ブリヌスプリ錠25mg発売!気管支拡張症のDPP1阻害薬|作用機序・副作用・薬価

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鮮やかな緑を背景にしたガラスの肺と錠剤のイメージ

薬剤師のしぐです。

気管支拡張症の治療に、新しい作用機序の飲み薬が登場しました。

2026年10月19日発売の「ブリヌスプリ錠25mg」です。

有効成分はブレンソカチブ水和物。DPP1を阻害し、好中球が関わる慢性的な炎症に働きかけます。

注目したいのは、1日1回という使い方に加えて、薬局で確認する項目。

「咳や痰はどうですか?」と一緒に、歯ぐきや皮膚の変化も聞いておきたい薬です。

ブリヌスプリの基本情報

項目内容
販売名ブリヌスプリ錠25mg
一般名ブレンソカチブ水和物
製造販売元インスメッド合同会社
分類選択的可逆的DPP1阻害薬・好中球性炎症抑制薬
適応非嚢胞性線維症性気管支拡張症
用法・用量成人および12歳以上の小児に、ブレンソカチブとして25mgを1日1回経口投与
薬価25mg1錠24,695.70円
剤形灰色のフィルムコーティング錠
保管室温保存

薬価は、2026年10月の新発売案内に基づきます。

非嚢胞性線維症性気管支拡張症とは?

気管支が傷つき、拡張した状態が続く病気です。

「非嚢胞性線維症性」は、嚢胞性線維症を原因とするものを除く、という意味です。

痰を排出しにくくなること、感染、慢性的な炎症、気道の傷害が互いに影響し、咳や痰などの症状が続きます。

普段より症状が悪化し、抗菌薬などの治療が必要になる「増悪」も、生活への大きな負担になります。

ブリヌスプリでは、こうした病態のうち、好中球性炎症へのアプローチが加わります。

プラム色の背景に気道と炎症を抽象的に表現したガラスアート

DPP1阻害で何が変わる?作用機序を整理

好中球は、感染から体を守る免疫細胞です。

好中球が持つ酵素のうち、好中球エラスターゼ、カテプシンG、プロテイナーゼ3などを、好中球セリンプロテアーゼと呼びます。

これらは防御に役立つ一方、過剰な活性は気道の炎症や組織傷害に関わります。

活性化の上流で働くのが、ジペプチジルペプチダーゼ1、略してDPP1です。

ブリヌスプリは、骨髄で好中球が成熟する過程におけるDPP1を選択的・可逆的に阻害し、これらの酵素の活性化を抑えます。

ポイントは「好中球の酵素が活性化される段階に働きかける」と理解すること。

細菌を直接退治する抗菌薬とは役割が異なり、広がった気管支を元に戻す薬でもありません。

そう、このブリヌスプリは、作用機序がおもしろいですよね!

糖尿病のDPP-4阻害薬とは別の薬

名前が似ていますが、DPP1とDPP-4は別の酵素です。

ブリヌスプリは気管支拡張症に用いる薬で、糖尿病のDPP-4阻害薬と置き換えるものではありません。

DPP-4阻害薬については、コチラもあわせてどうぞ。

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どの患者さんに使う?

適応病名だけで、一律に使用する薬ではありません。

過去の増悪歴、緑膿菌などの定着状況、痰などの呼吸器症状を踏まえ、抗菌薬を必要とする増悪を繰り返すリスクがある患者さんに使用します。

薬局でも、開始前の状態を確認しておくと、その後の変化を追いやすくなります。

「最近、抗菌薬を何回使ったか」
「普段の痰の量」
「息切れで困る場面」

こうした、比較できる記録を残したいところです。

ASPEN試験で示された効果

国際共同第Ⅲ相ASPEN試験では、25mg群575人、プラセボ群563人で、呼吸器疾患増悪の年間発生率が比較されました。

評価項目ブリヌスプリ25mg群プラセボ群
増悪の年間発生率1.036回/人年1.286回/人年
初回増悪までの期間の中央値50.7週36.7週

25mg群では、増悪の年間発生率が相対的に19.4%低下しました。調整後p値は0.0048です。

この19.4%は、増悪の「発生率」の相対的な低下です。患者さんの19.4%が治癒したという意味ではありません。

日々の服薬を通じて、増悪を減らすことを目指す治療として説明するのが大切です。

開始直後の咳の変化だけで、効果を判断しないようにしたいですね。

飲み方と飲み忘れ時の対応

成人および12歳以上の小児では、1回1錠、1日1回服用します。水またはぬるま湯で飲みます。

飲み忘れた場合は、その日の飲み忘れ分は服用せず、翌日の通常の服用時間に1回分を飲みます。

2回分をまとめて飲んではいけません。

ここは服薬指導で押さえたいところ。

「気づいたら飲む」という一般的な説明を流用せず、この薬の対応を具体的に伝えます。

歯ブラシと歯科用ミラーで表現した服薬中の口腔ケア

副作用は歯ぐき・皮膚にも注目

電子添文には、過角化、発疹、湿疹、頭痛、歯肉障害、歯周病などが挙げられています。

確認する場所患者さんに聞きたいこと
歯ぐき・口腔内腫れ、赤み、歯みがき時の出血、歯や歯ぐきの痛み・違和感
皮膚皮膚が硬く厚くなった感じ、発疹、乾燥などの変化
その他頭痛など、服用開始後に気になる症状がないか

