
こんばんは、薬剤師のしぐです。
今回の通知を読んだとき、最初に出てきた言葉は「うそだろ……」でした。
サンドのゾニサミドOD錠25mg・50mgTRE「サンド」が自主回収。その理由が、個装箱の「口腔内崩壊錠」という表記を「口膣内崩壊錠」と誤って印刷していた、というものです。
正直、あきれるというか、バカバカしいというか。医薬品の箱で、こんな間違いが起きるのか。そして、どうして出荷前に止められなかったのか。通知を読み進めるほど、そんな疑問が残りました。
ただ、怒りだけで終わらせるわけにもいきません。薬局では回収対象を確認し、患者さんの不安を受け止め、治療を途切れさせない対応が必要です。
今回は、この自主回収で何が起きたのか、薬そのものの安全性はどう説明されているのか、そして薬局でどう対応するのかを整理します。あわせて、医薬品の表示を確認する責任と、再発防止のあり方について考えてみます。
まず結論|薬そのものの品質不良ではなく、個装箱の誤表記による回収
2026年10月13日から自主回収が始まったのは、ゾニサミドOD錠25mg・50mgTRE「サンド」の対象ロットです。回収区分はクラスIIです。
今回のポイントは次のとおりです。
- 正しい表示は「口腔内崩壊錠」
- 個装箱では「口膣内崩壊錠」と誤って表示
- 誤記は個装箱の4か所で、PTPシート・アルミピローにはない
- 製品そのものの品質、有効性、安全性に関する問題は確認されていない
- 別の投与経路と解釈される可能性を完全には否定できないため回収
「回収」と聞くと、成分の混入や含量の異常を想像するかもしれません。しかし今回は、箱の表示に関する問題です。メーカー通知では、膣内投与を含む誤使用の事例は確認されていないとされています。
とはいえ、品質に問題がないことと、誤表記された製品を流通させてよいことは別の話。対象品は回収案内に沿って対応する必要があります。
「口腔」が「口膣」に。さすがに、これは笑って済ませられない
「腔」と「膣」。似ている字ではあります。それは、認める。
でも、医薬品の剤形を示す場所に、違う身体部位を連想させる文字が入ってしまった。その表示のまま製品が流通したという事実には、やはり驚きます。
しかも、通知では個装箱の4か所に同様の誤記があるとされています。4か所それぞれで独立した入力ミスが起きたのか、共通の原稿が使われたのかは分かりません。しかし、印刷物の完成形を確認する段階で止められなかったことは、重く受け止めるべきだと思います。
誰が入力し、どの工程で誤りが生じたのか。確認した人は何を見ていたのか。通知からは、その詳細までは分かりません。故意だった、悪ふざけだった、と決めつけることもできません。
それでも、医薬品を扱う仕事に求められる責任感や、確認への姿勢まで考えさせられます。
患者さんが毎日使う薬です。家族や介護職が服薬を支える場面もあります。その箱に書かれている情報が正しいことは、あまりにも基本的な前提ですよね。
「普通は分かるでしょう」「OD錠なのだから間違えないでしょう」。それに頼ってよいのでしょうか。現場で誤使用を防げる可能性が高いとしても、出荷時の表示管理が十分だったことにはなりません。
【ここに、添付通知の誤表記比較画像を挿入】
※キャプション例:個装箱の誤表記と正しい表記。誤記は箱の4か所に認められた(サンドの2026年10月通知)。
回収対象ロット|規格・包装・製造番号をセットで確認する
対象は次の組み合わせです。
| 規格 | 包装 | 製造番号 |
|---|---|---|
| 25mg | PTP30錠 | L0002 |
| 25mg | PTP100錠 | L0002 |
| 50mg | PTP30錠 | L0002 |
| 50mg | PTP100錠 | L0002 |
| 50mg | PTP100錠 | L0003 |
「L0002」という番号だけを見て判断せず、販売名・規格・包装まで合わせて確認しましょう。ゾニサミド製剤すべて、あるいは他社品まで一律に回収されるという通知ではありません。
回収対象は、製造番号だけでなく、規格と包装の組み合わせで確認します。対象範囲や返却方法については、購入先卸やメーカーの最新案内も確認してください。


薬の回収は、名前が似ているだけでも確認を誤りやすいものです。ほかの回収情報も、このように、対象ロットと回収理由を分けて整理しておくと実務に役立ちます。



薬局では、在庫確認と患者さんへの説明を並行して進めたい
対象在庫を分け、購入先卸へ確認する
まずは未開封箱だけでなく、開封済み在庫も含めて確認します。対象品があれば通常の調剤用在庫と分け、誤って使用しないように管理します。
箱を廃棄している場合は、残っている包装の情報や入庫記録などを手がかりに確認します。一包化済みで製造番号が追えないケースでは、入庫・調剤の記録から対象品を使用した可能性を整理し、メーカーや卸に確認しましょう。
返却範囲、開封済み品の扱い、代替品の手配は、個別の案内に沿って進めます。「薬自体は大丈夫らしいから、そのままでいい」と薬局だけで決める場面ではありません。
患者さんには「箱の表示の問題」と説明する
患者さんから「この薬、飲んでしまったけれど大丈夫?」と聞かれたら、回収理由を具体的に伝えることが大切です。
「今回の回収は、箱の剤形表示に誤りがあったためです。メーカーは、薬そのものの品質や有効性、安全性に問題は確認されていないと説明しています。お手元の薬が対象か確認しますので、自己判断で中止したり捨てたりせず、薬局にご相談ください」
このように、回収理由と手元の薬への対応を分けて説明したいところです。誤表記を面白おかしく強調する必要はありません。患者さんにとって大切なのは、正しい飲み方と、これからの治療がどうなるかです。
次の処方まで見据えて、治療継続を確認する
回収対象品の返却と、次回の薬を確保できるかは別々に確認が必要です。最新の供給状況、同じ適応を持つ製品の在庫、処方・調剤上の変更手続きまで見据えておきたいところです。
代替品を検討する場合も、成分名だけで選ばず、承認された効能・効果、規格、剤形、用法・用量を確認し、必要な処方変更や疑義照会につなげます。回収対応で急いでいるときほど、別の取り違えを起こさない確認が大切です。

