
こんにちは、薬剤師のしぐです。
「ジェネリック医薬品の溶け方が、先発品と違っていた」。こんな情報を見ると、患者さんも薬剤師も気になりますよね。
2026年8月28日の第37回ジェネリック医薬品・バイオシミラー品質情報検討会では、ゾニサミドOD錠25mgTREとレボフロキサシン錠500mgの一部製剤で、先発品との溶出挙動が非類似だったことが報告されました。
ただし、この結果だけで「効かない」「危険」「すべて回収」と判断することはできません。
何を調べた試験なのか、どの製剤・条件で差があったのかを整理します。
今回の溶出試験結果を比較
| 項目 | ゾニサミド | レボフロキサシン |
|---|---|---|
| 試験対象 | OD錠25mgTRE、15製剤(先発1・後発14) | 錠500mg、12製剤(先発1・後発11) |
| 主な結果 | 後発3製剤で先発品より溶出が遅く、非類似 | 後発4製剤でpH1.2の溶出挙動が非類似 |
| その後の対応 | 設備の再整備・調整による改善が報告され、WGで再試験予定 | 一部は承認時から溶出挙動が異なるがBEを確認。250mg錠の評価を検討 |
| 注意点 | 50mg製剤や抗てんかん薬のゾニサミド製剤全体の結果ではない | 250mg錠・点眼液・注射剤へ結果を広げない |
対象は、市場流通品を用いた品質確認のための調査です。試験対象に選ばれたこと自体が、品質への疑いを意味するわけではありません。

溶出試験とは?「溶け方」を調べる品質評価
溶出試験は、決められた試験液や攪拌条件のもとで、製剤から有効成分がどの程度、どの速さで溶け出すかを調べる試験です。
ここで区別したいのが、次の3点です。
| 評価 | 確認すること |
|---|---|
| 溶出挙動の類似性 | 時間ごとの溶出の推移が比較対象と似ているか |
| 溶出規格への適合性 | 定められた試験条件と判定基準を満たすか |
| 生物学的同等性(BE) | 吸収された薬の血中濃度推移などから同等性を評価できるか |
今回のWG試験は溶出プロファイルの比較を行ったもので、溶出規格の適否を判定する試験とは方法が異なります。
そのため、先発品と「非類似」という判定を、そのまま「承認規格に不適合」と読み替えることはできません。
また、試験管内の溶け方の差から、患者さんでの効果や副作用の差を直接断定することもできません。
ゾニサミドOD錠25mgTRE|3製剤で溶出が遅い結果
試験製剤と報告書の製剤番号を照合すると、非類似だったのは次の3製剤です。
| 製品名 | 試験使用ロット | 非類似となった条件 |
|---|---|---|
| ゾニサミドOD錠25mgTRE「DSEP」 | X3A0010 | 試験したすべての試験液 |
| ゾニサミドOD錠25mgTRE「ニプロ」 | 24H051 | pH1.2・pH4.0 |
| ゾニサミドOD錠25mgTRE「ZE」 | 101J | pH1.2・pH4.0 |
※これは試験に用いたロットの一覧です。回収対象ロット一覧ではなく、同じ銘柄の全ロットが同じ挙動だと示したものでもありません。
ゾニサミドは血中濃度管理が重要な薬として、今回の判定では類似性の許容範囲を広げずに評価されました。

製造販売業者への照会では、3製剤とも出荷時の溶出規格には適合していた一方、保管していた参考品でも非類似または判定値付近の結果が確認されています。
設備の経年変化とコーティング状態が論点に
メーカー側は、製造設備の経年使用でスプレー状態が変わり、微粒子のコーティングに影響した可能性を説明しています。設備の再整備・調整後には改善が報告されました。
また、BCSクラスIに該当し、消失半減期が約100時間と長いことなどから、臨床的に有意な差を生じる可能性は低いというメーカー側の見解が示されています。
これは、患者さんを対象とした今回の臨床試験で「影響なし」を証明したという意味ではありません。
検討会では3製剤について、製剤試験WGで再試験して品質を確認する方針が示されています。
薬局として気になるのは、承認時だけでなく、製造を続ける中で溶け方をどう維持するかという点です。改善の説明に加えて、その後の確認結果まで追いかけたいところです。

