薬剤師のしぐです。
今回はテクフィデラカプセルについてです。
自分の薬局では5名くらいかな?の患者さんが継続されています。
もともと珍しい疾患で、作用機序なんかも独特なこのテクフィデラ。
2017年の2月に発売になったのですが、最後にカンタンに紹介する他の類似薬と違い、常温保管の普通薬として、普通に、薬品棚に並んでます。
あまりふれる機会そのものが少ないかもしれないですが、見やすく、わかりやすいように特徴なんかも一緒にまとめていきますね〜
テクフィデラカプセルとは
有効成分
フマル酸ジメチル
なんだか化学の授業で普通に出てきそうな名前。
構造式もこんな感じで、結構シンプルなんですよね。
効能効果
多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制
※進行型多発性硬化症に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。
用法用量
通常、成人にはフマル酸ジメチルとして1回120mg1日2回から投与を開始し、1週間後に1回240mg1日2回に増量する。なお、いずれの場合も朝・夕食後に経口投与する。
本剤の主な副作用である潮紅、消化器系副作用等が認められた場合には、患者の状態を慎重に観察しながら1ヵ月程度の期間1回120mg1日2回投与に減量することができる。
なお、1回240mg1日2回投与への再増量に対して忍容性が認められない場合は、本剤の投与を中止すること。
テクフィデラカプセルの作用機序
テクフィデラカプセルは、多発性硬化症に対する経口病態修飾薬です。
フマル酸ジメチルは、酸化や炎症、生体異物ストレスを軽減する重要な細胞防御機構であるNrf2転写経路を活性化する事で、免疫反応を引き起こすマクロファージの活性化や炎症性サイトカインの放出を抑え、酸化ストレスから神経細胞を保護します。
多発性硬化症の再発予防および身体的障害の進行抑制に用いられます。
炎症から軸索損傷や神経変性がどのように起こるのかは十分に明らかになっていませんが、多発性硬化症病巣における神経細胞の損傷には、マクロファージやミクログリアによる炎症性サイトカインの放出や、白血球の活性化および中枢神経系への移行の促進、酸化ストレスによるミトコンドリアの損傷が関与するといわれています。
テクフィデラカプセルの特徴
空腹時投与で副作用が生じやすいので、用法用量通りしっかり食後での服用を指導する必要があります。
また、カプセル内容物に腸溶性コーティングが施してあるので噛んだり脱カプセルしたりはできません。
併用禁忌
これも、テクフィデラの特徴と言えるかもしれないのですが、これほど特殊な疾患に対する、特殊なお薬にも関わらず、禁忌がないんです!!
使いやすいよね。禁忌の心配がないと。
妊婦さんにも有益性投与。
併用禁忌もない。スバラシイ。
こういったよく処方されるけど、禁忌が多いお薬ってのが、なかなか、確認が大変。
テクフィデラカプセルの副作用や注意点
- 潮紅:20.7%
- 下痢:9.0%
- 腹痛:6.3%
- 悪心:6.3%
- ほてり:5.4%
- そう痒症:5.4%
副作用は全般的に、服用開始後1ヶ月の間に多くみられます。
潮紅は頻度の高い副作用ですが、そのまま服用継続することで軽減していくことも多々あるため、症状を診て服用継続で経過をみるという医師も多いみたい。
副作用が出現するようであれば、1ヶ月間程度は120mg/回、1日2回投与に減量できる。維持用量への再増量に忍容性が認められない場合は投与を中止する。
リンパ球・白血球減少といった重大な副作用の報告もあるため、投与開始前および投与中は少なくとも3ヶ月に1回は血液検査による血球数の測定を実施する。
といった対応を行う事になってます。
テクフィデラの薬価
- テクフィデラカプセル120mg:2069.7円/カプセル
- テクフィデラカプセル240mg:4142.6円/カプセル
そりゃまあ、高いよね。
特定疾患の治療薬ですからね。
ちなみに、各販売包装がこんな感じ。
- テクフィデラカプセル120mg:14カプセル包装:28,975円/箱
- テクフィデラカプセル240mg:28カプセル包装:115,993円/箱
用法用量をしっかり理解してると、なぜこんな包装になってるのかが分かりますね。
多発性硬化症:MS
多発性硬化症の概要
特定疾患の1つで、髄鞘が変性・脱落することで中枢神経に繰り返し炎症が起こる原因不明の疾患です。自己免疫を介した炎症により脱髄が起こると考えられています。
多発性硬化症は脳・脊髄・視神経に病変が散在するのが特徴で、症状が多彩です。
視神経に障害が出ると、視力低下や眼の痛みが現れます。
運動神経が障害されると、四肢の脱力もみられます。
他にも顔面麻痺や、脊髄障害による排尿障害、痺れなどが現れます。
平均発症年齢は20~30代で、女性に多いのも特徴です。
薬物療法などにより寛解状態になると、各種症状も落ちつきます。患者さんによっては、年に1回症状が出るか出ないか。といった状態にまで落ち着くみたい。
多発性硬化症の治療
多発性硬化症の治療は急性期・再発および進行抑制の慢性期・各症状に対する対症療法に分けられます。
急性期の治療
- ステロイドパルス療法
- 血液浄化療法
慢性期の治療
- インターフェロンβ(ベタフェロン皮下注、アボネックス皮下注等)
- フィンゴリモド(ジレニアカプセル、イムセラカプセル等)
- 免疫抑制剤(アザチオプリン、シクロホスファミド等)
- ナタリズマブ(タイサブリ点滴静注)
- グラチラマー(コパキソン皮下注)
今回はこんな感じです〜
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Amazonさんでの評価も高く、これ1冊で概要から治療まで多発性硬化症について何を聞かれてもある程度自信が持てる程にまで知識を得られます。
第一章〜第十章まであり、それぞれ概要・症状・検査や診断・経過・各期の治療・日常生活の過ごし方といったように、要点をおさえて、見やすくまとめてくれています。
ではではーしぐでしたっ
コメント
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