
こんにちは、薬剤師のしぐです。
「まだ10月なのに、インフルエンザ?」
今年は、冬を待たずに対策を始めたい状況です。
2026年10月5〜11日の全国のインフルエンザ定点当たり報告数は12.81人。前年の同じ第41週の2.36人と比べると、約5.4倍になっています。
ただし、これは定点医療機関からの報告をもとにした比較です。
全国の感染者を全員数えた数字でも、重症化しやすさが5.4倍になったという意味でもありません。
今回は、10月の流行状況と、家庭・薬局・学校で今から確認したい対策を整理します。
※流行データは2026年10月16日公表の第41週を中心に、10月18日時点で確認しています。
2026年10月、インフルエンザはどのくらい増えている?
| 比較する項目 | 定点当たり報告数・比較結果 |
|---|---|
| 2026年第41週(10月5〜11日) | 12.81人 |
| 前週・2026年第40週 | 11.35人 |
| 前年同週・2025年第41週 | 2.36人 |
| 前週比 | 約1.13倍 |
| 前年同週比 | 約5.43倍 |
「前年同期の約5.4倍」と「前週から約1.1倍」は、比較する相手が違います。
定点当たり報告数は、報告を行う1医療機関当たりの平均患者数です。全国民に占める感染者の割合を表す数値ではありません。
今回の数字から分かるのは、昨年の同じ時期を大きく上回る水準で流行していること。
冬のピークの時期や規模まで、この1週間の数字だけで予測することはできません。
全国平均だけでなく、住んでいる地域を確認しよう
第41週は、47都道府県のうち39都道府県で前週より報告数が増えました。
主な都県の定点当たり報告数は次のとおりです。
| 地域 | 第41週の定点当たり報告数 |
|---|---|
| 全国 | 12.81人 |
| 沖縄県 | 31.34人 |
| 神奈川県 | 21.60人 |
| 埼玉県 | 20.99人 |
| 千葉県 | 19.55人 |
| 東京都 | 15.88人 |
埼玉県では、インフルエンザの流行注意報が発令中です。
全国の平均が、自分の地域や学校の状況をそのまま示すわけではありません。
都道府県の週報に加えて、学校からの欠席・学級閉鎖などの連絡にも目を向けたいところです。
なお、全国平均が10人を超えたことだけで「全国一律に注意報が発令された」と受け取らないようにしましょう。注意報などの発表は、自治体の最新情報を確認します。

家庭での対策は、基本を組み合わせる
対策は、どれか1つに頼らず組み合わせることが大切です。
| 場面 | 取り組みたいこと |
|---|---|
| 帰宅後・食事前 | 石けんと流水で手を洗う |
| 咳やくしゃみが出るとき | 咳エチケットを心掛け、可能ならマスクを着用する |
| 室内で過ごすとき | 換気設備を使い、こまめに空気を入れ替える |
| 体調が悪いとき | 無理な登校・出勤を避け、休養する |
| 家族が療養しているとき | コップやタオルの共用を避け、体調の変化を確認する |
2歳未満の子どもにはマスクを着用させません。年齢や体調に応じて、安全にできる対策を選びます。
ワクチンは「冬になってから」と決めつけない
インフルエンザワクチンには、発症の可能性を下げ、重症化を防ぐ効果が期待されます。
接種してすぐに十分な効果が出るわけではなく、効果が現れるまでの目安は約2週間です。
すでに流行している地域では、接種時期をかかりつけ医に相談しましょう。

年齢やワクチンの種類で接種回数・対象・注意点が異なるため、家族全員が同じ方法になるとは限りません。
受診のタイミングは、検査の陽性を待って決めない
インフルエンザは、発症して間もないと迅速抗原検査で陰性になることがあります。
陰性という結果だけで、感染を完全に否定することはできません。
一方で、「検査に出るまで必ず半日待つ」と一律に考えるのも避けたいところです。症状の強さや重症化リスクを踏まえ、受診先に相談してください。
特に、乳幼児、高齢者、妊婦、基礎疾患がある方や免疫機能が低下している方は、症状が出たら早めに医療機関へ相談しましょう。

次のような症状がある場合は、速やかな受診が必要です。
- 息苦しい
- 呼びかけへの反応が悪い
- けいれんする
- 水分が取れず、ぐったりしている
強い呼吸困難や意識障害など、緊急性が高い場合は救急要請をためらわないでください。
抗インフルエンザ薬は、早めの相談が大切
抗インフルエンザ薬は、一般に発症から48時間以内の開始で効果が得られやすい薬です。
ただし、すべての人に必須というわけではありません。
使用するかどうかや薬の種類は、年齢、病状、基礎疾患などから医師が判断します。
48時間を過ぎた場合も、症状が重いのに相談を諦めないことが大切です。

薬局では、薬の渡し方と療養中の説明をセットに
薬局で確認したいのは、「薬を飲めるか」だけではありません。
以下は、流行期に取り入れたい実務上の確認例です。
| 確認すること | 対応の例 |
|---|---|
| 発症した日時 | 治療開始までの経過を確認する |
| 年齢・体重・基礎疾患 | 処方内容が患者さんに合っているか確認する |
| 吸入ができるか | 操作を実演し、本人が理解できているか確認する |
| 市販薬や常用薬 | お薬手帳に加え、かぜ薬・解熱鎮痛薬なども確認する |
| 嘔吐や飲み忘れ | 自己判断で追加せず、相談するよう伝える |
| 家庭での見守り | 子どもを一人にしない体制や、再受診の目安を確認する |
吸入薬は、薬を渡しただけでは治療が完了しません。

