テリルジー100と200の違いは?喘息・COPDの使い分け、成分、吸入方法を薬剤師が解説【2026年版】

薬剤師のしぐです。
テリルジーエリプタには「100」と「200」があります。
名前だけを見ると、200は100の単純な倍量に思えますが、実際にはそうではありません。違うのは吸入ステロイド(ICS)の量だけで、気管支を広げる2成分の量は同じです。そして、テリルジー200は気管支喘息にのみ使用され、COPDにはテリルジー100を使用します。
この記事では、テリルジー100と200の違い、3成分の働き、喘息・COPDでの使い分け、エリプタの正しい吸入方法、薬局で確認したいポイントまでまとめます。
この記事は医療用医薬品の一般的な情報を整理したものです。治療の変更や中止は自己判断で行わず、医師・薬剤師へ相談してください。
まず結論|テリルジー100と200の違い
| 比較項目 | テリルジー100エリプタ | テリルジー200エリプタ |
|---|---|---|
| 吸入ステロイド:フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF) | 100μg | 200μg |
| LAMA:ウメクリジニウム(UMEC) | 62.5μg | 62.5μg |
| LABA:ビランテロール(VI) | 25μg | 25μg |
| 気管支喘息 | 使用する | 使用する |
| COPD | 使用する | 使用しない |
| 基本的な位置づけ | 喘息・COPDの維持療法 | 100で効果不十分な喘息で検討 |
| 用法 | 1日1回、1回1吸入 | 1日1回、1回1吸入 |
つまり「200」という数字は、3成分すべてが2倍という意味ではありません。FFだけが100μgから200μgへ増量されています。
また、テリルジー200を自己判断で「強いほう」と選ぶ薬ではありません。喘息の症状、増悪歴、現在の治療、吸入手技、服薬状況などを確認したうえで医師が選択します。
テリルジーエリプタとは?
テリルジーエリプタは、次の3種類の薬を1つの吸入器にまとめた配合剤です。
- ICS:吸入ステロイド薬
- LAMA:長時間作用性抗コリン薬
- LABA:長時間作用性β₂刺激薬
いわゆる**ICS/LAMA/LABAの3剤配合吸入薬(トリプル製剤)**で、1日1回の吸入で維持療法を行います。
3種類の吸入薬を別々に使う場合と比べ、吸入器が1つになることで手順をまとめやすいのが特徴です。ただし、処方された1吸入を正しく肺へ届けられなければ十分な効果は期待できません。継続状況だけでなく、吸入手技の定期的な確認も重要です。
3成分の作用機序

フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)|ICS
気道の炎症を抑える吸入ステロイド薬です。喘息では気道炎症をコントロールする中心的な役割を担います。
吸入後に薬が口腔内へ残ると、口腔咽頭カンジダ症や嗄声の原因になることがあります。そのため、吸入後のうがい、または口をすすぐことが大切です。
ウメクリジニウム(UMEC)|LAMA
気管支平滑筋のムスカリン受容体を遮断し、気管支の収縮を抑える長時間作用性抗コリン薬です。
抗コリン作用に関連して、口渇、排尿しにくい、眼の症状などに注意が必要です。閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などによる排尿障害がある場合は、必ず医師・薬剤師へ伝えましょう。
ビランテロール(VI)|LABA
β₂受容体を刺激し、気管支平滑筋を弛緩させて気道を広げる長時間作用性β₂刺激薬です。
動悸、脈が速い、手のふるえなどがみられる場合があります。症状が気になるときは我慢せず相談してください。

