サークリサ皮下注1400mgが新発売!点滴から約6分の皮下注へ|薬剤師が押さえたいポイント

こんにちは、薬剤師のしぐです。
2026年8月27日。
多発性骨髄腫治療に、
かなり大きな「投与方法の変化」
がありました。
今回新しく発売されたのが、
サークリサ皮下注1400mg。
一般名は、
イサツキシマブ。
もともとサークリサには、
サークリサ点滴静注100mg・500mg
がありました。
それが今回、
皮下注製剤でも投与できるようになった
というわけです。
しかも、
皮下注は固定用量1400mg。
そして投与時間は、
約6分。
これまで点滴静注で時間をかけて投与していた抗体薬が、
数分の皮下注で投与できる。
これは患者さんにとっても、医療現場にとってもかなり大きな変化だと思います。
今回は、
- サークリサとはどんな薬?
- なぜ皮下注が登場した?
- 点滴静注との違い
- 用量・投与スケジュール
- 前投薬
- 取り違え注意
- 薬局薬剤師が知っておきたいポイント
を整理していきます。
サークリサとは?
サークリサの一般名は、
イサツキシマブ。
多発性骨髄腫に使用される、
抗CD38モノクローナル抗体
です。
多発性骨髄腫の腫瘍細胞にはCD38というタンパク質が多く発現しています。
サークリサはそのCD38に結合することで、
免疫反応などを介して腫瘍細胞を攻撃します。
2020年に点滴静注製剤が発売され、その後適応・レジメンが拡大。
2025年には効能・効果が「多発性骨髄腫」へ変更され、初発例を含む治療でも使用されています。

2026年8月27日、皮下注1400mgを発売
皮下注製剤そのものは、
2026年6月19日に承認。
その後、
8月13日に薬価収載。
そして、
8月27日に発売
となりました。
薬価は、
サークリサ皮下注1400mg 1瓶:270,495円。
かなり高額な薬剤ですが、
抗体薬として考えればそこまで驚く価格ではないかもしれませんね。
最大のポイントは「固定用量1400mg」
点滴静注製剤では、
患者さんの体重に応じて、
10mg/kg
などの用量で投与します。
一方、
皮下注製剤は、
1回1400mgの固定用量。
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、
成人にはイサツキシマブとして1400mgを皮下投与します。
これ、
調製側から見てもかなり分かりやすくなりますよね。
患者さんごとに体重から用量を計算するのではなく、
「1400mg」
と固定。
ただし、
「サークリサ=全部1400mg」
と覚えてしまうのは危険です。
なぜなら、
点滴静注製剤は今後も残る
から。
サークリサ皮下注は約6分で投与
そして今回のインパクトが大きいポイント。
サークリサ皮下注は、
腹部へ皮下投与します。
投与時間は、
約6分。
点滴静注製剤では長時間の投与が必要でした。
それが、
数分の皮下注へ。
これ、
患者さんの拘束時間はかなり変わりますよね。
点滴のために長時間ベッドやリクライニングチェアに座っていた患者さんが、
より短時間で投与を終えられる。
医療スタッフ側でも、
- 点滴ルート確保
- 輸液準備
- 投与管理
- ベッド・チェア占有時間
などの負担軽減につながります。
抗体薬の「皮下注化」って、やっぱり大きい。
ダラキューロを思い出す薬剤師さんも多い?
多発性骨髄腫で、
「抗CD38抗体+皮下注」
と聞くと、
ダラキューロ
を思い浮かべる薬剤師さんも多いと思います。
ダラキューロはダラツムマブを含む皮下注製剤。
今回のサークリサ皮下注の登場によって、
抗CD38抗体でも投与方法の選択肢がさらに広がってきました。
治療薬そのものの効果だけでなく、
「どう投与するか」
も治療選択の一部になってきているんですよね。
投与スケジュールはA法・B法
サークリサ皮下注には、
A法とB法があります。
A法
1週間間隔 → 2週間間隔
B法
1週間間隔 → 2週間間隔 → 4週間間隔
併用する抗悪性腫瘍剤の投与サイクルに合わせて使用します。
つまり、
単純に、
「ずっと週1回」
ではありません。
レジメンに応じて投与間隔が変わるところは押さえておきたいですね。

