
こんにちは、薬剤師のしぐです。
トリキュラー錠28の供給が再開されました。バイエル薬品は2026年10月21日から受注を再開し、10月22日に案内を掲載しています。
継続して服用している方にとって、供給再開はうれしいニュースです。ただし今回は、ロット番号と使用期限の出荷順序が前後する「ロット逆転」があります。
薬局では使用期限の確認と棚の並べ替え、服用している方には飲み方と副作用の再確認が大切です。
まず押さえたいポイントは、次の4つです。
- 受注再開日は2026年10月21日。メーカーの区分は通常出荷です。
- 後から入荷した製品のほうが、使用期限が短い場合があります。
- 国内で承認されている効能・効果は「避妊」です。
- 脚の急な腫れや痛み、突然の息切れ・胸痛などは血栓症のサインです。
トリキュラー28の供給再開|入荷までは時間差も
今回の対象は、トリキュラー錠28の280錠包装[28錠(PTP)×10]です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受注再開日 | 2026年10月21日 |
| 対象包装 | 280錠[28錠(PTP)×10] |
| 統一商品コード | 341104450 |
| 販売包装単位のGS1コード | 14987341104457 |
| 出荷量の状況 | A:出荷量通常 |
| 製造販売業者の対応 | ①:通常出荷 |
受注再開日は、メーカーの物流センターが特約店からの注文を受け始める日です。すべての医療機関や薬局に、当日から届くという意味ではありません。
地域によっては、発注から納入まで数日~1週間程度かかる場合があります。手持ちが少ない方は、次のシートを始める直前まで待たず、処方元や受け取り先へ相談しておきましょう。

ロット逆転とは?後から届く薬の期限が短いことも
ロット逆転とは、ロット番号や使用期限と出荷の順序が前後することです。今回は、在庫調整に伴う物流上の対応によって発生しています。
| ロット番号 | 使用期限 | 出荷予定時期 |
|---|---|---|
| WE25DN | 2030年4月30日 | 2026年10月下旬 |
| WE25DP | 2031年1月31日 | 2026年10月下旬 |
| WE241P | 2030年4月30日 | 2026年12月初旬 |
出荷時期は流通在庫の状況によって前後する場合があります。
たとえば、10月下旬出荷予定のWE25DPは2031年1月末が使用期限ですが、12月初旬出荷予定のWE241Pは2030年4月末です。後から届く製品のほうが、期限が約9か月短くなります。
メーカーは、今回のロット逆転による品質・有効性・安全性への影響はないとしています。
薬局では「期限が近い製品を先に使う」
入荷した順番で機械的に奥へ補充すると、期限の短い製品が棚の奥に残る可能性があります。
実務では、次の対応がおすすめです。
- 納品時にロット番号と使用期限を現物で確認する。
- 既存在庫と比較し、期限が近い製品を先に使える配置にする。
- 在庫管理システムにも実際の期限を登録する。
- 複数シートを交付するときは、予定される服用期間まで期限内であることを確認する。
今回の「ロット逆転」は物流・在庫管理の話です。シート内の錠剤を飲む順番が変更されたという意味ではありません。
そもそもトリキュラーは何に使う薬?
トリキュラーは、レボノルゲストレルとエチニルエストラジオールを配合した低用量の経口避妊薬です。
国内で承認されている効能・効果は「避妊」。特定の疾患の治療を主目的として承認されている薬ではなく、薬価基準にも収載されていません。
排卵を抑えることを中心に、子宮頸管の粘液や子宮内膜にも作用して妊娠を防ぎます。
月経困難症の治療薬と混同しない
「ピル」と呼ばれる薬には、避妊を目的とするOCと、月経困難症などの治療を目的とするLEPがあります。
月経困難症は、月経に伴う痛みや不調によって日常生活に支障が出る状態です。排卵や子宮内膜の増殖を抑えるホルモン製剤が治療に用いられることがありますが、製品ごとに承認された目的や飲み方が異なります。
トリキュラーについて「生理痛やPMS、子宮内膜症の治療薬」と一括りに説明するのは適切ではありません。月経症状を相談したい場合は、症状と治療目的に合う薬を医師と検討します。

性感染症は予防できない
トリキュラーでは、HIVやクラミジアなどの性感染症は予防できません。感染予防にはコンドームの使用が大切です。
また、避妊効果は100%ではありません。飲み忘れや飲み始めの遅れを防ぎ、指定された方法で続けることが重要です。