本人が操作できるか、保護者が補助できるかを確認することが重要です。
発熱のある患者さんの待機場所や連絡方法も、薬局内で共有しておきたいところ。
電話での事前連絡など、店舗に合った方法で、待ち時間と接触機会を減らす工夫につなげます。
子どもの異常行動は、薬の種類にかかわらず注意
インフルエンザでは、急に走り出す、部屋から飛び出そうとするなどの異常行動が報告されています。
抗インフルエンザ薬を使っていない場合にも起こり、特定の薬だけの問題として扱うことはできません。
少なくとも発熱から2日間は、窓や玄関の施錠など、転落・飛び出し事故を防ぐ対策を取ります。
また、診断され治療が始まった後は、治療開始から少なくとも2日間、子ども・未成年者を一人にしない配慮が必要です。
窓やベランダから離れた場所で休ませ、夜間も見守れるようにします。
2日を過ぎても体調や言動がおかしい場合は、見守りを続けて医療機関へ相談してください。

学校では「換気・欠席状況・登校再開」を共有する
学校薬剤師は、続けられる換気を一緒に考える
学校では、手洗いなどの保健指導に加え、教室の換気状況を確認します。
例えば、窓を開ける場所、換気扇の稼働、授業中と休み時間の運用を、教職員と具体的に共有しておくと行動につながります。
二酸化炭素濃度の測定も、換気状況を考える手掛かりになります。

ただし、測っているのはウイルス量ではありません。
「数値が低いから絶対に感染しない」とは考えず、欠席状況や教室の使い方も合わせて確認します。
学校薬剤師の役割については、関連記事「学校薬剤師とは?仕事内容・年間スケジュール・検査内容を現役薬剤師が解説」でも整理しています。

登校再開には、2つの条件がある
インフルエンザの出席停止期間は、原則として次の両方を満たすまでです。
- 発症した後5日を経過すること
- 解熱した後2日を経過すること(幼児は3日)
発症日・解熱日は、それぞれ0日目として数えます。
小学生・中学生が月曜日に発症し、水曜日に解熱した場合の例です。
| 曜日 | 発症からの日数 | 解熱からの日数 |
|---|---|---|
| 月曜日 | 発症日・0日目 | ― |
| 火曜日 | 1日目 | ― |
| 水曜日 | 2日目 | 解熱日・0日目 |
| 木曜日 | 3日目 | 1日目 |
| 金曜日 | 4日目 | 2日目 |
| 土曜日 | 5日目 | 3日目 |
| 日曜日 | 6日目・両条件を満たせば登校可能となる日 | 4日目 |
この例では、金曜日に解熱後の日数を満たしても、発症後5日をまだ経過していません。
日曜日が登校可能となる最も早い日で、実際の登校は学校の授業日程に従います。
解熱が遅ければ、登校可能日も後ろにずれます。
学校医等が感染のおそれがないと認めた場合の例外もあるため、個別の指示を確認してください。
薬剤師として大切にしたいのは「帰宅後の行動」まで伝えること
流行の数字を知ることは、対策の入り口です。
薬局なら、薬の使い方に加えて、今夜は誰が子どもを見守るのか、どんな症状なら再受診するのかまで伝える。
学校なら、換気の確認に加えて、発症日と解熱日を家庭と共有し、安心して休める環境につなげる。
「薬が出たから大丈夫」「熱が下がったから明日から登校」と判断しないよう、生活の中の行動に置き換えて説明することが大切だと感じます。
2026年10月は、すでに流行を意識して動きたい時期です。
地域の最新情報を確認しながら、家庭・薬局・学校でできる対策を重ねていきましょう。
よくある質問
Q. 前年の約5.4倍ということは、重症化リスクも5.4倍ですか?
いいえ。今回の約5.4倍は、定点当たり報告数を前年同週と比較した数字です。個人の感染確率や重症化リスクの倍率を示してはいません。
Q. 検査で陰性なら、インフルエンザではないですか?
発症直後などは陰性になることがあります。症状や周囲の流行も含めて医師が判断するため、陰性でも症状が続く・悪化する場合は相談してください。
Q. 薬を飲んで熱が下がれば、翌日から登校できますか?
原則として、発症後と解熱後の両方の日数を満たす必要があります。熱が下がったことだけで登校は再開できません。
Q. タミフル以外の薬なら、異常行動の心配は不要ですか?
いいえ。薬の種類や使用の有無にかかわらず注意が必要です。施錠などの事故防止対策と、保護者等による見守りを行います。
Q. 学校復帰のために、もう一度検査を受ける必要がありますか?
出席停止期間を経過した後に、復帰のためだけに改めて検査を受ける必要はありません。国は治癒証明書・陰性証明書の提出も不要としています。
保護者が記入する経過報告書など、学校の連絡方法は確認しましょう。



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