テリルジーの効能・効果|喘息とCOPD
気管支喘息
テリルジー100と200のどちらも、吸入ステロイド薬、長時間作用性吸入抗コリン薬、長時間作用性吸入β₂刺激薬の併用が必要な気管支喘息に使用されます。
通常はテリルジー100を1日1回1吸入します。患者さんの状態に応じてテリルジー200を1日1回1吸入することがありますが、200は100を使用しても効果が不十分な場合に検討する規格です。
200へ変更する前には、次の点も重要になります。
- 毎日吸入できているか
- カバーを開けてから正しく吸えているか
- 通気口を指や唇で塞いでいないか
- 十分な速さと深さで吸い込めているか
- 喫煙、アレルゲン、感染症など悪化要因がないか
- レスキュー薬の使用回数が増えていないか
「効かない=すぐ増量」とは限りません。吸入手技やアドヒアランスの見直しだけで改善することもあります。
COPD
COPDでは、吸入ステロイド薬、長時間作用性吸入抗コリン薬、長時間作用性吸入β₂刺激薬の併用が必要な場合に、諸症状の緩解を目的として使用されます。
使用するのはテリルジー100のみです。
テリルジー200にはCOPDの適応がありません。
COPDでトリプル療法を選択するかどうかは、息切れの程度、増悪歴、血中好酸球数、肺炎リスクなどを含めて判断されます。ICSを含む薬なので、発熱、痰の増加、痰の色の変化、息苦しさの悪化など、感染や増悪を疑う変化にも注意が必要です。
テリルジーは発作時の薬ではない
テリルジーは毎日続けて使用する長期管理薬です。すでに起きている喘息発作や急な息苦しさを、その場で速やかに抑えるための薬ではありません。
急な症状に対しては、医師から指示された発作治療薬を使用します。発作治療薬を使っても改善しない、会話が難しいほど苦しい、唇が紫色になるなどの症状がある場合は、速やかな受診が必要です。
また、調子がよい日が続いても自己判断でテリルジーを中止しないことが大切です。
エリプタの正しい使い方

テリルジーは、ドライパウダー吸入器「エリプタ」を使います。
1.カバーを「カチッ」と音がするまで開ける
カバーを開けると1回分の薬がセットされ、残薬カウンターが1つ減ります。
**吸入せずにカバーを閉じても、その1回分を後から吸うことはできません。**カバーの開閉だけを繰り返さないようにしましょう。
2.吸入口から離れて息を吐く
無理のない範囲で、いったん息を吐き出します。吸入器の中へ息を吹き込むと粉が湿る可能性があるため、必ず吸入口から離れて行います。
3.マウスピースをくわえ、強く深く吸い込む
マウスピース全体をしっかりくわえ、スーッと強く深く吸い込みます。マウスピース付近の通気口を指や唇で塞がないよう注意してください。
薬の味や感触がなくても、吸入できている場合があります。味がしないことだけを理由に追加でもう1回吸わないでください。
4.息を止める
吸入器を口から離し、無理のない範囲で3~4秒程度息を止めます。その後、ゆっくり息を吐きます。
5.カバーを閉じる
使用後はカバーを閉じます。吸入口が汚れた場合は乾いたティッシュなどで拭き、水洗いはしません。
6.うがいをする
吸入後はうがいをします。うがいが難しい場合は、口の中をすすいで吐き出します。口腔咽頭カンジダ症や嗄声の予防につながる大切な手順です。
