経鼻インフルエンザワクチン「フルミスト」とは?注射より効果は高い?対象年齢・注意点を薬剤師が整理【2026年】

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経鼻インフルエンザワクチンをイメージした点鼻容器

こんにちはー!薬剤師のしぐです。

インフルエンザの季節になると、予防接種をどうするか気になりますよね。注射が苦手なお子さんがいるご家庭なら、なおさらです。

そして、ぼちぼち自分の薬局でもインフルエンザ治療薬の処方を受けることが多くなってきました。

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そんでもって、今回の話題は予防接種です。

この記事を書いた2019年には「鼻に噴霧するワクチンが申請中」と紹介しました。あれから状況が変わり、経鼻弱毒生インフルエンザワクチン「フルミスト点鼻液」は日本で承認され、2024年10月から発売されています。 当時の「経鼻なら注射以上の効果が期待できる?」という疑問にも、現在わかっていることを踏まえて答えます。

※この記事は2026年9月時点の情報です。接種の可否や費用、取扱い状況は医療機関に確認してください。

新剤形だった経鼻ワクチン、今はどうなった?

日本初の経鼻投与による季節性インフルエンザワクチンとして発売されたのが、第一三共の「フルミスト点鼻液」です。細いスプレー容器を使い、左右の鼻にそれぞれ噴霧します。注射針を刺さなくてよいのは、注射が苦手な子どもにはうれしいポイントです。

ただし、ここで2019年の記事から大きく訂正したいところがあります。現在国内で使えるフルミストは「不活化ワクチン」ではなく、弱毒化したウイルスを使う「生ワクチン」です。 当時の記事では別途開発中の経鼻不活化ワクチンとフルミストを続けて扱っていたため、両者が混ざって読める書き方になっていました。今、医療機関で「鼻のインフルエンザワクチン」と案内されるフルミストの説明として読み替えてください。

対象年齢と接種回数

左右の鼻に片方ずつ噴霧する接種イメージ

フルミストの対象は2歳以上19歳未満、つまり2~18歳。0.2mLを年齢にかかわらず1回、片方の鼻に0.1mLずつ噴霧します。2歳未満や19歳以上には国内の承認された用法がありません。

従来の注射する不活化インフルエンザワクチンは生後6か月から接種でき、日本では13歳未満に通常2回接種します。注射できる年齢と回数が異なるので、単純に「鼻のほうが手軽」とだけ判断しないことも大切です。

比べる点フルミスト注射のインフルエンザHAワクチン
ワクチンの種類経鼻弱毒生不活化
国内の対象年齢2歳以上19歳未満生後6か月以上
接種方法左右の鼻に各1噴霧皮下注射
接種回数1回13歳未満は通常2回、13歳以上は通常1回
主な接種部位の反応鼻水・鼻づまりなど注射部位の痛み・腫れなど
経鼻ワクチンと注射ワクチンの接種方法の違い

鼻に噴霧すると、なぜ効果が期待される?

インフルエンザウイルスは鼻やのどなどの粘膜から入り込みます。鼻に噴霧するフルミストでは、血液中の抗体だけでなく、鼻や気道の粘膜で働く免疫応答も誘導されると考えられています。

「注射ではIgG、経鼻ならIgAも」と聞くと、たしかに理にかなっているように思えます。うーーーーむ、納得の理由。

ただし、免疫の仕組みが魅力的なことと、実際の流行期に「注射より確実に効く」ことは別の話です。以前の記事の「流行するタイプが予想と違っても予防効果が出やすい」「良い点しかない」という表現は、現時点では言い過ぎでした。

注射よりも予防効果は高い?

フルミストが注射より高い予防効果を示す、と一律には言えません。 国内第Ⅲ相試験では、2~18歳の健康小児を対象として、フルミスト接種群の発症率は25.5%、プラセボ群は35.9%。プラセボに対する相対リスク減少率は**28.8%**でした。これは「打たなかった場合と比較して、その試験では発症リスクが相対的に28.8%低かった」という意味です。注射ワクチンと直接比較して28.8%優れていた、という意味ではありません。

インフルエンザワクチンの効果は、その年の流行株、年齢、過去の感染や接種歴などでも変わります。鼻から入れるから必ず感染を防げるわけでも、接種すれば絶対に発症しないわけでもありません。選ぶ際には、対象年齢、体質や持病、接種回数、医師の判断を合わせて考えたいですね。

