プロプラノロール〈インデラル錠〉が肝硬変患者へ処方!作用機序や処方理由まとめ

薬剤師のしぐです。

今回は、以前リーバクト配合ゼリーの供給再開の時にまとめてあった肝硬変治療で用いる処方薬のなかから「プロプラノロール」についてまとめます。

もともとプロプラノロール〈インデラル錠〉は独特の適応をもっていて処方される機会が多いのでみる機会は比較的多いかと思います。

では、このプロプラノロール〈インデラル錠〉についての概要から、肝硬変への関連について書いてくよ。

肝硬変患者への処方薬一覧

以前まとめたときの、処方例がコチラ。

・ラクツロースシロップ
・ポルトラック原末
・ウルソデオキシコール錠100mg
・酸化マグネシウム錠330mg
・ミヤBM錠
・リーバクト配合顆粒
・ネキシウムカプセル20mg
・アミノレバンEN配合散
・フロセミド錠20mg
・サムスカ錠7.5mg
・カナマイシンカプセル250mg
・プロプラノロール錠10mg
・エルカルチンFF錠250mg

うーーむ。やはり、そうそうたる内容。

ただ、最近はここまで濃く処方されてる方を見る機会は減ってますよね。

やはりC型肝炎ウイルス治療の躍進が1番の理由になります。もうほとんどC型肝炎治療を行ってる患者さん、みないんですよね。

ハーボニーやマヴィレットといったすごくいい医薬品がこの数年の間に立て続けにいくつも販売されていますからね。ギリアドさんの参入は、すごくインパクトのある出来事でした。

では、そんな中から今回はプロプラノロール〈インデラル錠〉についてですね〜

プロプラノロール〈インデラル錠〉の適応、効能効果

  • 本態性高血圧症(軽症〜中等症)
  • 狭心症褐色細胞腫手術時期外収縮(上室性、心室性)、発作性頻拍の予防、頻拍性心房細動(徐脈効果)、洞性頻脈、新鮮心房細動、発作性心房細動の予防
  • 片頭痛発作の発症抑制
  • 右心室流出路狭窄による低酸素発作の発症抑制

自分的には、やっぱり「予防」が多いことと、偏頭痛発作の発症抑制あたりが、珍しいかなーって。感じですね。

あと、適応外として使われることも多いこのプロプラノロール〈インデラル錠〉。

  • 本能性振戦
  • バセドウ病(バセドウ病による動悸、頻脈等含む)
  • 門脈圧亢進症
  • パニック障害

そして、今回の使い方も適応外である「食道胃静脈瘤再出血の予防」。門脈圧亢進症もほとんど同じ目的にはなりますが。

プロプラノロール〈インデラル錠〉の用法用量

本態性高血圧症(軽症〜中等症)に使用する場合

通常、成人にはプロプラノロール塩酸塩として1日30〜60mgより投与をはじめ、効果不十分な場合は120mgまで漸増し、1日3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

狭心症、褐色細胞腫手術時に使用する場合

通常、成人にはプロプラノロール塩酸塩として1日30mgより投与をはじめ、効果が不十分な場合は60mg、90mgと漸増し、1日3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

期外収縮(上室性、心室性)、発作性頻拍の予防、頻拍性心房細動(徐脈効果)、洞性頻脈、新鮮心房細動、発作性心房細動の予防に使用する場合

成人

通常、成人にはプロプラノロール塩酸塩として1日30mgより投与をはじめ、効果が不十分な場合は60mg、90mgと漸増し、1日3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

小児

通常、小児にはプロプラノロール塩酸塩として1日0.5〜2mg/kgを、低用量から開始し、1日3〜4回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。効果不十分な場合には1日4mg/kgまで増量することができるが、1日投与量として90mgを超えないこと。

片頭痛発作の発症抑制に使用する場合

通常、成人にはプロプラノロール塩酸塩として1日20〜30mgより投与をはじめ、効果が不十分な場合は60mgまで漸増し、1日2回あるいは3回に分割経口投与する。

右心室流出路狭窄による低酸素発作の発症抑制に使用する場合

通常、乳幼児にはプロプラノロール塩酸塩として1日0.5〜2mg/kgを、低用量から開始し、1日3〜4回に分割経口投与する。なお、症状により適宜増減する。効果不十分な場合には1日4mg/kgまで増量することができる。

プロプラノロール〈インデラル錠〉の併用禁忌

リザトリプタン安息香酸塩(マクサルト)

プロプラノロール〈インデラル錠〉の禁忌

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 気管支喘息、気管支痙攣のおそれのある患者[気管支を収縮し、喘息症状が誘発又は悪化するおそれがある。]
  • 糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者[アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強するおそれがある。]
  • 高度又は症状を呈する徐脈、房室ブロック(II、III度)、洞房ブロック、洞不全症候群のある患者[これらの症状が悪化するおそれがある。]
  • 心原性ショックの患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]
  • 肺高血圧による右心不全のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]
  • うっ血性心不全のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]
  • 低血圧症の患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]
  • 長期間絶食状態の患者[低血糖症状を起こしやすく、かつその症状をマスクし、発見を遅らせる危険性がある。]
  • 重度の末梢循環障害のある患者(壊疽等)[症状が悪化するおそれがある。]
  • 未治療の褐色細胞腫の患者(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照)
  • 異型狭心症の患者[症状が悪化するおそれがある。]
  • リザトリプタン安息香酸塩を投与中の患者

ホント、禁忌が多いのでβ遮断薬は全体的に嫌いだ。

プロプラノロール〈インデラル錠〉の作用機序

心臓において交感神経のβ1受容体というものが心臓の機能に関与しています。β1受容体を遮断(阻害)すると心機能が抑えられ心臓の仕事量が減少することにより、血液を送り出す量が減り、血管における血液量の減少による血圧低下を起こします。

このプロプラノロール〈インデラル錠〉はβ1非選択制と言われています。

また心機能を抑えることで心拍数も低下させます。

肝硬変患者への処方理由

まずは、結論からもう1度。

門脈圧亢進による食道静脈瘤破裂の予防

えーと、まず説明していく順番が難しいのですが。

肝硬変患者の80%で食道静脈瘤を合併すると言われています。

肝臓に血液を流入させる「門脈」という太い静脈があります。肝硬変により肝臓への血液の流入がスムーズに行かなくなると、その経路である門脈内部に圧がかかってしまいます。

行き場を失った血液が、近接している食道の細い静脈に流れ込み、無理に通過しようとするため食道静脈にこぶ状の膨らみを作ります。

これが、食道静脈瘤というわけですね。

食道の壁は薄く、非常に破れやすいので食道静脈瘤が破裂すると大量の吐血により出血性ショックを起こし、死に至ることもあります。

この予防で用いられるのが「門脈血流や肝動脈血流を低下させるβ1遮断作用と、内臓血管抵抗を上昇させて門脈血流を低下させるβ2遮断作用を併せ持つ」β非選択性遮断薬というわけですね。

ちなみに、非選択性β遮断薬で静脈瘤破裂を予防するには、安静時心拍数を投与前より25%以上低下させる必要があると言われています。

ここで用いられる非選択性β遮断薬には、プロプラノロール〈インデラル錠〉以外ではメトプロロール〈ロプレソール錠〉やニプラジロール〈ハイパジールコーワ錠〉などがあります。

今回はこんな感じですねー

肝疾患に全く関係ないように感じるβ遮断薬の処方。

深い意味が込められていたりするわけですね。

ではではーしぐでした!

コメント

  1. […] […]

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