
こんばんは、薬剤師のしぐです。
2026年10月15日、ニプロはレボホリナート点滴静注用25mg・100mg「NP」の販売中止を案内しました。在庫がなくなり次第、販売を終了する予定です。
特に確認したいのは、100mg製剤の在庫消尽予定が前倒しになっていることです。ニプロの在庫は2026年11月末、特約店や医療機関を含めた流通在庫は12月末頃の消尽を想定しています。
一方、25mg製剤の在庫消尽は2027年4月、両規格の経過措置期限は2028年3月末日予定です。
販売終了の時期と、薬価上の経過措置期限は別です。「2028年まで使えるから、供給もそこまで続く」と受け取らないよう注意が必要です。
販売中止の対象とスケジュール
| 項目 | 25mg「NP」 | 100mg「NP」 |
|---|---|---|
| 包装 | 10バイアル | 5バイアル |
| ニプロ在庫消尽予定 | 2027年4月 | 2026年11月末 |
| 流通在庫消尽の想定 | 案内に具体的記載なし | 2026年12月末頃 |
| 経過措置期限 | 2028年3月末日予定 | 2028年3月末日予定 |
いずれも現時点の予定・予測です。医療機関ごとの入手可能期間を保証するものではありません。
販売中止の理由は?100mgの消尽が早まる背景
販売中止の理由について、ニプロは「諸般の事情」としています。採算性など、文書に書かれていない背景は断定できません。
これとは別に、100mg製剤の在庫消尽前倒しについては説明があります。10月までに製造工場から納入・出荷予定だった製品が、同工場で起きた他製品の製造トラブルの影響範囲にあると判明し、出荷可否の確認に時間を要しているというものです。
これらの製品が出荷できないと想定したうえで、消尽予定を2026年11月末に早めています。
この説明から、流通中の全製品に品質上の問題があると判断することはできません。販売中止の情報と、回収や使用中止の情報は分けて確認しましょう。

そもそもレボホリナートとは?5-FUの効果を高める薬
レボホリナートは活性型葉酸製剤です。がん治療では、フルオロウラシル(5-FU)の抗腫瘍効果を高める目的で使います。
「葉酸」と聞くと栄養補給を想像するかもしれません。しかし、この点滴を併用する目的は、5-FUがDNA合成を妨げる働きを強めることです。5-FUの活性代謝物、標的となる酵素、葉酸由来の物質が作る複合体を安定させ、作用を持続させます。
治療を支える重要な構成薬として考えると、その位置づけが分かりやすくなります。
ホリナートとレボホリナートは、名前だけで置き換えない
ホリナートとレボホリナートは関連する薬ですが、同じmg数をそのまま置き換える扱いはできません。製剤、投与経路、使用目的、レジメンでの規定量を確認する必要があります。
また、「ロイコボリン=抗がん薬の副作用を軽くする薬」という理解だけでは不十分です。今回のレボホリナートと5-FUの併用では、5-FUの作用を増強します。一般的な葉酸サプリメントも代替になりません。

代替候補は「NK」と「タカタ」|発売時期にも注意
ニプロが示している代替候補は、高田製薬のレボホリナート点滴静注用25mg・100mg「NK」と、屋号変更品の「タカタ」です。
| 代替候補 | 包装 | 案内時点の位置づけ |
|---|---|---|
| 25mg「NK」 | 5バイアル | 「タカタ」への屋号変更予定 |
| 100mg「NK」 | 5バイアル | 「タカタ」への屋号変更予定 |
| 25mg「タカタ」 | 10バイアル | 2026年12月の薬価収載後に発売予定 |
| 100mg「タカタ」 | 5バイアル | 2026年12月の薬価収載後に発売予定 |
「タカタ」による代替供給は、2026年12月の発売以降とされています。「NK」の経過措置満了日は2028年3月31日予定です。
100mg「NP」のニプロ在庫消尽は11月末予定ですから、12月発売予定という情報だけで安心せず、発売日、納入開始日、自施設に確保できる量を具体的に確認したいところです。
代替候補として記載されていることは、必要量をすぐに購入できることを意味しません。卸とメーカーへの照会を進め、採用変更を計画する必要があります。

