薬局DOTSの概要や方法。結核に負けない社会づくりに調剤薬局も協力しましょう!

薬剤師のしぐです。

DOTSという言葉。ドッツと読みます。

薬局DOTSという言葉。聞いたことありますか??

正直、薬局独自で取り組むものではないためなかなかその存在自体を知る機会もないかもしれません。自分が住んでる市内でも数えるほどの薬局しか実施していないと聞いています。

自分の薬局では、定期的にその機会があり、自分が薬局長になってからも数名の患者様の抗結核薬の服薬完了を見守ってきました。

今回はその概要から、結核、治療薬までまとめていくよー

結核とは

結核とは「結核菌」という細菌が直接の原因となって起こる病気です。咳をするときに出る「飛沫」中の菌を吸入する事で感染が広がります。

最初は炎症から始まります。結核菌は肺に感染することが多いのですが、 肺に感染すると、肺炎のような症状を引き起こします。

人体のいろいろな臓器にも病気を起こします。

初期の炎症が進むと、やがて「化膿」に似て組織が死んで腐ったような状態になります。この状態の時期が肺結核ではかなり長く続き、レントゲンなどに写る影の大半がこの状態の病巣です。

その後死んだ組織がどろどろにとけて、気管支を通して肺の外に排出されると、そこは穴のあいた状態になります。これが空洞です。空洞の中は空気も十分にあり、 肺からの栄養もあるので結核菌には絶好のすみかとなり、菌はどんどん増殖します。

空洞をもった結核患者が「感染源」になりやすいのはこのためです。

このような病巣からの菌が肺の他の場所に飛び火したり、またリンパや血液の流れに乗ったりして、他の臓器に感染することもあります。

こうして結核は肺全体、全身に広がって行きます。そして最後には肺の組織が破壊されて呼吸困難になり、他の臓器の機能にも影響を与え、生命の危機を招くことになります。

DOTSとは

まず、DOTSとは。世界で推進される結核の治療システムのことです。

DOTS (Directly Observed Treatment Short Course:直接服薬確認治療)とは、WHOが提唱している結核抑圧のための戦略です。喀痰塗沫陽性患者の服薬を第三者が確認し、治療中断・再発及び薬剤耐性菌の出現を防止するために、確実な治癒を目指します。

主として、医療従事者が直接患者さんに薬を手渡し目の前で服用を見届けるという方法です。その結果、より確実な服薬を実現できるというシステムです。

また、潜在性結核感染症の者においては、発症を予防するため、潜在性結核感染症の治療を確実に行うことが重要となります。

そのため、全結核患者及び潜在性結核感染症の者をDOTS対象者とする事になりました。

保健所は結核患者が確実に服薬し治療を完遂するため、医療機関と連携をとりながら支援する役割があります

この方式はすべての途上国はもちろん米国のような先進国でも採り入れられ、世界標準の結核治療方式になりました。 日本でも「感染症法」で「患者が規則的に服薬を完遂するように保健所と主治医が連携して患者を支援すること」が規定されています。

薬局DOTSとは

上記DOTSを薬局と患者さん間で行い、服用状況を保健所に報告するのがこの薬局DOTSです。

1番のメリットとして、患者さんのライフワークに合わせて、保健所職員が対応できる時間以外でも実施できる点。

自分の薬局で薬局DOTSをおこなっている患者さんは、平日仕事をしてるので土曜日じゃないと都合が合わないとのことでほぼ土曜日固定で来局してくれています。

土曜日も開局している薬局であれば、土曜日での対応が難しい保健所の担当者さんも助かりますからね。

契約締結

この薬局DOTSを行うにあたって、薬局と保健所、患者さんとで契約を結びます。

患者さんが保健所に依頼して、保健所と提携してる薬局で実施する。という流れ。

薬局も保健所から依頼されて行う活動となり、実はDOTS実施一件あたりに手数料をいただ蹴たりします。

でもコレは薬局主体でやるものではないので、保健所からの言い値というか。もらえるだけラッキーぐらいのもの。

ホントに地域医療への貢献というところが大きいです。

この薬局DOTSを始めたことで、薬局スタッフの結核に対する考えが改まったというか、再認識できたという部分も結構あるし。

薬局としてイイこと尽くめですね。

顔合わせ

契約を結ぶ際は、薬局薬剤師、保健所職員、患者で顔を合わせながら行います。

予約日の確認、次回来局予定日の確認、服薬状況をどうやって確認するか。等々。

初回の打ち合わせもここで行います。

自分の薬局の市の保健所は「最低でも1ヶ月に1回は服薬状況確認をしてほしい」という方針らしく、処方日数が2ヶ月を超えてくる場合でも、服薬状況確認のためだけに薬局に来きてねと患者さんに指導していました。

服薬状況の確認方法

確認方法はいくつかありますが、現実的なのが「服用済み薬剤の空ヒート」を確認することと、「服薬手帳の記載内容」を確認すること。

ほとんどの方がこの方法での確認を行なってます。

お薬の空ヒートを数えて、服薬手帳も確認して、しっかり飲めてるようであれば服薬手帳にチェックする。

「しっかり飲めてるみたいですね。また1ヶ月がんばって継続しましょう!」

みたいなやりとりをして服薬確認終了。

確認後のフィードバック

服薬状況確認後は、服薬確認内容を保健所にフィードバックします。

どういった方法で、どのように確認し、その結果どうだったか。

決められた書式にて保健所にフィードバック。もちろん、飲み忘れや副作用など気になることがあれば随時保健所に電話し、状況を伝える義務もあります。

保健所担当者
保健所担当者

1回でも飲み忘れがあれば、保健所に連絡してください。
保健所から指導に行きます。

と、言われています。結構厳しくチェックしてるようです。保健所さん。

結核根絶のためには、国をあげての協力が必要というわけですね〜

薬局DOTSまとめ

まとめると、こんな感じ

  • 保健所主体で、患者さん、薬局、保健所との協力で行う
  • 1ヶ月に1回は服用状況の確認を行う
  • 処方箋がなくても空ヒートと服薬手帳のみ持参してもらい服薬確認する
  • 飲み忘れが習慣化しないように、1回でも飲み忘れていたら保健所から指導が入る

ホントに何よりも、地域医療への貢献です。

抗結核薬の注意点等まとめ

では、最後に各種抗結核薬の注意点等カンタンにまとめておきます。

イソニアジド(イスコチン):INH

作用機序

細胞壁の合成阻害

副作用等注意点

肝障害・末梢神経炎・視神経炎 ※予防にビタミンB6:ピドキサールを用いる

リファンピシン(リファジン):RFP

作用機序

RNAポリメラーゼ阻害

副作用等注意点

肝障害・尿、便、唾液、涙が赤色に着色

ピラジナミド(ピラマイド):PZA

作用機序

たんぱく合成阻害

副作用等注意点

肝障害・尿酸値上昇

エタンブトール(エサンブトール):EB

作用機序

細胞壁の合成阻害

副作用等注意点

視神経炎

こんな感じですねー

ではでは、しぐでしたっ

コメント

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