皮下注でも前投薬は必要
ここも重要。
皮下注になったから、
前投薬が全部なくなるわけではありません。
サークリサ皮下注では、
投与開始15~60分前に、
- デキサメタゾン
- 抗ヒスタミン薬
- 解熱鎮痛薬
- ロイコトリエン受容体拮抗薬
を投与します。
個人的に、
ここは薬局薬剤師にも知っておいてほしいところ。
病院から処方されたデキサメタゾンや支持療法薬を見たとき、
「これ、何のために出ている?」
を理解できると、
処方内容から治療背景が見えてきます。
抗体薬投与時の反応については、
しぐブログの
も合わせて読むと整理しやすいです。
点滴静注と皮下注、前投薬が少し違う
ここ、ちょっと面白いところ。
点滴静注では、
H2受容体拮抗薬を含む前投薬が使われます。
一方、皮下注では、
ロイコトリエン受容体拮抗薬
が必要になります。
「同じイサツキシマブなんだから全部同じでしょ」
と思ってしまうと危険。
剤形が変われば、
投与方法も前投薬も変わる。
ここはセットで覚えておきたいですね。
サークリサ点滴静注との取り違えに注意!
そして、
今回一番実務的に大事なのがこれ。
メーカー・PMDAから、
皮下注と点滴静注の取り違え注意
が正式に出ています。
なぜなら、
名前が、
サークリサ皮下注1400mg
と、
サークリサ点滴静注100mg・500mg。
かなり似ています。
でも、
中身は大きく違います。
| 皮下注 | 点滴静注 | |
|---|---|---|
| 投与経路 | 皮下注 | 点滴静注 |
| 用量 | 固定1400mg | 体重換算 |
| 濃度 | 140mg/mL | 20mg/mL |
| 投与方法 | 腹部皮下 | 静脈内 |
処方・調剤・病棟で、
「サークリサ」だけを見て判断しない。
販売名、
規格、
投与経路、
用量。
全部確認です。
皮下注は単剤では使えない
ここも重要。
サークリサ点滴静注には、
再発・難治例で、
イサツキシマブ単剤、
またはデキサメタゾンとの併用という使い方があります。
しかし、
皮下注1400mgは「他の抗悪性腫瘍剤との併用」に限定。
つまり、
皮下注製剤を単剤で使うことはできません。
ここ、
剤形違いで効能・用法が完全に同じではないので注意したいですね。
薬局薬剤師にも関係ある?
「でもサークリサって病院で投与する薬でしょ?」
と思うかもしれません。
その通り。
でも、
薬局も無関係ではありません。
例えば多発性骨髄腫患者さんでは、
レナリドミドやポマリドミドなどの経口薬が院外処方になるケースがあります。
その患者さんが、
「今日から点滴じゃなくて皮下注になったんです」
と言うかもしれない。
そして、
デキサメタゾンなどの処方内容が変わる可能性もあります。
副作用フォローでは、
骨髄抑制にも注意。
しぐブログの
も、外来フォロー時の復習に使えます。
さらに、
がん領域で医療機関と連携する薬局の役割については、
でもまとめています。

輸血前検査にも影響する
サークリサはCD38に結合する抗体。
赤血球にもCD38が発現しているため、
間接クームス試験が偽陽性になる可能性
があります。
この影響は、
最終投与から約6カ月持続する可能性があります。
そのため、
治療開始前に不規則抗体スクリーニングなどの輸血前検査を行う必要があります。
これ、
患者さんが別の病院を受診した場合にも重要。
「抗CD38抗体を使っています」
という情報がきちんと医療機関間で共有されることが大切ですね。
サークリサ皮下注が意味するもの
今回の新発売。
単に、
「点滴だった薬が注射になった」
だけではないと思います。
がん薬物療法って、
有効性を高めることはもちろんですが、
治療を続けやすくすることもすごく大事。
患者さんは、
何カ月も、
場合によっては何年も、
病院へ通います。
そのたびに、
点滴で何時間も拘束される。
これって、
積み重なるとかなり大きな負担です。
そこが、
約6分の皮下注。
薬そのものの作用機序が変わらなくても、
患者さんの生活は変えられる。
こういう改良も、
立派な「治療の進歩」だと思います。
まとめ|サークリサ皮下注で抗CD38抗体治療がより短時間に
2026年8月27日、
サークリサ皮下注1400mg
が発売されました。
ポイントは、
- 一般名はイサツキシマブ
- 抗CD38モノクローナル抗体
- 多発性骨髄腫に使用
- 1回1400mgの固定用量
- 腹部へ皮下投与
- 投与時間は約6分
- 他の抗悪性腫瘍剤との併用で使用
- 前投薬が必要
- 点滴静注製剤との取り違えに注意
- 間接クームス試験への影響にも注意
です。
点滴静注から、
約6分の皮下注へ。
これ、
多発性骨髄腫患者さんにとっては、
かなり大きな変化になるかもしれません。
そして薬剤師としては、
皮下注が出たことで、
「サークリサ」という名前だけでは判断できなくなった
というのも大切なポイント。
規格・投与経路・用法。
しっかり確認していきたいですね。
ではではー。
しぐでしたっ。
FAQ
Q1. サークリサ皮下注1400mgはいつ発売された?
2026年8月27日に発売されました。6月19日に承認、8月13日に薬価収載されています。
Q2. サークリサ皮下注は何分で投与する?
固定用量1400mgを腹部へ皮下投与し、投与時間は約6分です。
Q3. サークリサ点滴静注との違いは?
皮下注は固定用量1400mgですが、点滴静注は体重換算で投与します。投与経路・濃度・用量が異なるため取り違えに注意が必要です。
Q4. 皮下注なら前投薬は不要?
いいえ。デキサメタゾン、抗ヒスタミン薬、解熱鎮痛薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬を投与15~60分前に使用します。
Q5. サークリサ皮下注を単剤で使える?
皮下注1400mgは、他の抗悪性腫瘍剤との併用で使用します。単剤投与・デキサメタゾンのみとの併用は皮下注製剤の適応ではありません。


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