トルリシティの保管方法を解説|冷蔵庫・室温・凍結時はどうする?【2026年版】
こんばんは!薬剤師のしぐです。
今回は、糖尿病治療薬のトルリシティ皮下注アテオスについて。
その中でも、患者さんへの服薬指導で意外と質問されやすい、
「トルリシティって、ずっと冷蔵庫に入れておかないとダメなの?」
という「保管方法」に焦点を当ててまとめてみます。
トルリシティは注射薬なので、
「冷蔵庫に入れてくださいね」
と説明して終わってしまいがち。
でも実際の現場では、
「家に帰って冷蔵庫に入れるのを忘れていました」
「旅行に持っていって大丈夫?」
「車の中に置いてしまった」
「冷蔵庫の奥に入れていたら凍ってしまったかも……」
なんて質問も出てくるんですよね。
実はトルリシティ、
基本は2〜8℃で冷蔵保存。
ただし、
30℃以下であれば、遮光した状態で14日間まで室温保存可能
という重要なポイントがあります。
この「14日」という数字、服薬指導ではかなり大事です。
今回はGLP-1ってそもそも何?というところから、トルリシティの特徴、保管方法、投与を忘れた場合までまとめてみます!
そもそもGLP-1とは?
まずはトルリシティを理解するために、GLP-1から。
GLP-1は、
Glucagon-Like Peptide-1(グルカゴン様ペプチド-1)
の略。
食事をすると消化管から分泌される「インクレチン」と呼ばれるホルモンのひとつです。
インクレチンには主に、
GLP-1とGIP
があります。
GLP-1がGLP-1受容体に作用すると、血糖値に応じてインスリン分泌を促進するとともに、グルカゴン分泌を抑制し、さらに胃内容排出を遅らせる作用などによって血糖コントロールを改善します。
つまりGLP-1受容体作動薬は、
「インスリンそのものを注射する薬」ではなく、GLP-1の働きを利用して血糖値を下げる薬
というのがポイント。
GLP-1やGIP、DPP-4阻害薬の関係については、以前かなり詳しくまとめています。


トルリシティは週1回のGLP-1受容体作動薬
トルリシティの一般名は、
デュラグルチド
です。
持続性GLP-1受容体作動薬で、効能・効果は2型糖尿病。
2026年現在、
トルリシティ皮下注0.75mgアテオス
トルリシティ皮下注1.5mgアテオス
の2規格があります。
通常はデュラグルチドとして0.75mgを週1回皮下注射し、患者さんの状態に応じて1.5mg週1回へ増量できます。
今回いただいた資料は0.75mgのみが記載された少し前のものですが、ここは現在の情報にアップデートしておきたいところですね。
そしてトルリシティ最大の特徴のひとつが、
週1回投与
ということ。
毎日注射する必要がないのは、患者さんにとってかなり大きなメリットだと思います。
同じ週1回投与のGLP-1受容体作動薬にはオゼンピックもあります。

トルリシティの保管方法|基本は2〜8℃
では今回の本題です。
トルリシティの保管方法をまとめると、こうなります。
| 状況 | 保管方法 |
|---|---|
| 通常の保管 | 2〜8℃で遮光保存 |
| 冷蔵庫が使えない | 30℃以下・遮光で14日以内 |
| 30℃を超える場所 | 保管しない |
| 凍結した場合 | 使用しない |
| 直射日光 | 避ける |
| 車内など高温になる場所 | 避ける |
| 冷気の吹き出し口付近 | 凍結の可能性があるため避ける |
電子添文でも、トルリシティは「凍結を避け、2〜8℃で遮光保存」、室温保存する場合は「14日以内」「30℃を超えない」とされています。
ここで重要なのが、
「冷蔵庫に入れ忘れた=すぐ廃棄」ではない
ということ。
例えば患者さんから、
「昨日もらったトルリシティを冷蔵庫に入れ忘れて、一晩テーブルの上に置いていました……」
と言われた場合。
30℃以下で、直射日光などを避けて保管されていたのであれば、室温保存できる範囲に入る可能性があります。
トルリシティは30℃以下・遮光であれば、処方後14日間まで室温保存可能です。
「冷蔵庫から出ていたから即アウト!」
ではないんですね。

