こんばんはーーしぐです。
今回は帯状疱疹について。
風邪やら、過労による疲れやらをきっかけに症状が出る患者さんが多い印象のこの疾患。
学生の頃あんまり勉強した記憶が、、、なかったりするし、少し前に新しくアメナリーフ錠が発売されたし、この際まとめてみました。
帯状疱疹とは
日本において年間約60万人が発症し、80歳までに3人に1人が罹患すると推定されてます。
発生割合は加齢に伴い増加し、特に50歳以降では発症割合が増加するため、人口の高齢化に伴い帯状疱疹患者は今後増加すると予想されています。
帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)によるウイルス性疾患であり、帯状に分布する皮膚病変と痛みが特徴です。VZVは小児期の初感染で水痘(水疱瘡)として発症し、水痘治癒後も生涯にわたり脊髄後根神経節に潜伏感染し続けています。
日本では成人の9割以上がVZVウイルスを保持していると考えられています。
加齢、疲労、ストレスなどにより宿主のVZVに対する免疫力が低下した際、VZVが再活性化し、神経を傷害しながら末端まで下向して帯状疱疹が発症すると言われています。このため、皮疹及び痛みは神経支配領域に一致して片側性に生じる。
多くは1〜2週間程度で皮膚症状の改善とともに痛みも消失するが、一部の症例で帯状疱疹後神経痛(PHN)に移行することがあります。
通常は症状から診断されるが、非典型的な症状の場合は2018年発売の「ウイルス迅速検査キット」による検査で、簡便かつ迅速(5〜10分で判定可)に検出できるようになりました。
水痘・帯状疱疹ウイルス迅速検査キット:デルマクイックVZV(マルホ)
帯状疱疹とヘルペスの違い
帯状疱疹は水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスは単純ヘルペスウイルスの感染によって起こります。この2つのウイルスはとてもよく似ており、両方とも、一度感染すると一生涯、体の中に潜んでいて、免疫力が落ちたときに症状が出てきます。水疱や痛みが出る症状もほとんど同じですが、帯状疱疹が主に上半身の片側に帯状にできるのに対し、単純ヘルペスは口の周りや性器などにできます。一般的に、帯状疱疹の方が症状の範囲が広く、痛みも強く、後遺症が残ることがあるといわれています。
帯状疱疹の症状
皮疹の出現前に、ピリピリとした神経痛のような皮膚の痛み(前駆痛)や痒みが数日〜1週間続きます。その後、浮腫性紅斑と水ぶくれ(水疱)、膿疱が帯状に出現し、徐々に痛みが強くなります。
上記の通り皮膚症状は体の片側に発症し、上半身に多くみられます。
皮膚症状の改善とともに痛みも消失して行き、皮疹出現後3〜4週間で治癒します。
こういった経過になるようです ↓
発症割合は加齢に伴い増加し、特に50歳以降では発症割合が増加するため、日本の高齢化に伴い患者数も増加すると予想されています。
帯状疱疹の治療
症状の早期改善及び合併症・後遺症のリスク軽減を目的として抗ヘルペスウイルス薬が投与されます。また、必要に応じて痛みに対する治療が行われます。
軽症から中等症の帯状疱疹は内服薬だけで十分治療が可能です。抗ヘルペスウイルス薬とともに、初期の痛みがあればアセトアミノフェンを併用します。
帯状疱疹の治療の目標は4つ!
