OTC類似薬77成分1,042品目で追加負担へ|2027年3月から何が変わる?薬剤師が解説
こんにちは、薬剤師のしぐです。
これは……
薬局業務にも、患者さんのお会計にも、かなり大きな影響が出そうな制度変更です。
2026年8月26日の中医協で、
OTC類似薬の保険給付の見直し
について、かなり具体的な内容が示されました。

今回の対象は、
77成分・1,042品目。
そして対象となる医薬品を処方された場合、
薬剤費の4分の1が「特別の料金」として保険給付の対象外
となる仕組みです。
施行は、
2027年3月
が想定されています。
対象には、
- ロキソプロフェン
- 酸化マグネシウム
- L-カルボシステイン
- フェキソフェナジン
- ロラタジン
- ヘパリン類似物質
- ラメルテオン
- ジクロフェナク
など……
薬局で毎日のように目にする成分が並んでいます。
「OTC類似薬を保険から外す」
という話は以前からありましたが、
今回のポイントは、
完全な保険適用除外ではない
ということ。
医療用医薬品としての保険適用を残しながら、
一部だけ患者さんに追加負担してもらう
新しい仕組みになります。
今回は、
- OTC類似薬とは何なのか
- 77成分1,042品目とは?
- 患者負担はどう変わる?
- 誰でも追加負担になるのか
- がん患者や難病患者はどうなる?
- 長期処方は?
- 薬局では何が変わる?
このあたりを、現時点の厚生労働省資料から整理していきます。
- OTC類似薬とは?
- 77成分・1,042品目が対象
- 対象となる代表的な薬
- ヒルドイド・ヘパリン類似物質も対象
- ロキソプロフェンも対象
- じゃあ、患者負担はいくら増えるの?
- 全員が追加負担になるわけではない
- こどもは18歳年度末まで対象外
- がん患者なら全部対象外、ではない
- 指定難病患者も「何に使うか」が重要
- 抜歯後など「処置に伴う処方」は14日分まで対象外
- 長期使用が必要な患者はどうなる?
- 「OTCで買えるなら病院に行かなくていい」ではない
- むしろ薬剤師の役割は大きくなる
- 薬局実務はかなり複雑になりそう
- なぜこの制度を導入するの?
- 2027年度以降、さらに拡大する可能性も
- OTC類似薬見直し|薬局で今からやっておきたいこと
- OTC類似薬77成分・1,042品目|まとめ
- FAQ
OTC類似薬とは?
まず、
「OTC類似薬って何?」
というところから。
OTCとは、
Over The Counter
の略。
つまり、
医師の処方箋なしでドラッグストアや薬局などで購入できる一般用医薬品のことです。
一方、
医療用医薬品の中にも、
OTCと同じ成分や、非常に近い用途で使われている薬
があります。
これが今回議論されている、
OTC類似薬。
例えば、
ロキソプロフェン。
病院では、
ロキソニン錠60mg
などが処方されます。
一方、
OTCでは、
ロキソニンS
があります。
同じように、
アレルギー薬、
胃薬、
便秘薬、
湿布、
保湿剤……
医療用にもOTCにも似た薬がたくさんあります。
この、
「市販薬でも対応できるものを、どこまで保険で給付するのか?」
というのが今回の議論です。
77成分・1,042品目が対象
厚生労働省が2026年8月26日に示した資料では、
対象は、
77成分・1,042品目。
2026年8月1日時点の薬価収載品がベースです。
対象となる主な症状として、
- 鼻炎
- 胃痛・胸やけ
- 便秘
- 解熱・痛み止め
- 風邪症状
- 腰痛・肩こり
- 水虫
- 口内炎
- 皮膚のかゆみ
- 乾燥肌
などが挙げられています。
これを見るだけでも、
「かなり多くの患者さんが関係する制度だな」
と感じますよね。

対象となる代表的な薬
77成分すべてを書くとかなり長くなるので、
薬局で遭遇しやすいものを抜粋すると、
解熱鎮痛薬
- ロキソプロフェン
- イブプロフェン
- ジクロフェナク
- インドメタシン
アレルギー薬
- フェキソフェナジン
- ロラタジン
- エピナスチン
- ケトチフェン
- モメタゾン
呼吸器・去痰薬
- L-カルボシステイン
便秘薬
- 酸化マグネシウム
皮膚科領域
- ヘパリン類似物質
- ベタメタゾン吉草酸エステル
- プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル
睡眠薬
- ラメルテオン
など。
特に驚いたのが、
ラメルテオン。
2025年末に示された成分一覧から変更され、
ポリエンホスファチジルコリンが削除され、ラメルテオンが追加
されています。
つまり、
ロゼレムも今回の制度と無関係ではありません。
しぐブログでも、

