薬剤師のしぐです。
今回は、富士薬品さんが創出した新薬ドチヌラド〈ユリス錠〉について!
す、すごい成分名。
今回のドチヌラド〈ユリス錠〉。ベンズブロマロン〈ユリノーム錠〉に次ぐ、2剤目の尿酸排泄促進薬という分類になります。
と言っても、ユリノーム錠の発売は2005.6とのこと。
なぜこの2剤目の発売に15年もかかったのか、、、
とりあえず、カンタンにまとめていきますね。
ドチヌラド〈ユリス錠〉の適応・効能効果
痛風・高尿酸血症
生活習慣病の1つ。
新人薬剤師さんなら、生活習慣病からお勉強していくのがおすすめですよね。
どの単科クリニックの門前薬局でも、99%生活習慣病のお薬は調剤します。
門前クリニックからであっても、他病院の処方箋持ち込みであっても。ほぼ間違いなく。
ちなみに、同類薬のベンズブロマロン〈ユリノーム錠〉は、地味に適応症が異なります。↓
次の場合の高尿酸血症の改善
・痛風 ・高尿酸血症を伴う高血圧症
ユリス錠の有効成分
有効成分は、ドチヌラド。
高尿酸血症の医薬品って、有効成分名に全く共通点がないと思いませんか?
- アロプリノール〈ザイロリック錠〉
- トピロキソスタット〈トピロリック錠・ウリアデック錠〉
- フェブキソスタット〈フェブリク錠〉
- ベンズブロマロン〈ユリノーム錠〉
- ブコローム〈パラミヂンカプセル〉
ドチヌラド〈ユリス錠〉の用法用量
通常、成人にはドチヌラドとして1日0.5mgより開始し、1日1回経口投与する。その後は血中尿酸値を確認しながら必要に応じて徐々に増量する。
維持量は通常1日1回2mgで、患者の状態に応じて適宜増減するが、最大投与量は1日1回4mgとする。
ドチヌラド〈ユリス錠〉の用法及び用量に関連する使用上の注意
尿酸降下薬による治療初期には、血中尿酸値の急激な低下により痛風関節炎(痛風発作)が誘発されることがあるので、本剤の投与は0.5mg1日1回から開始し、投与開始から2週間以降に1mg1日1回、投与開始から6週間以降に2mg1日1回投与とするなど、徐々に増量すること。なお、増量後は経過を十分に観察すること。
重要な基本的注意
- 本剤は尿酸降下薬であり、痛風関節炎(痛風発作)発現時に血中尿酸値を低下させると痛風関節炎(痛風発作)を増悪させるおそれがある。本剤投与前に痛風関節炎(痛風発作)が認められた場合は、症状がおさまるまで、本剤の投与を開始しないこと。
また、本剤投与中に痛風関節炎(痛風発作)が発現した場合には、本剤の用量を変更することなく投与を継続し、症状によりコルヒチン、非ステロイド性抗炎症剤、副腎皮質ステロイド等を併用すること。 - 本剤の薬理作用により特に投与初期に尿酸排泄量が増大することから、尿が酸性の場合には、患者に尿路結石及びこれに由来する血尿、腎仙痛等の症状を起こす可能性があるので、これを防止するため、水分の摂取による尿量の増加及び尿のアルカリ化をはかること。なお、この場合には、患者の酸・塩基平衡に注意すること。
- 他の尿酸排泄促進薬において重篤な肝障害が報告されていることから、本剤投与中は、定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
ドチヌラド〈ユリス錠〉の食事による影響
健康成人男性(12例)にドチヌラド4mgを摂食下で単回経口投与したとき、絶食下投与と比較してCmaxは僅かに減少、Tmaxは延長したが、AUC0-tは食事の影響を受けなかった。
食事の影響を受けないので、1日1回決められたタイミングで服用する。という処方になりそうですね。
ドチヌラド〈ユリス錠〉の作用機序
ドチヌラドは腎臓の近位尿細管における尿酸の再吸収に関与するトランスポーターであるURAT1を選択的に阻害することにより、糸球体でろ過された尿酸の尿中排泄を促進し、血中尿酸値を低下させる。
選択的尿酸再吸収阻害薬
(Selective Urate Reabsorption Inhibitor:SURI)です。
系統的には、ベンズブロマロン〈ユリノーム錠〉と同じ系統ですね
ドチヌラド〈ユリス錠〉の特徴
ドチヌラドは、既存のベンズブロマロン〈ユリノーム錠〉に次ぐ新規の尿酸排泄促進薬(選択的尿酸再吸収阻害薬)です。
血中から消化管や尿細管への分泌に関与する輸送体への作用は少なく、腎臓における尿酸の再吸収に関与するトランスポーターであるURAT1を選択的に強力に阻害することにより、糸球体で濾過された尿酸の尿中排泄を促進し、血中尿酸値を低下させる作用を持ちます。
また、ベンズブロマロンの肝障害の原因と考えられている、ミトコンドリア毒性や肝薬物代謝酵素CYP2C9阻害による薬物相互作用が少ないという特徴があります。
肝障害・薬物相互作用が少ないことが最大の特徴ですね。
ただ、「肝機能患者に投与する場合は慎重な経過観察を行うこと」の記載があります。
痛風・高尿酸血症患者を対象とした臨床試験は、後期第Ⅱ相試験までは富士薬品単独で、第Ⅲ相試験からは富士薬品と持田製薬が共同で実施。第Ⅲ相試験ではフェブキソスタット、ベンズブロマロンに対する非劣性などが検証されています。
ユリス錠の名称の由来
Urate(尿酸) + reduse(排泄) ユリス!!