「28錠」の中身は?ホルモン入り21錠+プラセボ7錠
トリキュラーは、ホルモンの配合量を3段階で変える「3相性」の製剤です。
| 服用する順番 | 錠剤 | 錠数 | レボノルゲストレル/エチニルエストラジオール(1錠中) |
|---|---|---|---|
| 1~6日目 | 赤褐色 | 6錠 | 0.050mg/0.030mg |
| 7~11日目 | 白色 | 5錠 | 0.075mg/0.040mg |
| 12~21日目 | 淡黄褐色 | 10錠 | 0.125mg/0.030mg |
| 22~28日目 | 大きめの白色 | 7錠 | 有効成分なし(プラセボ) |
1日1錠、毎日ほぼ同じ時刻に、シートの矢印どおりに飲みます。28錠を飲み終えた翌日から、出血の有無にかかわらず次のシートを始めます。
最後の7錠はプラセボですが、毎日飲む習慣を保ち、次のシートの開始忘れを防ぐ役割があります。28錠を飲み終えてから、さらに7日間休むことはしません。
白色の錠剤には有効成分入りとプラセボの両方があるため、色だけで選ばず、必ずシートの順番を守りましょう。
最も注意したい副作用は血栓症
血栓症は、血管内にできた血のかたまりが血流を妨げる病気です。肺塞栓症や脳卒中など、命に関わる状態につながることがあります。
若い方や喫煙していない方でも起こる可能性があります。「リスクが少なそうだから大丈夫」とは言い切れません。
この症状は服用を中止して救急受診
| 症状 | 注意したい状態 |
|---|---|
| 脚の急な強い痛み・腫れ | 深部静脈血栓症など |
| 突然の息切れ・息苦しさ、胸痛 | 肺塞栓症など |
| 突然の激しい頭痛 | 脳血管障害など |
| 手足の力が入らない、麻痺する | 脳血管障害など |
| ろれつが回らない、急に見えにくくなる | 脳血管障害など |
こうした症状が出たら、服用を中止し、直ちに救急医療機関を受診してください。急な呼吸困難や麻痺などがある場合は119番を利用します。
受診時には「トリキュラーを服用している」と伝え、お薬手帳やシートを示しましょう。
軽い症状でも相談したいサイン
脚の痛み・腫れ・しびれ・赤み・熱感、いつもと違う頭痛、吐き気や嘔吐などにも注意します。
頭痛や吐き気は比較的よくみられる副作用でもあるため、症状だけで自己診断はできません。急な発症、普段と違う強さ、脚の症状や視覚異常の併発があれば、単なる飲み始めの不調と決めつけないことが大切です。
血栓症が疑われるときは、症状が軽くても直ちに服用を中止し、医師へ相談してください。
吐き気・乳房の張り・不正出血なども
比較的みられる副作用には、吐き気、頭痛、嘔吐、乳房の張り、下腹部痛などがあります。不正出血、むくみ、体重増加などが起こる場合もあります。
服用を続けるうちに軽くなる症状もありますが、強い症状や長引く症状を我慢する必要はありません。
特に、出血が長く続く、量が多い、腹痛を伴う場合は婦人科へ相談しましょう。皮膚や白目が黄色くなる場合も受診が必要です。

