2026年度調剤報酬改定、薬局88.3%が減点?平均▲12.25点|NPhA調査から見える薬局への影響

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2026年度調剤報酬改定、薬局88.3%が減点?平均▲12.25点|NPhA調査を薬剤師が解説

2026年度調剤報酬改定で多くの薬局が減点となった影響を表すイメージ

こんにちは、薬剤師のしぐです。

2026年度調剤報酬改定について、かなり衝撃的な数字が出ました。

日本保険薬局協会(NPhA)が公表した影響調査では、主要5項目を合算した試算で、対象薬局の88.3%がマイナス

受付1回当たりの影響は、平均▲12.25点でした。

1点を10円として単純に考えると、受付1回当たり約122.5円です。

「少し点数が変わっただけ」に見えるかもしれません。

でも、処方箋を月2,000枚受け付ける薬局なら単純計算で約24万5,000円、月3,000枚なら約36万7,500円。年間では、かなり大きな差になります。

そして、しぐの薬局でも今回の改定により、在宅薬学総合体制加算2から加算1へ移行することになりました。

在宅をやっていないわけではありません。

むしろ、加算2を維持するために求められる在宅の件数が、正直なところ「鬼すぎる……」と感じる設計でした。

今回はNPhA調査の数字を整理しながら、現場で何が起きているのか、そして大学病院前の門前薬局が本当に評価されていないのかを考えてみます。

この記事の結論

NPhA調査の「88.3%」「平均▲12.25点」は、薬局経営全体の最終的な減収額ではなく、主要5項目を合算した試算です。ただし、調剤管理料の引き下げや体制加算の再編、在宅薬学総合体制加算2の算定率急落を見ると、多くの薬局に厳しい改定となったことは間違いありません。立地や集中率という外形だけでなく、実際に担っている高度薬学管理、医薬品供給、在宅対応を評価する仕組みが必要です。

NPhA調査で「薬局の88.3%がマイナス」

NPhAが2026年9月に公表した「令和8年度調剤報酬改定に係る保険薬局への影響調査 報告書(その2)」は、全国4,725薬局の管理薬剤師から得た回答をまとめたものです。

回答期間は2026年7月1日から7月24日。改定後の届出状況や算定状況を踏まえ、薬局への影響が分析されています。

主要5項目を合算した結果は、次の通りでした。

項目改定による影響
調剤基本料平均+0.62点
地域支援・医薬品供給対応体制加算平均▲4.84点
電子的調剤情報連携体制整備加算平均▲0.42点
調剤管理料受付1回当たり平均▲5.94点
かかりつけ薬剤師指導料受付1回当たり平均▲1.85点
主要5項目の合計受付1回当たり平均▲12.25点

主要5項目を合算すると、対象薬局の88.3%がマイナスとなりました。

調剤基本料や調剤管理料など主要5項目の増減を表す抽象イメージ

特に大きいのが、調剤管理料です。

調査では79%の薬局がマイナスと推計され、受付1回当たり平均▲5.94点。処方日数の長い処方箋を多く扱う薬局ほど、影響を受けやすい見直しです。

「88.3%の薬局が減収確定」ではない点に注意

この数字を見ると、

「薬局の88.3%が、経営全体で減収になった」

と受け取りたくなりますが、そこは少し注意が必要です。

今回の▲12.25点は、調剤基本料など主要5項目を組み合わせた試算です。

調剤ベースアップ評価料や調剤物価対応料、個別の加算、薬剤料など、薬局収益のすべてを合算した最終的な経営成績ではありません。

また、薬局ごとに処方箋枚数、処方日数、立地、在宅実績、算定項目が異なるため、実際の影響額には差があります。

ただし、調査対象の約9割で主要項目がマイナスになった事実は重いと思います。

物価も人件費も上がるなかで、「基本料を少し上げたから大丈夫」とは、とても言いにくい結果です。

在宅薬学総合体制加算2は22.1%から3.3%へ

今回、しぐが特に気になったのが、在宅薬学総合体制加算です。

NPhA調査では、在宅薬学総合体制加算2の算定率が、改定前の22.1%から改定後は3.3%へ低下しました。

これは、かなり大きな変化です。

しぐの薬局も、まさに在宅薬学総合体制加算2から加算1になりました。

「在宅への取り組みをやめたから」ではありません。

大学病院前の薬局として、日々の外来処方に対応しながら在宅業務にも取り組んでいます。それでも、加算2を維持するために必要な訪問実績、とくに個人宅を重視した件数要件はかなり厳しいものでした。