シンプルでいて、新しいですね。いいネーミング!!
ドチヌラド〈ユリス錠〉の禁忌
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
のみです。
使いやすいね!
腎機能低下患者でも使用可能なフェブキソスタット〈フェブリク錠〉は、日本国内で最も使用されている高尿酸血症治療薬です。そんなフェブリク錠の1番のネックが併用禁忌。
フェブリク錠は、下記2剤との併用が禁忌になっています。
- メルカプトプリン〈ロイケリン散〉
- アザチオプリン〈イムラン錠、アザニン錠〉
イムラン錠やアザニン錠って、意外と普通に処方される医薬品。
これほどフェブリク錠の処方頻度が高いと、すごく、併用を見過ごしていないか不安になりますよね、、、。
ドチヌラド〈ユリス錠〉各規格の薬価
- ユリス錠0.5mg:30.0円/錠
- ユリス錠1mg:54.8円/錠
- ユリス錠2mg:100.2円/錠
参考までに、ユリノーム錠とそのGEの薬価がコチラです。
- ユリノーム錠25mg:12.6円/錠
- ベンズブロマロン錠25mg:5.9〜7.8円/錠
- ユリノーム錠50mg:18.8円/錠
- ベンズブロマロン錠50mg:6〜12.4円/錠
15年前のお薬ですからね、、、。やすい。
ユリス錠新薬処方日数制限解除へ!
ついにこのユリス錠も新薬の処方日数制限が解除となります!
処方日数制限解除:2021年5月1日
夏場は尿路結石の予防が特に重要!
尿路結石を予防するために、十分に水分をとりましょう。
水分摂取量の目安は、1日2〜2.5Lです。
ユリス錠の適応症である高尿酸血症とは
高尿酸血症は、血清尿酸値が7.0mg/dLを超えるものと定義されています。高尿酸血症が長期間持続すると関節滑膜に尿酸結晶が析出します
この結晶が何らかの原因で関節腔内に剥脱し、白血球が貧食することにより痛風性関節炎が生じます。
痛風性関節炎を繰り返したり痛風結節を認める症例では、生活指導など非薬物療法のみでは体内の尿酸蓄積を解消することは困難であり、体内の尿酸を降下させる薬物療法によって血清尿酸値を6.0mg/dL以下に維持することが望ましいとされています。
尿酸産生亢進型と尿酸排泄低下型に分けられ、多くの患者さんが「尿酸排泄低下型」です。が、実際に処方される薬剤は「尿酸生成抑制薬」が過半数を占めます。
実際日本で1番処方されている高尿酸血症治療薬はフェブキソスタット〈フェブリク錠〉です。
有病率は、30歳以上の成人男性で約30%と推定されています。
高尿酸血症において生活習慣で注意すること
高プリン食の取り過ぎに注意
- レバー
- 干物
- 白子
- 魚卵
プリン体は水に溶けやすいので、煮汁や茹で汁は捨てるなどの調理を工夫することで、プリン体の摂取を減らせます。
アルコール飲料の飲み過ぎに注意
アルコールは血清尿酸値を上げる作用があります。また、ビールなどプリン体を多く含むアルコール飲料は特に注意が必要です。
有酸素運動を継続的に行いましょう
有酸素運動により肥満やメタボリックシンドロームを改善することで、血清尿酸値を下げることが期待できます。汗をかいて、脱水にならないようにしっかり水分を摂取することを推奨しています。
今回はこんな感じですねー
自分の薬局では、高尿酸血症治療薬では圧倒的にフェブキソスタット〈フェブリク錠〉の処方が多いです。
抗がん剤や、抗結核薬の副作用による高尿酸血症も頻度が高いですよね。
意外と身近な医薬品である高尿酸血症のお薬。
復習しておく価値はあります。
ではではーしぐでしたっ
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