ウパシカルセトを血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症の適応、効能効果で承認申請

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薬剤師のしぐです。

この2020年、新しい腎疾患・透析関連治療薬が立て続けに発売になります。

これまでも紹介してきた内容が、コチラ。

今回紹介させていただくのが「ウパシカルセト」

三和化学研究所さんからの発売になります。透析関連の患者さんは色々な合併症・腎機能に応じた服用薬の減量等必要になるの、通常の服薬指導よりも気を張った投薬になります。

ではでは、このウパシカルセトの適応症の詳細や同効・類似薬等わかりやすくまとめてみます!

ウパシカルセトの適応症、効能効果

血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症

「血液透析下」ということで、剤形は静注用の注射になります。

全く同じ「血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症」の適応、効能効果ではエテルカルセチド〈パーサビブ静注透析用〉がすでに小野薬品さんから販売されています。

調剤薬局で馴染みのある「二次性副甲状腺機能亢進症治療薬」ではシナカルセト〈レグパラ錠〉、エボカルセト〈オルケディア錠〉があります。ちなみに、両剤の適応、効能効果は「維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症」です。

二次性副甲状腺機能亢進症とは

まずは、ここから。ウパシカルセトの適応症にある二次性副甲状腺機能亢進症。

二次性副甲状腺機能亢進症について、説明できる薬剤師さんは意外と少ないので、ここを押さえてから治療薬の作用機序を待とめていきます。

慢性腎不全やくる病といった甲状腺以外の病気が原因で血液中のCa濃度が低下し、副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌される疾患を、二次性副甲状腺機能亢進症といいます。

このうち、維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症(腎性副甲状腺機能亢進症)は、慢性腎臓病(CKD)の進行に伴うリンの排泄低下およびビタミンD活性化障害に伴う血中Ca濃度低下により、副甲状腺ホルモン(PTH)の過剰分泌を引き起こすことで生じます。

血液中のリン(P)の上昇、カルシウム(Ca)の低下は副甲状腺を刺激し、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌を促します。この副甲状腺ホルモン(PTH)が、カルシウムを骨から血液中に送り出したり、腎臓や腸から吸収したりして、血液中のカルシウム濃度を上昇させる働きを持っています。

この副甲状腺の刺激が長期間続くと、副甲状腺は腫大し血液中のカルシウム(Ca)値に関係なく副甲状腺ホルモン(PTH)を過剰に分泌するようになってしまいます。

副甲状腺ホルモン(PTH)の過剰分泌は、骨吸収を亢進させることで骨痛や骨折を生じさせ、骨から血中へのCaやリンの放出を過剰に亢進させる事で血液中のカルシウム濃度が必要以上に高くなり、心血管などの石灰化を引き起こします。

こうした背景から、透析患者では血清CaおよびPTH濃度の管理目標値が設定されていることがほとんどです。

どうでしょう、ご理解いただけましたか?

要するに、ポイントはこういうこと

  • 腎機能低下によりP値上昇
  • 腎機能低下によるビタミンD3の活性化が困難となり、Ca値の吸収低下
  • P値上昇・Ca値低下によりこの状況を補正するためにPTHの過剰分泌へ
  • PTH過剰分泌が長く続くと、P値・Ca値に関係なくPTH分泌が続く
  • PTHの過剰分泌によりCa値が上昇し、心血管イベント発生!

こんな感じです。最終的な目標は「心血管イベントの抑制」ということです!

腎疾患の最終的な病態も、やはり心血管イベントに結びついてきます。

循環器疾患の学習は、どの疾患にも関わらず必要になってくるということですね、、、。

ウパシカルセトの作用機序

ウパシカルセトは透析回路から投与する注射薬です。

ウパシカルセトは副甲状腺のカルシウム感知受容体(CaSR)に作用してPTHの過剰な分泌を抑制するという作用機序です。

上記の二次性副甲状腺機能亢進症の発生機序にある「Ca濃度の低下によるPTHの過剰分泌」。

ココでカルシウム感知受容体を刺激することで、カルシウム値の低下を補うためのPTH分泌を抑制することができるというわけですね。

類似薬のシナカルセト〈レグパラ錠〉には「過度の低カルシウム血症を避けるため血清補正Ca濃度9.0mg/dl以上の条件下で投与」という条件もあります。おそらく、このウパシカルセトにも同様の条件が設けられると予想されます。

ウパシカルセト販売承認申請の概要

三和化学研究所は8月25日、血液透析下における二次性副甲状腺機能亢進症治療薬・ウパシカルセトナトリウム水和物(一般名、開発コード:SK-1403)を日本で承認申請したと発表した。申請は同日付で、2021年度の承認取得・上市が期待される。

ウパシカルセトは透析回路から投与する注射薬。同社は、「透析患者さんは飲水量が厳しく制限されている中で、多くの薬を内服することが負担になっている」と指摘。同剤は注射薬ということで、「患者さんへの内服の負担がなく、確実な投与が期待される」としている。透析回路から投与する二次性副甲状腺機能亢進症治療薬としては、小野薬品が製造販売元のパーサビブ静注透析用(一般名:エテルカルセチド塩酸塩)がある。

二次性副甲状腺機能亢進症は、慢性腎臓病の進行に伴って発症する合併症のひとつで、副甲状腺から副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌される病態。PTHが過剰に分泌されると骨からリンおよびカルシウムの血中への流出が促進され、結果、骨折や、心血管系への石灰化による動脈硬化などの発症リスクが高まり、生命予後に影響を及ぼすことが報告されている。

ウパシカルセトは副甲状腺のカルシウム感知受容体(CaSR)に作用してPTHの過剰な分泌を抑制する。旧味の素製薬(現EAファーマ)の創製品で、三和化学は2014年に味の素から日本での独占的な開発・販売権を取得し、開発した。承認取得後は三和化学が単独で販売及び情報提供・収集活動を行う予定。

三和化学は糖尿病・腎疾患領域に経営資源を集中しており、ウパシカルセトの承認取得・上市により、同領域の製品ラインナップを強化する。

ウパシカルセトの概要

まだ販売承認申請の段階であるため、用法用量や薬価など、詳細は決まってないです。

また詳細決まり次第、まとめます。

とりあえず、新規医薬品ウパシカルセト販売承認申請の情報共有でした!

今回はこんな感じー

ではではーしぐでしたっ

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