率直に言うと、在宅の件数が鬼すぎる……

在宅患者さんを増やすことは、薬局だけの努力で自由にできるものではありません。

  • 地域の患者構成
  • 医療機関やケアマネジャーとの連携
  • 個人宅と施設の割合
  • 訪問可能な薬剤師数
  • 通常の外来調剤との両立
  • 移動時間や24時間対応の体制

こうした条件が重なって、初めて件数につながります。

患者さんの必要性ではなく、点数を維持するために訪問件数を作るわけにもいきません。

だからこそ、現場から見ると「頑張れば届く」というより、立地や地域事情で、かなりの部分が決まってしまう点数設計に感じます。

在宅薬学総合体制加算2から1への移行と厳しい訪問要件を表すイメージ

「頑張りようがない」と感じる点数設計

調剤報酬では、薬局機能を高める方向性そのものは理解できます。

在宅対応を強化する。24時間相談に応じる。地域医療へ参加する。かかりつけ機能を持つ。医薬品の供給不安にも対応する。

どれも、薬局に必要な役割です。

ただ、その評価が「実際にどれだけ質の高い仕事をしたか」よりも、件数、立地、集中率、届出区分といった外形的な条件に寄りすぎると、現場には努力だけでは越えられない壁ができます。

例えば、外来で抗がん薬や免疫抑制薬、高額な希少疾病治療薬を扱い、副作用フォローや病院への情報提供を続けても、その仕事が在宅の訪問件数になるわけではありません。

供給不安のたびに卸へ連絡し、代替薬を探し、患者さんの治療を止めないように調整しても、それが十分な評価につながるとは限りません。

求められる仕事は増えているのに、薬局が工夫して積み上げた業務が、必ずしも点数へ結びつかない。

これが「頑張りようがない」と感じる理由です。

大学病院前の門前薬局は、本当に機能が低いのか

大手チェーンや門前薬局には、以前から厳しい視線が向けられてきました。

たしかに、処方箋が特定の医療機関へ集中しやすいことや、立地によって一定の処方箋枚数が見込めることは事実です。

ただし、集中率が高いことと、薬局機能が低いことは同じではありません。

大学病院前では、次のような処方へ日常的に対応します。

  • 経口抗がん薬や支持療法薬
  • 免疫抑制薬
  • 希少疾病用医薬品
  • 特殊な用法・用量の医薬品
  • 高額で在庫リスクの大きい医薬品
  • 多診療科、多剤併用の複雑な処方

高額医薬品は、「処方箋が来てから考えればよい」というものではありません。

患者さんの治療を止めないためには、一定の在庫、卸との調整、冷所品を含む保管体制、薬剤師の知識、病院との連携が必要です。何十万円、場合によってはそれ以上の医薬品を抱える在庫リスクも薬局側が担います。

大手チェーンが門前にあるからこそ、会社全体の在庫網や人員、教育体制を使い、大学病院の高度医療を外来で支えられている面もあります。

それなのに「大手」「門前」「集中率が高い」というだけで、評価を下げる方向へ働くとしたら、少し乱暴ではないでしょうか。

今回のNPhA調査でも、処方箋集中率と体制加算の区分との関連は限定的でした。さらに、訪問実績やかかりつけ薬剤師指導料算定率とは正の相関がみられ、集中率の高さが機能・実績の低さを示す結果は得られなかったとされています。

これは、とても大事な指摘だと思います。

門前薬局を一律に守るべき、という話ではありません。

一方で、立地だけで機能を推測するのではなく、実際に何を担っているかで評価してほしい。高度薬学管理、医薬品供給、病院との連携、患者フォローという実績を、もっと正面から見てほしいと思います。

大学病院前薬局が高額医薬品と高度薬学管理を支える様子を表すイメージ

平均▲12.25点は薬局経営にどれくらい響く?