医療機関で確認したいこと
銘柄の切り替えでは、現物が届くことに加えて、現場で安全に扱える準備が欠かせません。
- 現在庫と、治療予定から見積もった必要量
- 代替候補の供給開始日、割当量、継続供給の見通し
- 採用する規格・包装、薬価、各種コード
- 電子カルテ、注射オーダー、レジメン、調製システムの更新
- 切り替え製品の電子添文に基づく溶解・希釈・配合上の注意
- 薬剤部、外来化学療法室、診療科、卸との切り替え時期の共有
25mgと100mgでは消尽時期が異なります。ただし、100mgの不足を25mgの使用増加だけで補うと、バイアル数や調製負担が増え、25mgの需要にも影響します。単純な規格変更で済ませず、必要量と供給可能量を合わせて考えたいところです。
保険薬局でも知っておきたい理由
点滴薬の販売中止は、病院の薬剤部だけの話に見えるかもしれません。しかし、外来がん治療中の患者さんは、吐き気止めや下痢止め、痛み止めなどを受け取りに保険薬局へ来局します。
そのときに「次から点滴の名前が変わると言われた」と相談されることも考えられます。供給事情による銘柄変更なのか、治療内容そのものの変更なのかを確かめることで、不安の整理につながります。
また、5-FUを含む治療では、下痢、口内炎、発熱、食事・水分摂取の低下などを継続して確認することが大切です。銘柄変更の話題に目が向いても、いつもの副作用フォローは欠かせません。
激しい下痢や腹痛、水分が取れない状態、発熱などがあれば、治療施設から示された連絡基準に従って早めに相談してもらいます。
S-1の服用歴も確認したい
レボホリナート・5-FU療法は、S-1(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤)の投与中、および投与中止後7日以内の患者には禁忌です。
治療変更の際は、処方一覧にあるかどうかに加え、実際の最終服用日や残薬も確認したいところです。患者さんの手元にある薬の情報を、治療施設へつなぐことは保険薬局でもできる支援です。

しぐの視点|供給情報を、治療をつなぐ準備に変える
今回、特に気になるのは、100mgの消尽時期が早まり、代替品の発売予定と近接している点です。
販売中止のお知らせは、読むだけなら数分で済みます。でも、治療予定を見ながら必要量を計算し、代替品を確保し、オーダーや調製の仕組みを整えるには時間がかかります。
レボホリナートは、患者さんから見ると名前を意識しにくい点滴の一つかもしれません。それでも、治療を構成する薬にはそれぞれ役割があります。こうした薬の供給を途切れさせないための調整も、がん薬物療法を支える大切な仕事だと感じます。
保険薬局でも、病院で何が変わっているかを知り、患者さんの不安や服薬状況、副作用の情報をつないでいきたいですね。

まとめ
レボホリナート点滴静注用25mg・100mg「NP」は、在庫消尽後に販売中止となる予定です。100mgはニプロ在庫が2026年11月末、流通在庫が12月末頃、25mgは2027年4月の消尽を想定しています。
経過措置期限は2028年3月末日予定ですが、供給が続く期限とは異なります。代替候補の「NK」と、2026年12月発売予定の「タカタ」の情報を確認し、治療予定に合わせた切り替え準備を進めることが大切です。
FAQ
Q. レボホリナート自体が使えなくなるのですか?
今回の案内はニプロの「NP」製品の販売中止です。レボホリナートという成分全体の販売中止を示すものではありません。ただし、他社品の供給状況は個別の確認が必要です。
Q. 100mg「NP」はいつ販売終了になりますか?
在庫がなくなり次第終了します。ニプロ在庫は2026年11月末、流通在庫は12月末頃の消尽を想定しています。いずれも予測です。
Q. 経過措置期限まで購入できますか?
経過措置期限は薬価上の取り扱いに関する期限です。メーカーや卸の在庫がそこまで続くことを保証するものではありません。
Q. 代替候補の「タカタ」はもう発売されていますか?
2026年10月のニプロ案内では、12月の薬価収載後に発売予定とされています。代替供給も発売以降です。
Q. 葉酸サプリメントで代用できますか?
代用できません。がん治療で用いる注射薬として、決められたレジメンに従って使用します。
Q. 治療中の患者は何をすればよいですか?
この案内だけを理由に治療や薬を自己判断で中止する必要はありません。治療への影響や製品変更について気になる場合は、治療施設に確認してください。


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