かなり強くなりますね。
他薬局への医薬品提供も「実績」が必要になる
これも現場として重要。
現在は、
「他薬局へ医薬品を提供できる体制があること」
が基準。
2027年からは一歩進んで、
過去1年間に年24回以上、地域の他薬局へ在庫医薬品を提供した実績
が基本的に求められます。
昨今の医薬品供給不足を考えると、
これはかなり現実的な変更だと思います。
薬局同士で、
「〇〇錠、少し分けられませんか?」
なんてやり取りは現場では珍しくありません。
そうした地域の医薬品供給を支える機能そのものが認定基準に入ってくるということですね。
薬剤師は常勤換算2.5人以上へ
2027年からは、人員についても
薬剤師を常勤換算2.5人以上
配置することが基準として明確になります。
これも薬局によっては結構大きい。
特に小規模薬局では、
在宅を年48回こなし、夜間休日や地域連携にも対応し、さらに薬剤師2.5人相当を確保する。
となると、
「認定を取ること」よりも「認定を維持すること」
の方が難しくなるケースもありそうです。
健康サポート薬局も2027年に変わる
旧記事では、
「地域連携薬局と健康サポート薬局は何が違う?」
という比較をしていました。
2026年現在、健康サポート薬局制度はまだ存在しています。厚生労働省のページでも、認定薬局とは別に健康サポート薬局の届出制度が掲載されています。
ただし、ここも2027年に大きく変わります。
現行の健康サポート薬局は、制度を見直して
「健康増進支援薬局」
という都道府県知事による認定制度へ移行します。
イメージとしては、
地域連携薬局
→ 入退院・在宅・医薬品供給など「医療を地域でつなぐ」役割
健康増進支援薬局
→ OTC、健康相談、受診勧奨など「地域住民の健康を支える」役割
という違いが、今まで以上にはっきりしてきそうです。

地域連携薬局=調剤報酬の加算ではない
ここも混同しやすいところ。
地域連携薬局は、
薬機法に基づいて都道府県知事が認定する制度
です。
調剤報酬上の施設基準や加算そのものとは別物。
もちろん地域連携薬局に求められる機能と、調剤報酬で評価される地域医療・在宅・情報連携には共通する部分がたくさんあります。
でも、
「地域連携薬局の認定を取った=何かの加算が自動的に算定できる」
ということではありません。
ここは制度を勉強するときに分けて考えておきたいですね。
2027年改正に向けて薬局が今から見ておきたいところ
2026年現在から準備するとしたら、個人的には情報提供件数だけを見るのではなく、在宅48回・他薬局への医薬品提供24回・常勤換算2.5人・地域包括ケア会議3回・ターミナル/小児在宅・災害時の連携体制あたりを、自局でどこまで満たせそうか確認しておくのがよさそうです。
特に在宅と医薬品供給は、
「体制があります」から「実績があります」へ。
ここが今回の改正の重要なポイントだと思います。
地域連携薬局を2026年版でまとめると
2021年にスタートした地域連携薬局。
当時この記事を書いたときは、
「この制度がこれから薬局業界でどうなっていくんだろう?」
という段階でした。
それが2026年7月には全国4,299薬局まで広がりました。
そして次は、2027年5月20日の大きな見直し。
今回の変更を見ると、地域連携薬局に求められているのは、
看板として認定を取ることではなく、本当に地域で必要とされる機能を持つこと
なんだろうなと思います。
在宅、入退院時の情報連携、医薬品不足への対応、ターミナル、小児、災害・感染症。
薬局単独ではなく、
病院・診療所・介護事業者、そして地域の薬局同士でつながって患者さんを支える。
2021年に制度がスタートしたときより、「地域連携薬局」という名前の意味が、ずっと分かりやすくなってきた気がします。
2027年5月に向けて、この制度はまた大きく動きそうですね。
ではではー、しぐでした!
FAQ
地域連携薬局とは何ですか?
入退院時の医療機関との情報連携や在宅医療、地域の他薬局との連携などを通じ、患者さんの薬物療法を一元的・継続的に支援できる薬局として都道府県知事から認定された薬局です。認定は1年ごとの更新制です。
地域連携薬局の情報提供は現在何回必要ですか?
2026年現在は、過去1年間で月平均30回以上の医療機関への報告・連絡実績が基本です。2027年5月20日からは、入院・退院・在宅に関する情報を中心に年間60回以上へ変更されます。
地域連携薬局の在宅実績は何回必要ですか?
2026年現在は月平均2回以上です。2027年5月20日からは原則として年間48回以上となります。地域事情に応じて都道府県知事が別の回数を設定できる規定があります。
地域連携薬局には薬剤師が何人必要ですか?
2027年5月20日からの新基準では、原則として常勤換算2.5人以上の薬剤師配置が求められます。
健康サポート薬局と地域連携薬局は同じですか?
異なります。地域連携薬局は入退院・在宅など医療連携が中心。健康サポート薬局は地域住民の健康維持・増進支援が中心です。なお、2027年には健康サポート薬局制度が見直され、健康増進支援薬局という認定制度へ移行します。


コメント
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