調剤ベースアップ評価料|管理薬剤師も対象に?NPhAが要望、現行制度と薬局の対応を解説

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調剤ベースアップ評価料|管理薬剤師も対象に?NPhAが要望、現行制度と薬局の対応

鮮やかな青と金色の階段、薬局を表す陶器の建物と薬瓶

こんにちは、薬剤師のしぐです。

「薬局の賃上げを支える制度なのに、管理薬剤師は対象外なの?」

調剤ベースアップ評価料の対象を確認して、そんな疑問を持った方もいるのではないでしょうか。

日本保険薬局協会(NPhA)が、薬局開設者に雇用され、調剤や患者対応に従事する管理薬剤師を、賃金改善の対象に含めるよう求めました。

ただし、管理薬剤師が対象になったと決まったわけではありません。2026年10月10日時点で確認した厚生労働省の公開情報では、管理薬剤師は引き続き対象外です。

今回のニュースは、対象範囲の見直しを求める動きです。現場としては期待したい一方で、給与計算や報告書は現行ルールに沿って進める必要があります。

この記事では、今回の要望と現在の制度を整理し、薬局で何を確認しておきたいかをまとめます。

NPhAは何を求めた?

2026年10月8日のNPhA定例会見を伝えた報道では、骨太方針2026等を踏まえた薬局・薬剤師政策への見解が紹介されています。

その中でNPhAは、現行の調剤ベースアップ評価料が管理薬剤師を一律に対象外としていることについて、見直しを求めました。

要望の中心は、薬局開設者に雇用され、調剤や患者対応を担う管理薬剤師を対象に含め、そのための財源を確保することです。

「管理薬剤師」という肩書きがあっても、経営者として給与や人員を自由に決められるとは限りません。日々の処方監査、服薬指導、疑義照会に入りながら、薬局の管理も担っている。そんな働き方があることを踏まえた問題提起といえます。

なお、今回の要望内容は、公開報道で確認したものです。協会の原本については直接確認できていないため、提出先や制度変更の開始時期など、確認できていない情報は断定しません。

薬局職員のさまざまな役割を表す三つの薬瓶と無地のフォルダー

現行制度では、管理薬剤師は対象外

厚生労働省の届出説明では、当該保険薬局に直接勤務する職員を対象とする一方、管理薬剤師、40歳以上の薬剤師、事業主・使用者・開設者、業務委託で勤務する人などを除外しています。

主な区分は次のように整理できます。

職員の区分現行の取扱い
40歳未満の勤務薬剤師他の除外条件に該当しなければ対象
管理薬剤師年齢にかかわらず対象外
40歳以上の薬剤師対象外
薬局に直接勤務する事務職員薬剤師と同じ40歳の年齢制限はない。他の除外条件は確認が必要
事業主・使用者・開設者対象外
業務委託で勤務する人対象外
他の事業所等を主な勤務先とし、当該薬局の調剤業務等に直接従事せず管理業務に専従する本部職員等対象外

例えば、35歳の薬剤師でも管理薬剤師であれば対象外です。一方、事務職員は「40歳以上だから」という理由だけで除外されるわけではありません。

対象を確認するときは、年齢と職種だけでなく、管理者かどうか、勤務先、雇用・契約関係も確認したいところです。

「管理薬剤師」と「管理監督者」は同じではない

今回の要望で押さえておきたいのが、この点です。

薬機法上の薬局の管理者であることと、労働基準法上の管理監督者に当たることは、別の問題です。厚生労働省も、管理監督者に該当するかは役職名だけで決まらず、職務内容、責任・権限、勤務の実態、待遇などを踏まえて判断すると説明しています。

言葉確認する制度・意味
管理薬剤師薬機法上、薬局の管理を担う立場
管理監督者労働基準法上、実態に基づいて判断される立場
調剤ベースアップ評価料の対象職員調剤報酬の施設基準・通知等で定められる範囲

ここで注意したいのは、「労基法上の管理監督者ではないから、現行の評価料でも対象になる」と読み替えることはできないということです。

NPhAは、こうした立場の違いを踏まえて対象範囲の変更を求めています。現在の制度で対象になるかどうかは、あくまで現在の施設基準等に沿って判断します。

薬局管理の責任をイメージした鍵とクリップボード、薬のシート

対象外でも、管理薬剤師の昇給が禁止されているわけではない

職員への説明では、この点が大切です。

評価料の収入を充てられる対象と、薬局として給与を上げる対象は同じとは限りません。

厚生労働省の説明では、評価料の収入を対象外の職員の賃上げに使うことはできません。しかし、それは管理薬剤師の給与を上げてはいけないという意味ではありません。

薬局独自の原資による基本給の見直し、職責に応じた手当の見直しなどは、評価料の取扱いとは分けて検討することになります。

例えば、対象職員へのベースアップと、管理薬剤師の職責に応じた処遇改善を同時に行う場合でも、「誰に、どの原資で、何を引き上げたか」を説明できる形にしておきたいですね。

職員に「制度上の対象外です」とだけ伝えると、「仕事を評価されていない」という受け止め方になるかもしれません。制度の説明に加えて、薬局として処遇をどう考えているかまで共有することが、納得感につながると考えます。

現在は4点、2027年6月から8点の規定

調剤ベースアップ評価料は、施設基準を満たして届出を行った保険薬局で、処方箋の受付1回につき4点を算定する仕組みです。

現行の調剤報酬点数表には、2027年6月以降、所定点数の200%に相当する点数で算定する規定があります。4点の200%なので8点です。

時期処方箋受付1回当たり
2026年6月〜2027年5月4点
2027年6月以降8点(現行の点数表に規定)

ただし、点数が上がることと、管理薬剤師が対象になることは別です。

「来年8点になるから、そのとき管理薬剤師も対象になる」という変更を確認できたわけではありません。点数の規定と対象範囲の見直しを混同しないようにしましょう。

薬局では、どれくらいの収入になる?