実は「14日間」は積算で考えられる
ここ、今回調べ直していて個人的にも改めて押さえておきたいと思ったポイント。
日本イーライリリーの医療関係者向けQ&Aでは、
30℃以下で室温保存された期間が合計14日以内であれば、再び2〜8℃の冷蔵庫へ戻して保存することが可能
と案内されています。
そして、室温保存期間が積算14日以内であれば、その後冷蔵保存に戻し、製品に記載された使用期限まで使用可能とされています。
つまり、
「一度常温に出したら、そこから14日以内に絶対使わなければならない」
という単純な考え方ではなく、
30℃以下で室温に置かれていた期間を“積算”して考える
ということ。
これは薬局で相談されたとき、かなり使える情報だと思います。
もちろん、
「何℃だったのかわからない」
「真夏の部屋に長時間置いていた」
「車内に置き忘れた」
など、保管状況がはっきりしない場合には自己判断せず、薬局・医療機関やメーカーへ確認した方が安心です。
夏の車内は特に注意!
今回いただいた患者さん向け資料にも大きく書かれていますが、
自動車の中など、高温になる場所には放置しない
これはかなり重要。
日本の夏場の車内は30℃を簡単に超えてしまいます。
メーカーも、30℃を超えて保存された場合は製剤の品質を保証できないため、使用しないよう案内しています。
「30℃以下なら14日」
という数字だけ覚えるのではなく、
30℃を超えない・光を避ける
までセットで患者さんに伝えたいですね。
トルリシティは凍結もNG!
もうひとつ忘れてはいけないのが、
凍結させないこと。
「冷蔵保存だから、しっかり冷やしておけばいい!」
というわけではありません。
冷凍庫にはもちろん入れない。
さらに資料にもある通り、冷蔵庫の冷気の吹き出し口付近も避けた方が安全です。
デュラグルチドはタンパク製剤で、凍結するとタンパク質が変性して薬効が低下する可能性があるほか、注入器にも影響する可能性があります。メーカーも凍結した製剤は使用しないよう案内しています。
なので、
「凍ってしまったけれど、解凍すれば使える?」→使わない
ここはハッキリですね。
トルリシティを持ち運ぶときは?
旅行や外出時も質問されやすいところ。
30℃以下で遮光できる環境であれば、そのまま持ち運ぶことも可能です。
一方、気温が30℃を超えるような環境では保冷バッグなどを使う方法も考えられますが、メーカーとして特定の持ち運び方法を指定しているわけではありません。
そして保冷するときも、
冷やしすぎて凍結させない
ことが大切。
「高温を避けたいから保冷剤でガチガチに冷やす」
というのも、逆に注意が必要なんですよね。
トルリシティの投与を忘れたら?
今回の資料には、投与を忘れた場合の対応もわかりやすく載っています。
トルリシティは基本的に、
週1回、同じ曜日
に投与します。
忘れてしまった場合は、
次の投与予定日まで3日間(72時間)以上ある
→ 気づいた時点で投与して、その後は元の曜日へ戻す。
次の投与予定日まで3日間(72時間)未満
→ 忘れた分は投与せず、次の予定日に投与する。
という「72時間ルール」です。
曜日自体を変更する場合も、前回投与から少なくとも72時間以上空ける必要があります。

薬局での服薬指導は「冷蔵庫に入れてください」だけでは少しもったいない
今回の内容で、薬剤師として患者さんに伝えておきたいのは次の5点です。
- 基本は2〜8℃、遮光して冷蔵保存
- 30℃以下なら室温で積算14日間まで保存可能
- 直射日光・真夏の車内など高温になる場所を避ける
- 冷凍庫や冷気の吹き出し口を避け、凍結したものは使用しない
- 投与忘れは「次回まで72時間」が判断のポイント
トルリシティを渡すとき、
「冷蔵庫で保存してくださいね」
だけではなく、
「もし冷蔵庫に入れ忘れても、30℃以下なら14日間まで大丈夫なので、捨てる前に薬局へ相談してくださいね」
くらいまで一言加えてあげると、患者さんもかなり安心できるんじゃないかなと思います。
次はマンジャロもまとめます!
そしてGLP-1関連で、今や絶対に外せないのが、
マンジャロ皮下注(チルゼパチド)
ですよね。
トルリシティがGLP-1受容体作動薬なのに対して、マンジャロはGIP/GLP-1受容体作動薬。
「GLP-1だけじゃなくGIPも?」
となると、最初は少しややこしい。
ただ、インクレチンの仕組みから順番に理解すると、かなり整理しやすくなります。
近いうちに、
「マンジャロとは?GIP/GLP-1の作用機序から使い方・保管方法まで」
という感じで、こちらもしっかりまとめたいと思います!
トルリシティの保管方法|まとめ
トルリシティって、
「冷蔵保存の注射薬」
というイメージが強いんですが、実際にはもう少し柔軟に扱える薬なんですよね。
基本は、
2〜8℃・遮光保存。
ただし、
30℃以下・遮光で14日間まで室温保存可能。
そして、
凍結した場合は使用しない。
特に「14日間まで室温保存できる」という部分は、患者さんから冷蔵庫への入れ忘れを相談されたときに知っているかどうかで、対応がかなり変わるところだと思います。
注射手技だけではなく、
「家に帰ってから、どう保管するか」までが服薬指導。
こういう細かいところこそ、薬局薬剤師がしっかりフォローしていきたいですね。
ではではー。
しぐでしたっ。
FAQ
Q. トルリシティを冷蔵庫に入れ忘れました。使えますか?
30℃以下で遮光された環境であれば、室温で積算14日間まで保存可能です。ただし、30℃を超えた可能性がある場合や保管状況がわからない場合は、使用前に薬剤師・医療機関などへ確認してください。
Q. 一度室温に出したトルリシティを冷蔵庫へ戻せますか?
メーカーの医療関係者向けQ&Aでは、30℃以下で室温保存した期間が積算14日以内であれば、その後2〜8℃に戻して保存し、使用期限まで使用可能とされています。
Q. トルリシティが凍ってしまいました。解凍すれば使えますか?
使用しません。凍結したトルリシティは使用しないこととされています。
Q. 0.75mgと1.5mgで保管方法は違いますか?
基本的な保管方法は同じです。どちらも2〜8℃で遮光保存し、室温保存する場合は30℃以下・遮光で14日以内です。
Q. トルリシティを打ち忘れた場合はどうしますか?
次回投与まで72時間以上ある場合は気づいた時点で投与し、72時間未満であれば忘れた分は飛ばして次の予定日に投与します。
※本記事は医療関係者向け資料・電子添文等を参考に作成しています。実際の使用については最新の電子添文を確認し、個々の患者さんについては医師・薬剤師等へご相談ください。

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