について以前まとめました。
ロゼレムSの登場によって、
「医療用ロゼレムとOTCの代替性」
という議論が、今度は保険給付にまでつながってきた形ですね。
ヒルドイド・ヘパリン類似物質も対象
そして、
かなり注目されそうなのが、
ヘパリン類似物質。
ヒルドイドソフト軟膏やヒルドイドゲル、各種ヘパリン類似物質GEなども対象品目に含まれています。
保湿目的で処方される機会が多い薬ですよね。
しぐブログでも、


について詳しくまとめています。
今回の制度変更が始まれば、
これまで、
「ヒルドイドを処方してもらえば保険が使える」
と思っていた患者さんから、
「なんで今回から支払いが増えたの?」
という質問が出る可能性があります。
ここは薬局窓口でかなり説明が必要になりそう。
ロキソプロフェンも対象
ロキソプロフェンも対象です。
しかも2026年には、
OTCロキソプロフェンについて、
第1類医薬品から指定第2類医薬品へ変更する方向
という別の大きな動きもあります。
つまり、
市販薬としては買いやすくなる方向。
一方、
医療用では追加負担を求める方向。
政策としては、
かなりセルフメディケーションを意識した流れだと思います。
じゃあ、患者負担はいくら増えるの?
今回、
厚生労働省が示しているのは、
対象薬剤の薬剤費の4分の1を「特別の料金」とする
という仕組みです。
ここで大事なのは、
「現在の自己負担+薬剤費25%」と単純に足すわけではない
ということ。
薬剤費のうち4分の1を保険給付の対象外にし、
残りの部分について通常の保険給付を行う仕組みです。
つまり、
「OTC類似薬は全部10割負担!」
という制度ではありません。
厚生労働省資料でも、
医療用医薬品としての保険給付は残しつつ、一部に特別の料金を求める
という考え方になっています。
ただし、
「患者さんから見れば薬代が上がる」
ことには変わりありません。
しかも、
この特別の料金には、
消費税がかかる可能性
も示されています。
ここも最終的な制度運用を確認したいところです。
全員が追加負担になるわけではない
今回、
一番大事なのはここです。
対象薬を処方された人が全員追加負担になるわけではありません。
厚生労働省は、
必要な医療へのアクセスを妨げないよう、
「特別の料金を求めない人・療養」
を設ける方向で整理しています。
主な対象は、
- こども
- がん患者
- 指定難病患者
- 国の公費負担医療対象者
- 入院患者
- 処置等に伴う一定の処方
- 生活保護受給者
- 長期使用が医療上必要な患者
などです。
ここ、
かなり重要なので一つずつ見ていきます。
こどもは18歳年度末まで対象外
今回、
「こども」については、
18歳に達する日以後最初の3月31日まで
を対象とする整理が示されています。
つまり、
基本的には、
高校生年代まで。
小児医療で、
風邪薬やアレルギー薬などOTC類似薬が処方されるケースは非常に多いので、
ここはかなり大きな配慮です。
がん患者なら全部対象外、ではない
ここは要注意。
「がん患者だからOTC類似薬は全部追加負担なし」
ではありません。
例えば、
がん治療中に、
- 抗がん剤治療の副作用
- 放射線治療の副作用
- がん疼痛
- 緩和ケア
- 免疫抑制状態への対応
などで対象薬を使用する場合は、
追加負担の対象外。
一方、
がん治療中でも、
花粉症、
風邪、
一般的な便秘、
腰痛など、
がんや治療と直接関係しない症状
に対する使用は対象になる整理です。
これ……
薬局では結構難しくなりそうです。
同じ薬でも、
何のために処方されたかによって負担が違う。
つまり、
適応・処方目的の確認が今まで以上に重要になります。
指定難病患者も「何に使うか」が重要
指定難病患者についても、
指定難病そのもの、
または、
指定難病に付随して発生する傷病
に使う場合は追加負担の対象外。
一方、
難病とは関係のない一般的な疾患・症状で使う場合は、
追加負担の対象になる方向です。
ここでも、
単に患者属性だけでは判断できません。
抜歯後など「処置に伴う処方」は14日分まで対象外
例えば、
抜歯後にロキソプロフェンが処方された。
こういうケース。
処置などの前から同じ薬を使っておらず、
処置と同日に新たに処方された場合は14日分まで対象外
とする整理です。
これはかなり実務的。
「ロキソニンが対象だから、抜歯後の痛み止めも追加負担」
ではないんですね。
逆に、
14日分を超える場合
などは追加負担になる可能性があります。