歯肉障害や歯周病への対策として、服用中は口腔内を清潔に保つことが大切です。

歯ぐきの腫れや出血などが出た場合は、歯科受診につなげます。

「呼吸器の薬なのに歯ぐき?」と感じる患者さんもいるでしょう。

開始時に説明しておくと、変化を相談してもらいやすくなります。

生ワクチンの接種予定も確認

服用中の生ワクチンは、安全性が確認されていないため避けます。

予防接種を予定している場合は、ワクチン名を確認して主治医に相談します。

自己判断で薬を休んで接種することは避けてください。

12歳以上が対象なので、小児・思春期の患者さんでは、保護者も含めた接種予定の共有が役立ちます。

妊娠の可能性や授乳についても、開始前に医師・薬剤師へ伝える必要があります。

薬価と費用の考え方

薬価は1錠24,695.70円です。

1日1錠で計算すると、薬剤費だけで14日分345,739.80円、30日分740,871円になります。

これは保険適用前の薬剤費の単純計算です。

窓口で実際に支払う額は、自己負担割合、高額療養費制度などの適用、ほかの診療費によって異なります。

高額な薬だからこそ、処方を受けてから費用に驚くことがないよう、医療機関と薬局で早めに確認したいところです。

症状記録用のノートと薬、水を置いた薬局の机

薬局でのフォローは「開始前との比較」が大切

実務では、次のような記録が役立つと考えます。

タイミング確認したい内容
初回治療目的の理解、普段の咳・痰・息切れ、増悪・抗菌薬使用歴
交付時1日1回の服用習慣、飲み忘れ時の対応、費用や受け取りの不安
継続時呼吸器症状の変化、歯ぐきの出血・腫れ、皮膚症状、服薬状況
随時ワクチン予定、新たに開始した薬、妊娠・授乳に関する相談

声かけは「副作用はありませんか?」より、具体的に。

「歯みがきのときに血が出たり、歯ぐきが腫れたりしていませんか?」

「痰の量や息切れは、普段と比べてどうですか?」

普段より強い息苦しさ、発熱、血痰・喀血などの変化があれば、薬の効果を待つのではなく医療機関に相談します。強い呼吸困難や多量の喀血は緊急の対応が必要です。

また、抗菌薬や排痰などの既存治療を自己判断でやめないことも共有します。

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まとめ|新しい治療を、続けられる支援につなげたい

ブリヌスプリは、DPP1を阻害して好中球性炎症に働きかける、気管支拡張症の新しい治療選択肢です。

増悪のリスクを見ながら使用し、成人と12歳以上の小児に1日1回服用します。

今回の発売で薬局として大切だと感じるのは、新しい作用機序の理解を、具体的な服薬支援につなげること。

飲み忘れ、口腔ケア、皮膚の変化、ワクチン予定、費用まで確認できると、長期治療を支える関わりが一段深まります。

「咳と痰に加えて、歯ぐきも確認する」。

まずはここを覚えておきたい薬ですね。

よくある質問

Q. ブリヌスプリは抗菌薬ですか?

DPP1を阻害して好中球性炎症に働きかける薬です。感染時に必要になる抗菌薬の代わりとして、自己判断で使うものではありません。

Q. 何歳から使えますか?

国内の用法・用量では成人および12歳以上の小児が対象です。12歳未満を対象とした臨床試験は実施されていません。

Q. 飲み忘れたらどうしますか?

飲み忘れ分は飲まず、翌日の通常の服用時間に1回分を服用します。2回分を一度に飲まないでください。

Q. 歯ぐきが腫れた場合は?

歯肉障害・歯周病があらわれることがあるため、歯科を受診してください。服用中の薬も歯科医師に伝えましょう。

Q. ワクチンは接種できますか?

服用中は生ワクチンを避けます。接種前にワクチンの種類を確認し、主治医に相談してください。

Q. 薬価がそのまま自己負担額になりますか?

薬価は薬剤費の基準です。実際の負担は保険の自己負担割合や各種制度の適用などで異なります。

※2026年10月19日時点の情報です。治療の判断には最新の電子添文と主治医の指示を確認してください。

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