ガスター注射液10mg・20mgが限定出荷へ|日医工製品も制限、前投薬と銘柄変更の注意点

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ローズ色の背景に並ぶ注射薬のアンプルと空きのある薬品ラック

こんにちは、薬剤師のしぐです。

ガスター注射液10mg・20mgが、通常出荷から限定出荷へ変更されています。理由は需要増で、他社品の影響による限定出荷です。解除見込みは未定となっています。

先にファモチジン静注液「日医工」10mg・20mgも限定出荷となっており、採用施設では規格別の在庫と納期を確認しておきたい状況です。

今回のポイントは、入荷確認に加えて、銘柄変更時の液量・濃度・調製手順まで確認すること。ファモチジンを抗がん薬の前投薬として使用している施設でも、治療予定と必要量を早めに照合しておきたいですね。

供給情報の基準日:2026年10月23日/記事確認日:2026年10月25日

ガスター注射液の限定出荷:対象と変更点

確認項目ガスター注射液10mgガスター注射液20mg
製造販売元LTLファーマLTLファーマ
1管の含量・液量10mg/1mL20mg/2mL
出荷対応限定出荷(他社品の影響)限定出荷(他社品の影響)
理由需要増需要増
出荷量Aプラス:出荷量増加Aプラス:出荷量増加
限定出荷の解除見込み未定未定
出荷対応の情報更新日2026年10月23日2026年10月23日

10月23日は供給状況の情報更新日です。各施設への納入制限の開始日や、欠品が生じた日と同じとは限りません。

出典:厚生労働省「医療用医薬品供給状況(令和8年10月23日現在)」、PMDA電子添文。

「出荷量増加」でも限定出荷になるのはなぜ?

出荷量と出荷対応は、別の指標です。

ガスター注射液は出荷量が増えていても、すべての受注に対応できる状況ではないため、限定出荷となっています。今回の情報から、製造停止や減産を理由とした供給制限とは判断できません。

また、限定出荷は供給停止とは異なります。ただし、出荷が続いていても、卸の在庫、施設ごとの割当、発注量によって入荷の可否は変わります。「メーカーが出荷しているから、必要数がすぐ届く」とは限らない点に注意が必要です。

注射薬の在庫と入荷予定の確認をイメージした薬品棚とカレンダー

日医工のファモチジン静注液も限定出荷

ファモチジン静注液10mg・20mg「日医工」も、10月21日更新の供給情報では、需要増による限定出荷(他社品の影響)、解除見込み未定となっています。

複数の銘柄で制限が重なっているため、「いつもの銘柄が入らなければ、別の銘柄へ」と考えていても、その切替先が十分に確保できるとは限りません。

なお、「他社品の影響」という区分だけでは、どの企業のどの製品が直接の原因かまでは特定できません。日医工製品の制限がガスターの限定出荷を引き起こした、と断定することも避けたいところです。

抗がん薬の前投薬として使用している施設も確認を

ファモチジンは胃酸分泌を抑えるH2受容体拮抗薬ですが、がん薬物療法では、一部の抗がん薬の過敏反応・インフュージョンリアクションを予防する前投薬としても使用されます。

パクリタキセルなど、H2受容体拮抗薬を前投薬に組み込む治療では、抗がん薬本体の在庫だけでなく、支持療法薬も含めて治療予定と必要量を確認することが大切です。

ファモチジン自体の承認効能にある「麻酔前投薬」と、抗がん薬の前投薬は分けて考えます。抗がん薬の前投薬は、使用する抗がん薬の最新の電子添文と院内レジメンに沿って判断します。

供給不足だけを理由に前投薬を省略したり、胃酸分泌を抑えるという共通点だけでPPIへ置き換えたりすることはできません。代替や投与経路の変更を検討する場合は、処方医・薬剤部・化学療法室で事前に方針を共有する必要があります。

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銘柄変更では「20mg」の後ろの液量まで確認

今回、特に気をつけたいのが製剤の濃度です。同じファモチジン20mgでも、ガスターと日医工製品では1管の液量が異なります。

製品1管の含量1管の液量濃度
ガスター注射液10mg10mg1mL10mg/mL
ガスター注射液20mg20mg2mL10mg/mL
ファモチジン静注液10mg「日医工」10mg10mL1mg/mL
ファモチジン静注液20mg「日医工」20mg20mL1mg/mL

たとえば20mg投与では、ガスターの薬液量は2mL、日医工製品は20mLです。旧製品の「mL」の指示を引き継ぐと投与量の誤りにつながるため、必ず「mg」と「mL」をセットで確認します。

ガスター注射液の電子添文では、静脈内投与時は所定の希釈手順が示されています。銘柄変更時には、希釈の要否、最終液量、投与経路・速度、配合変化、添加剤まで確認し、オーダーマスターと調製手順をそろえて更新しておきたいですね。

大きさの異なるアンプルとシリンジ、調製手順を確認するノート

採用施設で早めに確認したいこと

確認事項具体的なポイント
規格別の在庫・納期10mgと20mgを分け、卸在庫、納入可能数、次回入荷見込みを確認する
治療予定と必要量手術・入院・外来化学療法の予定を含め、次回入荷までの必要数を見積もる
代替候補の供給他銘柄の採用可否と、新規・増量注文の受入状況を確認する
変更時の安全対策濃度、液量、希釈手順、投与方法、マスター表示を確認する
投与の必要性使用目的と期間を見直し、経口切替が適切な患者は処方医と検討する

経口切替はすべての使用目的で一律に行えるものではありません。特に抗がん薬の前投薬については、投与時刻や経路も含めて、レジメンごとの確認が必要です。

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薬局の視点:前投薬も治療を支える大事な薬

抗がん薬が確保できていても、前投薬の供給が不安定になれば、病院側には在庫調整や手順変更の負担が生じます。

保険薬局では注射薬を直接調製しないことも多いですが、病院からの治療情報や患者さんの説明を受け取る場面があります。供給の都合による変更なのか、症状や副作用への対応なのかを確認し、必要に応じて病院薬剤師へつなげていきたいところです。

入荷できる薬を探すことと、安全に使える手順を整えること。その両方を進めることが、供給不安の中でも治療をつなぐことにつながります。

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よくある質問

ガスター注射液は販売中止になるのですか?

今回確認した変更は限定出荷です。販売中止や供給停止という情報ではありません。

通常出荷へ戻るのはいつですか?

2026年10月23日版の供給情報では、解除見込みは未定です。最新の供給情報と、取引卸への納期確認が必要です。

ガスター錠やガスターD錠も対象ですか?

この記事で扱う変更は注射液10mg・20mgです。内服製剤の供給状況や包装変更は、別に確認してください。

同じ20mgなら、そのまま別銘柄へ変更できますか?

含量が同じでも液量や濃度が異なります。処方・採用の手続きに加え、希釈、投与方法、配合変化、調製手順の確認が必要です。

抗がん薬の前投薬を省略してもよいですか?

供給不足を理由に自己判断で省略しないでください。使用する抗がん薬の電子添文と院内レジメンを確認し、治療チームで対応を検討します。

参考・確認先

  • 厚生労働省「医療用医薬品供給状況」2026年10月23日版
  • LTLファーマ:ガスター製品情報・出荷情報
  • PMDA:ガスター注射液10mg/20mg 電子添文
  • 日医工:ファモチジン静注液10mg/20mg 電子添文
  • 社会保険診療報酬支払基金:審査事例679「抗悪性腫瘍薬投与前にH2受容体拮抗剤の投与を行う際のH2受容体拮抗剤の算定について」

供給状況は変わるため、採用・発注時には最新情報を確認してください。

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