エリプタで間違えやすいポイント
| 間違えやすい点 | 正しい対応 |
|---|---|
| 吸入前に吸入口へ息を吹き込む | 吸入口から離れて息を吐く |
| 通気口を指で塞ぐ | 通気口を避けて持つ |
| 味がしないため、もう1吸入する | 味の有無だけで追加吸入しない |
| カバーを何度も開閉する | 吸入直前に1回だけ開ける |
| 吸入後にうがいをしない | 毎回うがい、または口すすぎを行う |
| 吸入口を水洗いする | 必要時は乾いたティッシュで拭く |
残薬カウンターが「0」になった吸入器からは薬が出ません。カウンターが赤くなったら、次の吸入器を準備できているか確認しておくと安心です。
開封後の使用期限と保管
テリルジーは湿気を避けるためアルミ包装されています。使用開始の直前にアルミ包装を開封し、開封後は所定の期間内に使用します。従来の製品情報ではアルミ包装開封後6週間以内とされていますが、手元の患者向け説明書や最新の電子添文も確認してください。
高温多湿を避け、子どもの手が届かない場所で保管します。浴室や洗面所など湿気の多い場所は避けましょう。
主な副作用と受診・相談の目安
比較的みられることがある症状
- 口腔咽頭カンジダ症
- 声がかすれる、喉の違和感
- 口が渇く
- 動悸、手のふるえ
- 頭痛
口の中に白い苔のようなものが付く、口内の痛みが続く、声のかすれが治らない場合は相談してください。
早めに医療機関へ相談したい症状
- 吸入直後にかえって息苦しくなる
- 動悸や胸痛が強い
- 眼の痛み、かすみ、光の周りに虹が見える
- 尿が出にくい、下腹部が張る
- 発熱、痰の増加・変色、息苦しさの悪化
- 顔や喉の腫れ、じんましんなどのアレルギー症状
特にCOPDでは、肺炎と原疾患の増悪が似た症状を示すことがあります。いつもと違う変化を放置しないことが重要です。
使用前に医師・薬剤師へ伝えたいこと
- 閉塞隅角緑内障、または緑内障を指摘されたことがある
- 前立腺肥大などによる排尿障害がある
- 心疾患、不整脈、高血圧がある
- 糖尿病がある
- 感染症にかかっている、または治療中である
- 妊娠中、妊娠の可能性がある、授乳中である
- 他の吸入薬やβ₂刺激薬、抗コリン薬を使用している
お薬手帳には、吸入薬も忘れずに記録しておきましょう。名称が違っても同系統の成分が重複することがあります。
薬局で確認したいポイント
テリルジーが処方されたときは、薬を渡すだけでなく、実際の吸い方を確認することが大切です。
薬局では、次のような点を確認します。
- 100と200の規格、対象疾患が処方意図と合っているか
- 1日1回1吸入を継続できているか
- カバーを開けてから吸入まで正しく行えているか
- 吸気流量が確保でき、強く深く吸えているか
- 吸入後のうがいができているか
- 声のかすれ、口腔内症状、口渇、動悸、排尿障害がないか
- 喘息発作やCOPD増悪、レスキュー薬の使用が増えていないか
- 残薬カウンターと次回受診日が合っているか
一度できていた人でも、慣れるうちに手順が少しずつ変わることがあります。可能であれば吸入器や練習器を使い、定期的に実演してもらうと確認しやすくなります。
吸入指導に関する薬局実務は