長期使用が必要な患者はどうなる?
慢性疾患の患者さんにとって、
ここはかなり気になる部分。
例えば、
慢性便秘に酸化マグネシウム。
アトピー性皮膚炎にヘパリン類似物質。
こうした薬を、
何年も継続している患者さんもいます。
厚労省の検討では、
医師が長期使用等を医療上必要と判断する場合
は追加負担を求めない方向です。
内服薬では、
年間おおむね50週の処方
を一つの目安とする考え方も示されています。
例えば、
酸化マグネシウムを、
90日分×年4回。
28日分をほぼ毎月。
など、
年間を通じて継続しているケースです。
ただ、
この「50週」という条件については、
慢性疾患患者の実態に合わないのでは?
という指摘もあります。
ここは今後の正式な運用通知をかなり注意して見ておきたいところです。
「OTCで買えるなら病院に行かなくていい」ではない
今回の制度。
セルフメディケーションを進める狙いは分かります。
でも、
個人的にはここを絶対に誤解してほしくありません。
「OTCで買える薬なら病院へ行く必要はない」
という話ではありません。
例えば、
「咳が出る」
という症状。
単なる風邪かもしれない。
でも、
肺炎、
喘息、
心不全、
肺がん……
いろいろな可能性があります。
「湿疹」だって、
単なる乾燥肌かもしれないし、
感染症かもしれない。
つまり、
症状が同じ=病気が同じ
ではありません。
厚労省の議論でも、
必要な受診が抑制されないよう配慮する必要性が繰り返し指摘されています。
セルフメディケーションは大事。
でも、
セルフメディケーションと受診抑制は別物。
ここは薬剤師が患者さんに伝えていく必要があると思います。
むしろ薬剤師の役割は大きくなる
今回の制度変更を見ると、
薬剤師の役割は減るどころか、
むしろ大きくなる気がします。
例えば、
患者さんから、
「病院でロキソニンもらうと高くなるなら、市販で買った方がいい?」
と聞かれる。
そこで、
単純に、
「はい、市販の方がいいですよ」
とは言えません。
- 痛みの原因は何か
- どのくらい続いているか
- 腎機能は?
- 胃潰瘍歴は?
- 他のNSAIDsは?
- 抗凝固薬は?
- 受診すべき症状ではないか
こういうところまで確認する。
つまり、
OTCを選ぶ薬剤師の臨床判断
が、これまで以上に重要になると思います。
ロゼレムSについても同じ。
しぐブログの、
でも書きましたが、
これからの薬局は、
「薬を売る場所」ではなく、「OTCでいいのか、受診すべきなのかを判断する場所」
になっていくんだと思います。
薬局実務はかなり複雑になりそう
そして薬局側から見ると……
正直、
かなり複雑です。

