薬剤師のしぐです。
出荷調整・自主回収のニュースばかりでうんざり、、、あの薬、この薬がないので代わりの薬を手配して、、、と、自分は薬剤師になって何をやっているんだろうと考える今日この頃。
そんな中、久しぶりに薬剤師としてワクワクする医薬品の製造販売承認の通知が届きました。
テデュグルチド〈レベスティブ〉。
その作用機序。GLP-2アナログだと!?
これまで何度も勉強してきたGLP-1アナログ製剤。
えっ。GLP-2!?血糖値に作用する新薬!?と思っていると短腸症候群!?
いやー、ワクワクですね。
薬剤師ゴコロをくすぐられます。GLP-2。
そんなGLP-2アナログであるテデュグルチド〈レベスティブ〉についてまとめます。
テデュグルチド〈レベスティブ〉とは
テデュグルチド〈レベスティブ皮下注用〉
武田薬品工業株式会社より新規販売される遺伝子組換え製剤です。
テデュグルチド〈レベスティブ〉の作用機序
GLP-2作動薬
さて、GLP-1についてであれば、ある程度サラサラ〜っと説明できるのですが、GLP-2ともなると、さっぱりです。下記にまとめてみました!!
Glucagon-like peptide-2(GLP-2)は33のアミノ酸で構成されるプログルカゴン由来ペプチドのひとつで、腸管内分泌細胞(L細胞)で生成される。
テデュグルチド〈レベスティブ〉は天然型ヒトグルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)の遺伝子組換えアナログの皮下注射剤となります。
G蛋白共役受容体に結合し、そのシグナル伝達は受容体発現細胞内のみならず、インスリン様成長因子(insulin-like growth factor;IGF-1)や迷走神経線維を介し全身に広く及ぶと想定されています。
小腸粘膜増殖・消化吸収の促進・粘膜バリアの維持など多彩な作用で腸管機能の恒常性に寄与し、ついに短腸症候群を適応としてアナログ製剤の実用化となりました。
テデュグルチドの短腸症候群への効果
短腸症候群や Crohn 病など、腸管実効吸収面 積の減少にともなう続発性吸収不良症候群では、 その高度な消化吸収障害に対してしばしば中心静脈栄養法が用いられるが、長期間の経静脈栄養では残存小腸の廃用性萎縮や、bacterial transloca- tionの誘発など、免疫機構としての小腸機能の役割低下が問題視されていました。
これらの疾患では小腸粘膜の機能温存、経静脈栄養による合併症の軽減を目的にさまざまな経腸栄養が考案されていたが、近年、GLP-2アナログによる残存小腸の機能向上を目指した取り組みが行われていました。
テデュグルチドは天然型ヒトGLP-2の新規遺伝子組換えアナログで、腸管吸収機能の改善を促す。上記の通り、33個のアミノ酸からなるペプチドでGLP-2と同様の機序を介して作用し、GLP-2と同一の受容体に結合することで、同程度の効力および選択性を示すといわれています。
海外では短腸症候群(以下、SBS)の適応症ですでに欧米30カ国以上で承認されている。
SBSは極めてまれで重篤な慢性疾患と言われていて、食事から十分な水分や栄養を吸収できず、これまでは生命を維持するために静脈栄養が必要とされていました。
外傷やクローン病、塞栓症のような血管合併症などによる小腸の大量切除や先天性の欠損をはじめとするさまざまな原疾患によってSBSに至り、病態も多岐にわたるため、多くの患者さんの中には生涯にわたり静脈栄養が必要となる患者もいます。
静脈栄養は生命維持に不可欠である一方、SBSの病態や静脈栄養への依存は患者のQOLを低下させ、感染症、敗血症、血栓症、腸管不全関連肝障害などの重篤な合併症につながるおそれがあり、SBS患者は栄養失調、脱水、下痢、疲労、脱力などの多くの症状を抱えながら生活しています。
テデュグルチド〈レベスティブ〉によって、管理の難しい長期的な経静脈サポートからの離脱、軽減をはかり、SBS患者さんや介護される方の生活の質の向上を目指すことができ、日本のSBS患者さんに対する新たな治療オプションとなることが期待されています。
テデュグルチド〈レベスティブ皮下注用〉の発売について
こちら、武田薬品工業株式会社さんからの通知です。
成人および小児の短腸症候群患者への国内初の薬物治療として、製造販売承認を申請