「中身に問題なし」でも、表示の間違いを軽く扱えない理由
今回の回収で考えたいのは、医薬品の安全な使用には、中身の品質だけでなく、正しい情報が必要だということです。
薬が正しく製造されていても、名前、規格、剤形、使用方法などの表示が誤っていれば、使う側の判断を迷わせる可能性があります。箱は単なる入れ物ではありません。医薬品を識別し、正しく扱うための情報を載せたものです。
今回、メーカーは通常どおり経口投与された場合の健康被害の可能性は低く、重篤な健康被害のおそれはないと説明しています。この説明は、不安を感じている患者さんに伝えるべき重要な情報です。
一方で、「健康被害の報告がない」と「表示の管理に問題がなかった」は同じ意味ではありません。結果として誤使用が確認されていなくても、誤った表示が流通した事実は残ります。
薬局では処方箋や電子添文などを確認して、投与経路や使い方を確かめます。その確認が誤投与を防ぐ役割を果たすとしても、メーカーの表示確認を肩代わりすることを前提にはしてほしくありません。
現場で気づくだろう、専門職なら分かるだろう。そうした期待に頼るのではなく、正しい表示の製品を出荷する。その基本を改めて求めたい事例です。

モラルまで考えさせられる。でも、必要なのは原因と仕組みの説明
今回の誤表記を見て「誰がこんな間違いを……」と感じたのは、単に文字が違ったからではありません。
医薬品の表示は、誰かの健康と治療を支える情報です。その仕事に対する責任を、どこまで共有できていたのか。確認作業が、形だけになっていなかったか。そんなことまで考えてしまうからです。
ただ、通知だけで担当者個人のモラルが低かったと結論づけることはできません。誤入力をした人がいたとしても、それを検出する仕組みが機能していたかは別に検証する必要があります。
原稿の照合、版下の確認、変更時の管理、出荷前の表示確認。どこで誤りが入り、どの確認で見逃されたのか。「今後は注意します」だけでは、同じことが起きないと安心するのは難しいですよね。
メーカー通知には、原因究明と再発防止、品質管理体制の強化に努めるとあります。今後知りたいのは、その具体的な中身です。
今回の回収では、薬局も卸も対象品を調べ、在庫を分け、返却を進めます。患者さんへの説明や、治療を継続するための確認も発生します。一文字の間違いで終わる話ではなく、現場の時間と信頼にまで影響する問題なのです。
まとめ|「うそだろ」で終わらせず、表示の信頼性を問い直したい
今回の通知には、正直あきれました。医薬品の箱で、どうしてこんな間違いが通ってしまったのか。バカバカしいと思うほどの内容なのに、現場では真剣に回収対応をしなければならない。その落差にも、やりきれなさがあります。
一方で、薬そのものに問題が確認されていないことは、患者さんに落ち着いて伝えたいところです。対象ロットを確実に確認し、服薬を自己判断で中止しないよう支える。薬局としては、まずその対応を進めます。
薬の中身が正しいことも、箱の表示が正しいことも、患者さんが安心して使うための基本です。その基本を支える確認が、どこで機能しなかったのか。今回の自主回収には、具体的な説明と再発防止を求めたいと思います。
よくある質問
ゾニサミドOD錠「サンド」はなぜ自主回収されたのですか?
対象ロットの個装箱で「口腔内崩壊錠」が「口膣内崩壊錠」と誤って表示されていたためです。別の投与経路と解釈される可能性を完全には否定できないことから回収されています。
薬そのものに問題がありますか?
メーカー通知では、製品そのものの品質、有効性、安全性に関する問題は確認されていません。誤記は個装箱に限定され、PTPシート・アルミピローにはないとされています。
手元の薬を飲むのをやめた方がよいですか?
自己判断で中止・廃棄せず、調剤した薬局に相談してください。対象ロットかどうか、交換や治療継続の方法を個別に確認します。
他社のゾニサミドも回収対象ですか?
今回の通知は、ゾニサミドOD錠25mg・50mgTRE「サンド」の対象ロットに関するものです。他社品やすべてのゾニサミド製剤が一律に対象という意味ではありません。
箱を捨ててしまった場合はどうすればよいですか?
薬が残っている包装やお薬手帳を用意し、調剤した薬局に相談してください。薬局では包装に残る情報、入庫・調剤記録などを確認し、必要に応じてメーカーや卸に問い合わせます。
表示が直った製品はいつ出荷されますか?
添付のメーカー通知では、正しい表示の箱の出荷時期を2027年春頃予定としています。ただし、これは通知時点の予定で、供給再開日を確約するものではありません。最新の供給・回収対応はメーカーや購入先卸に確認してください。


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