受付1回当たり▲12.25点を、単純に処方箋枚数へ掛けると次のようになります。

月間処方箋枚数1か月の単純試算1年間の単純試算
1,000枚▲12万2,500円▲147万円
2,000枚▲24万5,000円▲294万円
3,000枚▲36万7,500円▲441万円
5,000枚▲61万2,500円▲735万円

※1点10円として、主要5項目の平均影響を単純に掛けた参考値です。実際の収益影響は、各薬局の算定状況や新設評価、患者構成などにより異なります。

薬局では、この減点だけを見て人員を簡単に減らせるわけではありません。

むしろ、求められるのは在宅、フォローアップ、医療DX、供給不安対応、夜間・休日対応など、人手と時間が必要な業務ばかりです。

収入は下がる。でも、仕事は減らない。

この構造が続けば、薬局の経営だけでなく、患者さんへ提供できる医療の持続可能性にも影響します。

2026年度改定で評価すべきものは何か

NPhAは、薬剤師の配属人員数が、体制加算の区分、訪問実績、かかりつけ薬剤師指導料の算定率と一貫して正の相関を示したと報告しています。

つまり、人を配置できる薬局ほど、機能や実績を積み上げやすいということです。

しかし、減点によって人員確保が難しくなれば、機能を高めるための土台そのものが弱くなります。

本来は、

  1. 薬局が高度な機能や地域対応を担う
  2. その実績が適切に評価される
  3. 人材や設備へ再投資できる
  4. さらに患者さんへの対応力が上がる

という循環が必要です。

立地や集中率を中心とした減点が先に立つと、この循環が逆回転しかねません。

薬局がどこにあるかではなく、そこで何をしているか。

在宅の「数」だけでなく、患者さんの状態、緊急対応、無菌調製、高度薬学管理、外来がん治療のフォローアップなど、仕事の質と負担も評価してほしいところです。

まとめ|88.3%という数字の先にあるもの

今回のNPhA調査では、2026年度調剤報酬改定の主要5項目を合算すると、受付1回当たり平均▲12.25点、対象薬局の88.3%がマイナスとなりました。

調剤基本料は平均で少し上がっています。

一方で、地域支援・医薬品供給対応体制加算、調剤管理料、かかりつけ薬剤師指導料などの影響が重なり、多くの薬局ではプラスを打ち消す結果となりました。

しぐの薬局でも、在宅薬学総合体制加算2から1へ。

在宅の必要性は理解していますし、これからも対応していきます。

でも、件数要件があまりに厳しく、地域や立地によっては「努力すれば何とかなる」とは言いにくい設計です。

また、大学病院前の門前薬局では、高額医薬品や抗がん薬、複雑な処方へ対応し、病院の高度医療を外来で支えています。大手チェーンであることが、その供給力や人材育成を支えている面もあります。

それでも「大手だから」「門前だから」という理由で風当たりが強くなることには、やはり疑問が残ります。

NPhA調査からも、集中率の高さだけでは薬局の機能や実績の低さを説明できませんでした。

薬局を立地で見るのではなく、実際に担っている仕事で見る。

次の改定では、現場が頑張った分だけ患者さんへの機能として返し、その機能がきちんと評価される点数設計へ近づいてほしいと思います。


FAQ

Q1.薬局の88.3%が、2026年度改定で減収したという意味ですか?

厳密には違います。NPhA調査で主要5項目を合算した試算がマイナスとなった薬局の割合です。新設された評価や薬剤料など、薬局経営全体の収益をすべて合算した最終結果ではありません。

Q2.平均▲12.25点は、いくらの減少ですか?

保険調剤では1点10円なので、受付1回当たり約122.5円のマイナスに相当します。ただし、主要5項目の平均値による試算であり、実際の影響は薬局ごとに異なります。

Q3.何が最も大きく減点されましたか?

今回の主要5項目では、調剤管理料が受付1回当たり平均▲5.94点で、79%の薬局がマイナスと推計されました。地域支援・医薬品供給対応体制加算も平均▲4.84点でした。

Q4.在宅薬学総合体制加算2は、なぜ算定しにくくなったのですか?

2026年度改定では、十分な在宅実績、とくに個人宅への訪問を重視する要件へ見直されました。地域の患者構成や連携状況に左右されるため、薬局だけの努力では件数を確保しにくい場合があります。

Q5.門前薬局は機能が低いのでしょうか?

一概にはいえません。NPhA調査では、処方箋集中率の高さが機能・実績の低さを示す結果は得られませんでした。大学病院前などでは、高額医薬品の供給、高度薬学管理、病院との連携など、別の重要な役割を担っています。

Q6.今回の調査対象は何薬局ですか?

全国4,725薬局です。保険調剤業務を1年以上行う薬局の管理薬剤師が、1薬局につき1回答する形で実施されました。

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