当社は、このたび、テデュグルチド(遺伝子組換え)(開発コード:TAK-633、以下「テデュグルチド」)について、短腸症候群(Short Bowel Syndrome以下、SBS)治療剤として、厚生労働省に製造販売承認申請を行いましたのでお知らせします。
今回の申請は、国内で実施された成人および小児を対象とした第3相試験、ならびに海外にて行われた試験結果に基づくものです。これらの試験において、本剤の有効性が認められ、安全性に大きな問題は見られませんでした。
当社の日本開発センター所長である廣田直美は、「本剤は、SBSという希少な疾病に対する治療薬として日本でも開発を進めてきました。腸管吸収機能の改善を促すことで、管理の難しい長期的な経静脈サポートからの離脱・軽減をはかり、SBS患者さんや介護される方の生活の質(QOL)の向上を目指します。今回の申請は、当社にとって重要なマイルストンであり、本剤の開発にあたってご協力いただいた患者さん、医療関係者の方々に深く感謝いたします。本剤が日本のSBS患者さんに対する新たな治療オプションとなることを期待しています。」と述べています。
なお、テデュグルチドはSBSを適応症として、すでに欧米30カ国以上で承認を取得しています。
<短腸症候群について>
SBSは極めてまれで重篤な慢性疾患であり、食事から十分な水分や栄養を吸収できず、生命を維持するために静脈栄養が必要となります。外傷やクローン病、塞栓症のような血管合併症等による小腸の大量切除や先天性の欠損をはじめとするさまざまな原疾患によりSBSに至り、その病態も多岐にわたります。多くの患者さんでは腸管機能が順応していきますが、中には生涯にわたり静脈栄養が必要となる患者さんもいます。
またSBSは、合併症や死亡率、医療費などの問題とも関連しています。静脈栄養は生命維持に不可欠である一方、SBSの病態や静脈栄養への依存は、患者さんのQOLを低下させ、感染症、敗血症、血栓症や腸管不全関連肝障害などの重篤な合併症につながる恐れがあります。また、SBS患者さんは、栄養失調、脱水、下痢、疲労、脱力などの多くの症状を抱えながら生活しています。
SBSの有病率および罹患率は多くの国で明らかになっておらず、日本においても同様です。多くの推定値は、SBSのために長期的な在宅静脈栄養を要する患者数のデータに基づいています。
<テデュグルチドについて>
テデュグルチドは、天然型ヒトGLP-2の新規遺伝子組換えアナログです。本剤は33個のアミノ酸からなるペプチドでGLP-2と同様の機序を介して作用します。また、GLP-2と同一の受容体に結合することによって、同程度の効力および選択性 を示します。日本では、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での協議を踏まえ、短腸症候群の治療剤として開発が進められ、2014年11月20日付けで、厚生労働省より、予定される効能または効果を短腸症候群として希少疾病用医薬品に指定されています。
テデュグルチド〈レベスティブ〉の発売について②
本邦初の短腸症候群治療剤「レベスティブ®」の製造販売承認取得について
2021年6月23日
当社は、このたび、短腸症候群(以下、「SBS」)の治療剤である「レベスティブ皮下注用3.8mg」(一般名:テデュグルチド(遺伝子組換え) 開発コード:TAK-633、以下「レベスティブ」)について、厚生労働省より製造販売承認を取得しましたのでお知らせします。
今回の承認は、海外で行われた複数の試験、ならびに国内で小児および成人を対象として実施された臨床第3相試験(SHP633-302、SHP633-305およびSHP633-306、SHP633-307)などの結果に基づくものです。
SBSは日常生活、および社会生活に支障をきたすまれで重篤な病態であり、腸管不全を伴っているため、健康や成長を維持するには静脈栄養が必要となります。一方で、静脈栄養への依存は患者さんのQOLを低下させ、重篤な合併症に繋がる恐れもあります。レベスティブは、天然型GLP-2よりも長く腸管へ作用する組換えヒトGLP-2アナログであり、国内で初めて承認された小児および成人SBS患者さんにおける腸管吸収機能の改善を促す薬剤です。