- 皮疹の治癒促進
- 急性期痛のコントロール
- PHN発症の抑制
- 合併症の管理
抗ヘルペスウイルス薬
症状を早期に改善し、合併症や後遺症のリスクを軽減するために投与されます。通常は内服薬で、免疫機能が低下してる患者や重症患者であれば注射薬を使用することもあります。
抗ヘルペスウイルス薬は早期に服用するほど皮疹の重症化や痛みを抑えることができるため、皮疹出現後3日以内、遅くとも5日以内に投与を開始することが推奨されています。
鎮痛薬
皮疹出現時の痛みに対して、一般的にはアセトアミノフェンやNSAIDsが使用されます。重症例ではステロイドが使用され、痛みの種類や程度に応じてプレガバリン・ミロガバリン等も使用されます。
帯状疱疹発症時の生活指導
帯状疱疹の痛みの緩和や周囲への感染防止のために、患部のケアの方法・生活上の注意点についての指導が必要になります。
患部のケア
冷えると痛みが増すことが多いため、患部は冷やさずに温めて血行を良くする。
感染防止のために、水ぶくれを破らないようにする。
生活上の注意点
十分な睡眠と栄養を摂り、出来るだけ安静にする。
水痘罹患歴のない乳幼児にうつさないように、接触を控える。
帯状疱疹治療後の後遺症
皮膚症状が始まった後も3ヶ月以上続く痛みを「帯状疱疹後神経痛(PHN)」と言います。知覚神経の損傷により生じる痛みで、数年にわたって持続することもあります。
帯状疱疹患者の10〜50%で生じると言われており、帯状疱疹発症時の強い痛みや、高齢者でリスクが高くなります。
このPHNの予防のためにも、抗ウイルス薬は発症後できるだけ早く服用する必要があるんですよね。
PHNに対する治療薬
第一選択薬として多く処方されるのが、プレガバリンやガバペンチン、ミロガバリンなどのCaチャネルαδリガンド。
新薬ミロガバリンについてまとめた内容はこちら!
→ https://shg11710blog.com/タリージェ錠の作用機序や特徴/
他にもSNRIのデュロキセチン、三環系抗うつ薬のアミトリプチリンやノルトリプチリンなどが処方されます。
第二選択としてはワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液やトラマドールが処方されます。
これらの薬でPHN症状が軽減しない場合に、オピオイドの使用が考慮されます。
アメナリーフ錠について
有効成分
アメナメビル。2017年9月にマルホさんから発売されました。
効能効果
帯状疱疹のみ。単純疱疹の適応もないのがちょっと不思議。
ちなみに、バラシクロビルやアシクロビルの長期処方って見たことがありますか?
ウチの薬局では結構見る処方なんですけど、これは
「造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症の発症抑制」
での処方になりますねー。
用法用量
1日1回食後に、1回400mgを経口投与する。
1日1回2錠ってことですね〜
1日1回!というのがこのお薬のメリットですよね。
また、空腹時服用で最高血中濃度Cmaxが0.64倍に減少し、
血中濃度時間曲線下面積AUCが0.52倍に減少するため、必ず食後で服用するように指導しましょう!
原則、投与は7日です。
患者さんの状態しだいでの延長も考えられなくはないけど、原則としては7日間です。
作用機序
ウイルスのDNA複製に必須の酵素であるヘリカーゼ・プライマーゼ複合体の酵素活性を直接阻害することで、抗ウイルス作用を示す。
これまで使用されていたバラシクロビル(バルトレックス)やアシクロビル(ゾビラックス)、ファムシクロビル(ファムビル)といった核酸類似体とは全く違う作用機序のため、交差体制を示さない。
ちなみに核酸類似体は、VZVが増殖する際に必要なDNAポリメラーゼ活性を阻害することで抗ウイルス作用を発揮するんでしたよね〜。
特徴
腎排泄の寄与が少ないため、クレアチニンクリアランスといった腎機能に応じた用量調節が不要。
既存薬では細かな用量調節が必要だったため、アメナメビルの簡易な用法用量での固定は処方する医師も、調剤する薬局も、服用する患者さんも助かるよね!
この腎機能に左右されない用量から、高齢者にはアメナメビルが推奨されてるみたいですね。
もともと高齢者は水分摂取量が低下する傾向にあるため、特に抗ヘルペスウイルス薬を服用する際の水分摂取はしっかり行うように声がけが必要になります。
禁忌
CYP3Aを誘導するリファンピシンと併用すると、相互に代謝が促進され血中濃度が低下し、ともに作用減弱の可能性があるため禁忌。
リファンピシンは長期で服用してる患者さんも多いので、これは注意が必要ですね、、、。
ちなみに併用注意にはクラリスロマイシンやブロチゾラム、ニフェジピンやカルバマゼピンといったメジャーな医薬品がたくさん。気をつけましょう。
こんな感じですねーーー。
腎機能の検査も不要なので結構使いやすいって評判がいいらしいです。
ではではーしぐでしたっ
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