喘息治療で用いられるICS/LABA配合剤とSMART療法について

よくある質問(FAQ)
テリルジー100と200は何が違いますか?
違うのは吸入ステロイド成分のフルチカゾンフランカルボン酸エステルの量です。100は100μg、200は200μgです。ウメクリジニウム62.5μgとビランテロール25μgは同じ量です。
COPDでもテリルジー200を使いますか?
いいえ。COPDに使用するのはテリルジー100です。テリルジー200は気管支喘息に使用する規格で、COPDの適応はありません。
テリルジー200のほうが効き目は強いですか?
吸入ステロイド量は200のほうが多いですが、誰にでも200が適するわけではありません。喘息で100を使用しても効果不十分な場合に、症状や増悪歴、吸入手技などを確認して医師が検討します。
1日2回吸ってもよいですか?
自己判断で回数を増やしてはいけません。通常は1日1回、1回1吸入です。症状が悪化した場合も追加でテリルジーを吸うのではなく、指示された発作治療薬を使用し、必要に応じて受診してください。
吸った感じや味がしません。もう一度吸うべきですか?
味や感触がなくても吸入できていることがあります。追加吸入はせず、残薬カウンターや吸入手順を確認してください。不安な場合は吸入器を薬局へ持参して相談しましょう。
吸入後のうがいを忘れたらどうすればよいですか?
気づいた時点でうがい、または口をすすいでください。口腔咽頭カンジダ症や嗄声の予防のため、今後は吸入とうがいをセットで習慣にすると忘れにくくなります。
テリルジーは発作時にも使えますか?
発作時の速やかな症状改善を目的とする薬ではありません。急な息苦しさには医師から指示された発作治療薬を使います。改善しない場合や症状が強い場合は、速やかに医療機関へ連絡してください。
調子がよい日は休んでもよいですか?
自己判断で休薬しないでください。症状がない日も気道の状態を安定させるため、処方どおり継続することが重要です。減量や中止は医師と相談して決めます。
まとめ|100と200は適応とステロイド量を確認
テリルジーは、ICS・LAMA・LABAの3成分を1つにまとめた1日1回の吸入薬です。
- 100と200で違うのは、吸入ステロイド成分FFの量
- UMECとVIの量はどちらも同じ
- 喘息では100または200を使用
- COPDでは100のみを使用
- 200は、喘息で100を使用しても効果不十分な場合に検討
- 発作時の薬ではなく、毎日続ける長期管理薬
- 吸入後はうがいを行い、吸入手技も定期的に確認する
「薬は毎日使っているのに効きにくい」というときは、薬の強さだけでなく吸い方や継続状況の確認も大切です。吸入器を薬局へ持参し、実際の手順を薬剤師と一緒に見直してみてください。
テリルジーエリプタ交付時の注意
テリルジーエリプタ吸入前
- 患者に使用説明書を渡し、使用方法を十分に説明すること
- 本剤は防湿のためアルミ包装されているので、使用開始直前にアルミ包装を開封するよう指導すること。
テリルジーエリプタ吸入時
本剤は口腔内への吸入投与にのみ使用すること(内服しても効果はみられない)。
テリルジーエリプタ吸入後
本剤吸入後に、うがいを実施するよう患者を指導すること(口腔咽頭カンジダ症又は嗄声の予防のため)。ただし、うがいが困難な患者には、うがいではなく、口腔内をすすぐよう指導すること。
テリルジーエリプタの作用機序
フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)
フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)は合成コルチコステロイドの一種(ICS)であり、炎症性サイトカイン産生の抑制、抗炎症蛋白発現の促進、上皮細胞の保護及び好酸球浸潤の抑制等の作用を介して抗炎症作用を示す。
ウメクリジニウム臭化物(UMEC)
ウメクリジニウム臭化物(UMEC)は長時間作用性の選択的ムスカリン受容体拮抗薬(LAMA)であり、気管支平滑筋に存在するムスカリン受容体へのアセチルコリンの結合を競合的に阻害することにより気管支平滑筋収縮を抑制する。
ビランテロールトリフェニル酢酸塩(VI)
ビランテロールトリフェニル酢酸塩(VI)は長時間作用性吸入β2刺激剤(LABA)であり、アデニル酸シクラーゼを活性化し細胞内の環状アデノシン一リン酸を増加させることで、気管支平滑筋を弛緩させる。
テリルジーエリプタ:エリプタ製剤の使用法
エリプタ製剤の使用説明書より、外観がコチラ。

テリルジーエリプタ:エリプタ製剤の特徴
エリプタ製剤は、カバーを開ける1ステップで吸入準備がが完了し、1日1回で薬効が得られます。カウンターの文字が大きく、みやすいというのも大きな特徴です。
エリプタ製剤の使用手順
- 「カチッ」と音がするまでカバーを開ける
- 「フーッ」と息を吐き出す
- マウスピース(吸入口)全体をしっかりくわえ、思いっきり「スーーーッ」と深く吸い込む
- 吸入器から口を離し3〜4秒程度、息を止める
- ゆっくりと息を吐き、いつも通りに呼吸をする
- 吸入後はうがいをする

エリプタ製剤使用上の注意点
- カバーを「カチッ」と開けるたびに薬剤はセットされる。吸入を行わない状態で開閉を繰り返すと、1回分以上はセットされずにデバイス内の廃棄容器に廃棄されていく。残薬カウンターも開閉のたびに減っていくため、残薬カウンター通りの残薬となるように設計されている。
- 残薬カウンターが0になると、開閉して「カチッ」と音がしても薬剤はセットされない。
- マウスピースの近くにある通気口を指や唇で塞がないように注意する
- アルミ包装から開封後6週間までは安定なので、6週間以内に使用する。
- 水洗い厳禁
今回は簡単に、こんな感じ。
吸入指導加算の新設で、吸入薬指導に関しても結構細かく質問されることが増えています。



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