<今回承認された効能・効果、用法・用量について>
販売名 | レベスティブ皮下注用3.8mg |
一般名 | テデュグルチド(遺伝子組換え) |
効能・効果 | 短腸症候群 |
用法・用量 | 通常、テデュグルチド(遺伝子組換え)として1日1回0.05mg/kgを皮下注射する。 |
当社の日本開発センター所長である廣田直美は、「レベスティブは、まれで生命を脅かす恐れのあるSBS患者さんへの国内で初めての薬物療法です。この新しい治療オプションが、日本のSBS 患者さんやご家族の方の生活の質(QOL)の向上に貢献することを期待しています」と述べています。
また、当社は、患者さんおよびそのご家族がSBSの疾患や治療に関する情報をご理解いただけるよう、これらの情報をわかりやすく紹介するサイトである「SBS Life」を公開しています。情報提供を通じてSBS患者さんの生活をサポートし、本疾患への理解が進む社会づくりを目指していきます。
以上
<短腸症候群について>
SBSはまれで重篤な慢性疾患であり、食事から十分な水分や栄養を吸収できず、生命を維持するために静脈栄養が必要となります。SBS の病因は大人と子供で異なります。 乳幼児では壊死性腸炎と先天性異常、成人では腸間膜血管疾患、炎症性腸疾患、および術後合併症が最も一般的な原因です。多くの患者さんでは腸管機能が順応していきますが、中には腸不全を伴うSBS(SBS-IF)として生涯にわたり静脈栄養や静脈内輸液を必要とする患者さんもいます。
静脈栄養や静脈内輸液は生命維持に不可欠である一方、SBSの病態や静脈栄養への依存は、患者さんのQOLを低下させ、カテーテル関連血流感染症、敗血症、血栓症や腸管不全関連肝障害などの重篤な合併症につながり、生命予後が低下する恐れがあります。また、SBS患者さんは、栄養失調、脱水、下痢、疲労、脱力などの多くの症状を抱えながら生活しています。
SBSの有病率および罹患率は多くの国で明らかになっておらず、日本においても同様です。多くの推定値は、SBSのために長期的な在宅静脈栄養を要する患者数のデータに基づいています。
<レベスティブについて>
レベスティブに含まれる成分のテデュグルチドは、天然型GLP-2よりも長く腸管へ作用する組換えヒトGLP-2アナログです。本剤は33個のアミノ酸からなるペプチドで天然型GLP-2と同様の機序を介して作用します。GLP-2と同一の受容体に結合することによって、同程度の効力および選択性 を示します。また、DPP-4により不活化されにくく、天然型より半減期が長いという特徴があります。レベスティブは、日本では、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において医療上の必要性が高いと判断され、開発要請がなされました。また、2014年11月20日付けで、厚生労働省より、予定される効能又は効果を短腸症候群として希少疾病用医薬品に指定されており、短腸症候群の治療剤として本邦において開発が進められてきました。
<レベスティブの薬価収載前の倫理的無償供給について>
当社は、レベスティブが薬価収載されるまでの間、倫理的観点から本剤を無償で提供する倫理的無償供給プログラム(以下、「本プログラム」)を開始します。本プログラムの対象となる患者さんは、現時点では標準治療がなく治療選択肢が極めて限られている「成人及び修正月齢4ヵ月以上の小児」の体重10kg以上の患者さんです。患者さんの緊急の要望にお応えするために、厚生労働省の定める「保険外併用療養費制度」のもと本プログラムを実施いたします。
テデュグルチド〈レベスティブ皮下注〉の用法用量
テデュグルチドとして、1日1回0.05mg/kgを皮下注射
テデュグルチド〈レベスティブ皮下注〉の薬価
テデュグルチド〈レベスティブ皮下注〉3.8mg1瓶:79,302円
さて、今回は結構なボリュームになってしまいましたが、これでGLP-2作動薬テデュグルチド〈レベスティブ皮下注〉についてはほとんどご理解頂けたかと思います。
新しいことづくめですが、とっても勉強になりました!
今回はこんな感じ。
また詳細分かり次第、追記していきます!!
ではではーしぐでしたっ
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