例えば、
同じロキソプロフェンでも、
Aさん
→ 一般的な腰痛
→ 追加負担
Bさん
→ 抜歯後5日分
→ 対象外
Cさん
→ がん疼痛
→ 対象外
ということが起こり得ます。
同じ薬。
同じ規格。
同じ数量でも、
処方目的によって患者負担が違う。
これはレセコンや処方箋の情報連携がかなり重要になります。
厚労省資料では、
院外処方の場合、
医療機関側で対象外となる理由を確認し、
処方箋やレセプトに対象外であることを記載する実務フロー
も示されています。
つまり、
薬局だけで判断する制度ではなく、
医療機関→薬局まで情報をつなぐ仕組み
が必要になります。
ここは2027年3月までに、
かなり詳細な通知やシステム対応が出てきそうです。
なぜこの制度を導入するの?
今回の制度の目的として厚労省が挙げているのは、
大きく2つ。
① OTCを自費で購入する人との公平性
そして、
② 現役世代を中心とした保険料負担の上昇抑制
です。
確かに、
同じような症状で、
ある人はドラッグストアで全額自己負担。
ある人は病院へ行き、医療用医薬品を保険で受け取る。
ここに不公平感がある、
という考え方は理解できます。
一方で、
患者さんの症状や背景は一人ひとり違います。
だから今回も、
完全に保険から外すのではなく、保険適用を残しながら一部追加負担
という形になったのでしょう。
2027年度以降、さらに拡大する可能性も
そして、
今回の77成分で終わりではありません。
厚労省資料では、
2027年度以降に対象範囲を拡大する
方向も示されています。
さらに、
薬剤費4分の1という特別の料金割合についても、将来的な引き上げを検討
するとされています。
つまり、
今回の77成分は、
第一弾。
そう考えておいた方がよさそうです。
OTC類似薬見直し|薬局で今からやっておきたいこと
まだ2027年3月まで少し時間があります。
でも、
薬局では今から少しずつ準備しておいた方がいいと思います。
① 対象77成分を知る
まず、
「自分の薬局ではどんな対象薬が多いか」
を把握。
特に、
- ロキソプロフェン
- 酸化マグネシウム
- カルボシステイン
- フェキソフェナジン
- ヘパリン類似物質
あたりは要チェック。
② 対象外となるケースを理解する
患者さんに、
「この薬は高くなります」
だけでは説明できません。
疾患・処方目的・年齢・治療状況
によって変わります。
③ OTCの知識をアップデートする
今回の制度変更は、
OTC相談が増える可能性があります。
そしてOTCを勧めるなら、
医療用医薬品以上に、
受診勧奨の判断
が重要になります。
④ 患者説明を薬局内で統一する
おそらく施行直後、
一番多い質問は、
「なんで前より高いの?」
だと思います。
薬剤師ごとに説明が違うと混乱するので、
薬局内で説明内容を統一しておきたいですね。
OTC類似薬77成分・1,042品目|まとめ
2026年8月26日の中医協で、
OTC類似薬の保険給付見直しについて、
かなり具体的な制度案が示されました。
ポイントは、
- 対象は77成分・1,042品目
- 2027年3月施行を想定
- 薬剤費の4分の1を特別の料金
- 医療用医薬品としての保険適用自体は残る
- こどもなどは対象外
- がん・難病は治療との関連で判断
- 入院患者は対象外
- 処置に伴う処方は一定条件で対象外
- 長期使用が医療上必要なら対象外となる方向
- 2027年度以降、対象拡大の可能性
となっています。
今回、
僕が一番感じたのは、
この制度は単なる「薬代値上げ」の話ではない
ということ。
患者さん自身が、
「病院へ行くのか」
「OTCで対応するのか」
を考える場面が確実に増えます。
そして、
その判断を支えるのが、
薬剤師。
セルフメディケーションが進めば進むほど、
薬剤師には、
「この薬を売る」
ではなく、
「この患者さんはOTCで対応して大丈夫なのか?」
という判断が求められます。
2027年3月。
薬局にとって、
かなり大きな変化になりそうですね。
制度の詳細が追加で出てきたら、
しぐブログでも随時追いかけていきたいと思います。
ではではー。
しぐでしたっ。
FAQ
Q1. OTC類似薬はすべて保険適用外になる?
いいえ。今回の仕組みでは医療用医薬品としての保険給付を残しながら、対象薬剤の薬剤費の4分の1を「特別の料金」として保険給付外とする制度です。
Q2. いつから始まる?
厚生労働省資料では、2027年3月施行を想定しています。
Q3. 対象薬は何種類?
2026年8月1日時点で77成分・1,042品目が対象として示されています。
Q4. 子どもも追加負担になる?
現時点の整理では、18歳年度末までのこどもに対象薬を処方する場合は、特別の料金を求めない方向です。
Q5. がん患者はすべて対象外?
いいえ。がんそのものや治療に関連して対象薬を使う場合は対象外ですが、花粉症や一般的な風邪など、がんと直接関係しない症状への処方は追加負担となる場合があります。
Q6. 長期で飲んでいる酸化マグネシウムも追加負担?
医師が長期使用を医療上必要と判断する場合は、特別の料金を求めない方向で検討されています。内服薬では年間おおむね50週という目安も示されていますが、最終的な運用は今後の正式な通知確認が必要です。

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