レボフロキサシン錠500mg|pH1.2で4製剤が非類似
レボフロキサシンは、同じ「非類似」でも背景が分かれています。
| 製品名 | 試験使用ロット | 報告された内容 |
|---|---|---|
| レボフロキサシン錠500mg「CH」 | JE031 | pH1.2で先発品より溶出が速い。メーカーは開発時の自社製剤との類似性を確認 |
| レボフロキサシン錠500mg「トーワ」 | B0140 | pH1.2で先発品より溶出が速い。メーカーは開発時の自社製剤との類似性を確認 |
| レボフロキサシン錠500mg「ZE」 | 125K | pH1.2で非類似。承認時も標準製剤と溶出挙動が異なるが、BEは確認済み |
| レボフロキサシン錠500mg「タカタ」 | A001 | pH1.2で非類似。承認時も標準製剤と溶出挙動が異なるが、BEは確認済み |
※こちらも試験使用ロットであり、回収対象を示す表ではありません。
「CH」「トーワ」については、開発時の自社製剤と溶出挙動が類似していると報告されています。
「ZE」「タカタ」は、承認時からの溶出挙動とBEの情報を合わせて捉える必要があります。
250mg錠についても評価を検討
検討会では、500mg錠で差が認められた製剤について、含量違いの250mg錠も確認すべきという意見が出ました。WGで250mg錠の評価を検討する方針です。
腎機能が低下した患者さんで血中濃度が上昇しやすい薬であることも踏まえ、溶出速度の差の臨床的影響を慎重に確認する必要性が指摘されています。
今回の結果から、薬局で独自に用量を減らしたり、服用間隔を変えたりするものではありません。

薬局で確認したいこと|製品・規格・ロット・その後の対応
現場では、ニュースの見出しだけで対応を決めず、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
- 自局の採用品名、剤形、規格を照合する。
- 必要に応じて在庫・交付履歴のロットを確認する。
- メーカーの最新案内で、改善後の製造状況や追加情報を確認する。
- 回収情報は別に確認し、該当する場合はその通知に沿って対応する。
- 患者さんから変化の訴えがあれば、服用状況や変更時期も含めて記録し、処方医やメーカーに相談する。
メーカーに問い合わせるときは、「この薬は大丈夫ですか」だけでなく、「今回の試験ロットと現在流通している製品の関係」「改善後の確認結果」「薬局が行うべき対応」を具体的に尋ねると役立ちます。
医薬品の品質情報は、ヘパリン類似物質ローション「NIT」の自主回収のように、回収通知に基づく対応が必要なケースもあります。今回の試験結果と個別の回収通知は、それぞれ内容を確認しましょう。
また、サワシリン錠250の包装変更やクラリス錠200の販売中止予定も、品質評価とは確認する項目が異なります。
製品名だけでなく「何についての案内か」を押さえることが大切です。
患者さんへの説明|不安を受け止め、服用判断につなぐ
患者さんには、次のような説明が考えられます。
「一部の製品で、試験での溶け方に違いが報告されています。ただ、それだけで薬が効かないと決まったわけではありません。お手元の製品と最新の対応状況を確認しますので、自己判断で飲み方を変える前にご相談ください。」
確認前に「まったく問題ありません」と言い切ると、不安や体調変化を話しにくくなることもあります。
製品の確認と、患者さんの困りごとの聞き取りを一緒に進めたいですね。
よくある質問
Q. 非類似だった薬は、効かないということですか?
今回の溶出試験だけでは判断できません。溶出挙動の比較と、患者さんでの有効性・安全性の評価は区別する必要があります。
Q. 先発品に変更したほうがよいですか?
今回の結果だけを根拠に、一律の変更が必要とは判断できません。実際の製品、最新の案内、症状や服用状況を確認し、必要に応じて処方医と相談します。
Q. ゾニサミドOD錠50mgTREも同じ結果ですか?
今回の試験含量は25mgです。50mg製剤にそのまま当てはめることはできません。
Q. レボフロキサシン250mg錠も非類似ですか?
今回示されたのは500mg錠の結果です。検討会では250mg錠の評価を検討する方針が示されており、今回の結果だけで250mg錠の判定はできません。
Q. 表にあるロットは回収対象ですか?
表は試験に使用したロットを示したものです。回収の有無と対象範囲は、PMDAやメーカーの個別通知で確認してください。
しぐの視点|差が出た後の確認までが品質への信頼につながる
今回の情報で大切なのは、非類似という結果を丁寧に受け止め、原因、改善、再確認まで見届けることだと感じます。
試験で差が出たことを軽く扱うのも、すぐに「ジェネリックは危ない」と一般化するのも、患者さんへの説明にはつながりません。
どの製品の、どの条件で、何が分かり、何がまだ確認中なのか。
薬局がそこを整理しておくことで、患者さんも安心して相談しやすくなります。
ゾニサミドはWGによる再試験、レボフロキサシンは250mg錠の評価の検討など、今後の情報も確認していきたいところです。
※2026年10月18日確認。第37回検討会の審議概要と製剤試験WG報告書に基づく内容です。各製品の最新の回収・供給情報は別途ご確認ください。


コメント