ここからは、仕組みをつかむための単純計算です。

仮に、評価料を算定する受付が月2,000回ある薬局では、現在の4点の場合、次の計算になります。

2,000回 × 4点 × 10円 = 月80,000円

同じ算定回数で8点になれば、月160,000円です。

仮定4点の場合8点の場合
月2,000回算定月80,000円月160,000円
同じ回数が12か月続く年960,000円年1,920,000円

これは評価料収入の概算で、職員一人ひとりの給与増額を示すものではありません。また、処方箋枚数がそのまま算定回数になるとは限らないため、実際の試算はレセコン等で確認した算定回数を使います。

対象職員が何人いるか、賃金改善をどう行うかによって、一人当たりの増額は変わります。関連する費用の取扱いもあるため、収入を人数で割った数字を、そのまま「手取りがこれだけ増える」と説明するのは避けたいところです。

薬局の賃金改善計画をイメージしたノートと計算機、硬貨

薬局で今、確認しておきたい4つのこと

以下は、制度を踏まえた実務上の提案です。

1.対象職員の一覧を整理する

職種、年齢、管理薬剤師かどうか、主な勤務先、雇用・契約関係を整理します。

給与を計算する担当者と薬局側で認識が違うと、対象外の職員を含めた計算につながりかねません。「薬剤師だから対象」「若いから対象」といった一つの条件だけで決めないことが大切です。

異動、管理薬剤師への就任、誕生日などで状況が変わる場合の取扱いは、最新の通知・様式や管轄の地方厚生局で確認しましょう。独自の基準日を決めて処理しないようにしたいですね。

2.評価料の収入と給与改善の記録を照合する

月々の算定収入と、対象職員への賃金改善の記録を整理します。

「賃上げはした」という事実に加えて、報告時に説明できることが必要です。対象職員への改善と、対象外の職員への独自の改善がある場合は、記録上も区別できるようにしておくと確認しやすくなります。

3.職員への説明をそろえる

管理薬剤師、勤務薬剤師、事務職員では、制度上の取扱いが異なります。職員同士で断片的な情報が伝わる前に、薬局として説明をそろえておきたいところです。

「制度上の対象範囲」「今回の給与改善」「薬局独自の処遇方針」を順に説明すると、何が制度によるものかが伝わりやすくなります。

4.要望の続報と、正式な変更を確認する

今後は、NPhAの続報に加え、厚生労働省の告示・通知・疑義解釈、届出様式の更新を確認します。

もし見直しが実現した場合も、対象となる管理薬剤師の条件、年齢要件との関係、開始日、届出・報告方法を確認してから運用へ反映します。

しぐ的には、現場の責任と処遇を一緒に考えたい

管理薬剤師は、薬局の管理だけをしているとは限りません。

難しい処方の確認に入り、欠品時の対応を考え、患者さんや医療機関への連絡を担い、スタッフからの相談にも応じる。そうした業務と薬局管理が重なっている現場もあるでしょう。

だからこそ、「管理者」という名前だけで賃上げ支援から外れることに、違和感を持つのは自然だと思います。

一方で、制度の対象を広げるなら、財源も一緒に考える必要があります。同じ原資をより多くの職員で分けるだけなら、現在対象になっている職員への改善幅が小さくなる可能性があるからです。これは制度設計を考えるうえでの論点であり、実際の影響が決まっているわけではありません。

現場で担う役割を処遇に反映し、それを続けられるだけの原資を確保する。今回の要望は、この二つをセットで考えたいニュースです。

薬剤師の役割や患者対応に使う時間については、関連記事「薬局ビジョン×AI」でもまとめています。

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まとめ

NPhAは、雇用されて調剤や患者対応を担う管理薬剤師を、調剤ベースアップ評価料の対象に含め、財源も確保するよう求めました。

現時点では要望段階です。現在の対象範囲を変更して給与計算や報告を行えるわけではありません。

薬局では、対象職員の確認、原資と賃金改善の記録、職員への説明を進めながら、正式な制度変更を確認していきたいですね。

FAQ

Q1.管理薬剤師も、調剤ベースアップ評価料の対象になった?

いいえ。2026年10月10日時点で確認した公開情報では対象外です。今回のニュースは、NPhAが対象範囲の見直しを求めたという内容です。

Q2.40歳未満の管理薬剤師なら対象?

現行制度では対象外です。管理薬剤師という除外条件は、40歳以上の薬剤師という条件とは別に示されています。

Q3.雇用されている管理薬剤師も対象外?

現行の取扱いでは対象外です。今回NPhAが対象に含めるよう求めているのは、開設者に雇用され、調剤や患者対応に従事する管理薬剤師です。

Q4.管理薬剤師の昇給はできない?

評価料の対象外であることは、昇給の禁止ではありません。薬局独自の原資による処遇改善と、評価料の収入の使途を分けて考えます。

Q5.40歳以上の事務職員も対象外?

薬剤師に設けられた40歳の年齢制限が、そのまま事務職員に適用されるわけではありません。直接勤務しているか、他の除外条件に該当しないかを確認します。

Q6.2027年6月の8点化と一緒に、管理薬剤師も対象になる?

現行の点数表には8点に相当する規定がありますが、それだけで管理薬剤師の対象化を意味しません。対象範囲の正式な変更は別に確認する必要があります。

Q7.今すぐ管理薬剤師を対象者一覧に追加してよい?

要望だけを根拠に追加することはできません。現在の施設基準等に沿って運用し、正式な変更が出た場合に条件や開始時期を確認します。

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