フルミストの副反応と、接種前に確認したいこと

接種前の体調と服薬状況を確認するイメージ

国内試験でよくみられた副反応は鼻づまり・鼻水で、添付文書では59.2%。ほかに咳、のどの痛み、頭痛なども報告されています。注射の痛みがない一方、鼻やのどの症状は起こり得ます。まれでもショックやアナフィラキシーには注意が必要です。

生ワクチンなので、接種前にとくに確認したいのは次の点です。

  • 本人の免疫状態:明らかな免疫機能異常がある人、免疫抑制をきたす治療を受けている人は接種不適当です。経口・注射の副腎皮質ホルモンや免疫抑制薬との併用についても添付文書を確認します。
  • 喘息・喘鳴の有無:重度の喘息がある人や喘鳴がみられる人は接種に慎重な判断が必要です。「喘息なら全員接種不可」という意味ではありません。
  • 同居家族の状況:ワクチンウイルスが飛沫や接触で伝わる可能性があるため、接種後1~2週間は重度の免疫不全者との密接な接触を可能な限り避けるよう説明されています。免疫抑制治療中の家族がいる場合は接種前に医師へ伝えましょう。
  • 服用中の薬:抗インフルエンザ薬はワクチンの効果を弱める可能性があります。アスピリンなどのサリチル酸系医薬品、ジクロフェナク、メフェナム酸も添付文書上の併用注意です。
  • アレルギーなど:ゼラチンで重いアレルギーを起こしたことがある人、卵・鶏由来成分でアレルギーのおそれがある人は必ず相談してください。明らかな発熱や重い急性疾患がある場合も接種できません。

接種後に熱が出たり鼻の症状が強くなったりした場合は、ワクチンによる症状か、通常のインフルエンザなど別の感染症かを自己判断しないでください。接種後しばらくはワクチン由来のウイルスで迅速検査が陽性になる可能性もあるため、受診時には接種日を伝えると役立ちます。

接種後や流行期の体調確認には、普段から使い慣れた体温計が役立ちます

「海外から輸入していたフルミスト」はどう考える?

2019年の記事では、海外から個人輸入したフルミストを使う医療機関について触れ、「国内承認品がない段階で子どもに使うのは心配」と書きました。現在は国内承認品が発売済みなので、そのままの話として残すと誤解を招きます。

今は、受診する医療機関が扱う製品、接種対象、費用、接種前の確認事項をたずねるのが実用的です。フルミストは現時点で薬価基準未収載で、通常は任意接種として案内されます。自治体の助成の有無や自己負担額は地域・医療機関で確認してください。

まとめ:鼻スプレーという選択肢ができた。でも「効果は注射以上」とは決めつけない

2019年に「今後が気になる内容でした!」と書いた経鼻ワクチン。いまは実際に、日本で接種できる選択肢になりました。注射が苦手な2~18歳にとって、1回の点鼻で接種できる点は大きな魅力です。

一方で、生ワクチンならではの注意点がありますし、国内試験の28.8%という数字を注射との優劣に使うことはできません。本人と家族の健康状態、薬、接種できる医療機関などを確認したうえで、医師に相談して選ぶのがよいでしょう。

毎年注射って気が乗らない、という気持ちもわかります。でも、鼻のワクチンにも向き・不向きがある。ここまでわかったうえで選べるようになったのは、大きな変化ですね。

ではではー、しぐでしたっ。

ワクチンに加えて、外出後の手洗いを続けやすいアイテムも用意しておくと便利です

FAQ

フルミストは何歳から何歳まで受けられる?

国内で承認された対象は2歳以上19歳未満、つまり2~18歳です。2歳未満や19歳以上は対象外です。

鼻のワクチンは注射より効く?

一律に注射より高い効果があるとは言えません。国内試験で示された発症予防効果28.8%は、プラセボとの比較です。

接種は1回でいい?

フルミストは左右の鼻に1噴霧ずつ、合計1回の接種です。注射型の接種回数とは異なります。

予防接種後にインフルエンザの検査が陽性になることは?

添付文書では、接種後一定期間にワクチン由来のウイルスが迅速検査で陽性反応を示す可能性が記載されています。発熱時は受診先に接種日を伝えましょう。

根拠資料(編集者用。本文に外部リンクを差し込まない)

コメント

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