使えない方・事前確認が必要な方
服用前には、血栓症の既往、喫煙、片頭痛の種類、持病、妊娠・授乳の有無などを確認します。
特に、次の方などは使用できません。
- 血栓性静脈炎、肺塞栓症、脳血管障害などがある、または既往がある方
- 35歳以上で1日15本以上喫煙する方
- 視界に光が見えるなどの前兆を伴う片頭痛がある方
- 手術前4週以内、術後2週以内、産後4週以内の方
- 長期間安静状態にある方
- 妊娠中・妊娠の可能性がある方、授乳中の方
これは禁忌のすべてではありません。重い肝障害や特定のがんなども確認が必要です。
また、脱水や体を動かせない状態では血栓症のリスクが高まります。手術の予定、長期の安静、嘔吐・下痢による脱水などがある場合は、早めに処方医へ連絡してください。水分補給だけで血栓症を防げるわけではありません。
供給再開と「服用再開」は分けて確認する
ここは、供給再開のニュースに合わせて特に確認したいところです。
薬が再び流通することと、中断した方がそのまま飲み直せることは別の話です。
4週間以上中断した後の服用再開では、血栓症リスクが上昇し、再開後3か月間は特に注意が必要です。以前問題なく飲めていた方も、間が空いた場合は医師の確認を受けてください。
薬局では「前回から変わりありませんか?」だけでなく、次のように具体的に確認すると、中断を把握しやすくなります。
- 最後にホルモン入りの錠剤を飲んだ日はいつか
- 今はどの薬を、シートの何錠目まで飲んでいるか
- 薬が足りずに飲めなかった期間がないか
- 供給停止中に別の製品へ変更していないか
- 妊娠の可能性や、新しい持病・薬がないか
別の製品へ変更していた方は、余った薬と再入荷した薬を自己判断で組み合わせず、切替日と飲み方を確認しましょう。
飲み忘れや併用薬の確認も大切
有効成分入りの錠剤を飲み忘れ、翌日までに気づいた場合は、忘れた錠剤をすぐに飲み、その日の錠剤も通常どおりに飲むのが添付文書上の対応です。
2日以上連続して飲み忘れた場合は、服用を中止し、次の月経を待って再開することとされています。その周期は別の避妊法を使います。実際には、何錠目を何日忘れたかを伝えて、処方元へ速やかに確認しましょう。
避妊なしの性交があった場合は、緊急避妊についても早急に医療機関へ相談してください。残った錠剤を自己判断でまとめ飲みして対応しないでください。
また、リファンピシン、一部の抗てんかん薬、セント・ジョーンズ・ワートを含む食品などは、避妊効果を弱める可能性があります。処方薬だけでなく、市販薬・サプリメントも確認が必要です。


しぐの視点|在庫の安心を、服用の安心につなげる
供給再開と聞くと、まず「次の処方に間に合う」という安心が浮かびます。
でも、ピルでは薬が手に入ることに加えて、正しい順番で、次のシートを予定どおり始められることまで確認したいところです。
今回なら、棚では使用期限、患者さんとの会話では服用の空白期間。この2つを押さえるだけでも、供給再開後の見落としを減らせます。
副作用の説明も「血栓症に注意してください」で終わらせず、「脚が急に腫れたら」「突然息苦しくなったら」と、日常の言葉に置き換える。そのときどう行動するかまで共有できると、薬の説明が生活の中で役立ちます。
供給再開を、在庫の補充だけで終わらせない。飲み方と体調を見直すきっかけにしたいですね。
よくある質問
Q. トリキュラー28はいつから供給再開ですか?
メーカーは2026年10月21日から受注を再開しています。実際の納入には数日~1週間程度かかる場合があるため、受け取り先へ確認してください。
Q. ロット逆転した薬は使っても大丈夫ですか?
メーカーは品質・有効性・安全性への影響はないとしています。使用期限を確認し、期限内に適切に使用します。
Q. ロット逆転とは、錠剤を飲む順番の変更ですか?
物流上の出荷順序に関する話です。服用は従来どおり、シートの矢印に従います。
Q. トリキュラーは生理痛の治療薬ですか?
国内で承認された効能・効果は避妊です。月経困難症などの治療を目的とする製剤とは区別して考えます。
Q. 28錠を飲み終えたら7日間休みますか?
休まず、翌日から次のシートを始めます。28錠のうち最後の7錠がプラセボです。
Q. 若くて喫煙しなくても血栓症になりますか?
リスク因子がなくても起こる可能性があります。急な脚の腫れ・痛み、息切れ・胸痛、麻痺などがあれば服用を中止して救急受診してください。
Q. 供給停止で1か月以上飲めなかった場合は?
自己判断で再開せず、処方医へ相談してください。4週間以上の中断後は血栓症リスクが上がることにも注意が必要です。
※供給情報は2026年10月26日時点。実際の服用・切替は処方医の指示に従ってください。
参考情報
- バイエル薬品:供給再開に伴うロット逆転に関するお知らせ(2026年10月22日掲載)
https://pharma-navi.bayer.jp/sites/g/files/rptbxg576/files/2026-10/trq-oth-20261022.pdf - PMDA:トリキュラー錠28 電子添文(2026年8月改訂)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/630004_254910BF2043_1_01 - PMDA:患者向医薬品ガイド(2026年10月更新)
https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/630004_254910BF2043_1_00G.pdf


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