こんばんは!薬剤師のしぐです。
2026年3月23日、ニュベクオ錠300mg(一般名:ダロルタミド)に、アンドロゲン受容体(AR)陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺癌という新しい適応が追加されました。
ダロルタミドというと、これまでは前立腺がんの治療薬として名前を聞くことが多かったと思います。
そのダロルタミドが、今回新たに唾液腺がんにも適応を広げたということで、個人的にもかなり注目していました。

唾液腺がんは頻度の高いがんではなく、治療選択肢が限られる場面も少なくありません。
そうした中で、こうして新たな選択肢が加わるのはとても大きな意味があると思います。
今回は、ダロルタミドの唾液腺がんへの適応追加について、承認内容やポイントを簡単に整理してみます。
ちなみに、適応追加に伴い、医薬品の箱の表記も多少変更になってます。

今回ダロルタミドに追加された適応「唾液腺がん」とは
今回ダロルタミドに追加された効能・効果は、
アンドロゲン受容体陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺癌
です。
ここで大事なのは、単に「唾液腺がんに使えるようになった」というわけではないことです。
ポイントは2つあって、
まずひとつは、AR陽性であること。
もうひとつは、根治切除不能な進行・再発例であることです。
つまり、対象はかなり明確に絞られていて、病理学的な確認が重要になります。
実際、AR陽性の確認についても、経験のある病理医や検査施設での適切な評価が必要とされています。
こういう“適応の細かい条件”は、実臨床では見落とせないところですよね。

ダロルタミド「唾液腺がん」での用法・用量のポイント
今回の適応での用法・用量は、
ゴセレリン酢酸塩との併用において、通常、成人にはダロルタミドとして1回600mgを1日2回、食後に経口投与
となっています。
ここで注意したいのは、ダロルタミド単独ではなく、ゴセレリンとの併用が前提になっている点です。
前立腺がんでダロルタミドに触れる機会があると、つい「ニュベクオね」と薬そのものに意識が向きがちですが、今回の唾液腺がんの適応では、併用条件まで含めて確認することが大切だと思います。
薬剤師として処方を見るときにも、
• 適応は合っているか
• AR陽性は確認されているか
• ゴセレリン併用になっているか
このあたりはしっかり押さえておきたいところです。
承認の根拠になったのはDISCOVARY試験
今回の承認の根拠となったのは、国内第II相試験のDISCOVARY試験です。
対象となったのは、
AR陽性の根治不能で、手術や放射線療法の適応とならない局所進行または再発・転移唾液腺がん患者です。
試験では、
- ダロルタミド 600mgを1日2回食後に内服
- ゴセレリン 3.6mgを4週間間隔で投与
という形で有効性と安全性が評価されました。
唾液腺がんのような希少がん領域では、大規模試験のデータをどんどん積み上げるのが難しいことも多いので、こうした試験結果をもとに承認までつながったこと自体、とても意義が大きいと感じます。
希少がん領域での意義は大きい
唾液腺がんは、日常診療の中で頻繁に出会うがん種ではありません。
だからこそ、情報も限られやすいですし、治療選択肢の追加ひとつひとつの重みが大きいと思います。
今回の適応追加は、希少疾病用医薬品としての位置づけも含めて、アンメットメディカルニーズの高い領域への前進といえそうです。
前立腺がん領域で使われてきたダロルタミドが、こうして別のがん種で新たな役割を持つようになるのは、とても興味深い流れですよね。
薬剤師としても、「知っている薬が別のがん種でどう使われるのか」を追っていくのは大事だなと改めて感じます。
薬剤師として気になるポイント
今回の適応追加で、個人的にまず押さえておきたいと思ったのは、やはり次の3点です。
1. AR陽性が前提であること
適応患者の選定で最重要のポイントです。
「唾液腺がんなら使える」ではなく、AR陽性の唾液腺がんであることが前提です。
2. ゴセレリン併用であること
処方鑑査の視点ではかなり重要です。
ダロルタミドだけに目がいかず、併用薬もセットで確認したいところです。
3. 前立腺がんのときと同じ感覚で見ないこと
同じ薬剤でも、がん種が変われば患者背景も治療の位置づけも変わります。
「ダロルタミドだから分かる」ではなく、今回の適応における使い方として理解することが大切だと思います。

ダロルタミドの唾液腺がん適応追加:まとめ
ダロルタミド(ニュベクオ)は、2026年3月23日に
AR陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺癌
に対する新規適応追加の承認を取得しました。
用法・用量は、ゴセレリン酢酸塩との併用で1回600mgを1日2回、食後投与です。
唾液腺がんは希少がんであり、治療選択肢が限られる場面もある中で、今回の承認はとても大きなトピックだと思います。
前立腺がん領域で知られていたダロルタミドが、新たに唾液腺がんでも使われるようになったことで、薬剤師としても今後の位置づけや実臨床での使われ方をしっかり追っていきたいところです。
こういう新しい適応追加の話題って、添付文書や審査報告書を少し丁寧に見るだけでも、かなり学びが深いですよね。
自分自身も、またひとつ勉強になりました。

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