
こんにちは。薬剤師のしぐです。
腎性貧血の治療薬として使用される、ロキサデュスタット(商品名:エベレンゾ)。
これまで腎性貧血では注射薬が中心でしたが、エベレンゾは内服できる「HIF-PH阻害薬」です。
ただし、一般的な毎日服用する薬とは異なり、週3回だけ服用する点には注意が必要です。
さらに、鉄剤、リン吸着薬、カルシウム・マグネシウムを含む薬などと一緒に服用すると、エベレンゾの吸収が低下する可能性があります。
この記事では、
- ロキサデュスタットは何の薬なのか
- エベレンゾは毎日飲むのか
- 飲み忘れた場合の対応
- 鉄剤やリン吸着薬との服用間隔
- 血栓塞栓症などの注意すべき副作用
- 薬局で確認したいポイント
について、薬剤師の視点から分かりやすく解説します。
- ロキサデュスタットとは?
- 腎性貧血とは?
- ロキサデュスタットの作用機序
- エベレンゾは週3回服用する
- エベレンゾの開始用量
- ロキサデュスタットを飲み忘れたら?
- 鉄剤・リン吸着薬との服用間隔に注意
- エベレンゾと鉄補充の関係
- 最も注意したい副作用は血栓塞栓症
- そのほかに注意したい副作用
- HIF-PH阻害薬はエベレンゾだけではない
- 薬局で確認したいポイント
- まとめ|週3回と併用薬との間隔が重要
- FAQ
- HIF-PHD阻害薬とは
- 腎性貧血とは
- HIF-PHD阻害薬ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉の利用
- ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉の用法用量
- ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉の適応追加申請
- HIF-PHD阻害薬ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉の効果について
- ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉各規格の薬価
- エベレンゾの名前の由来
- ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉その他
- 同系統のバフセオ錠について!
- エベレンゾ錠投薬期間制限解除へ!
- ※追記:院外処方の可否について
- ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉の投薬期間制限解除!
ロキサデュスタットとは?
ロキサデュスタットは、慢性腎臓病に伴う腎性貧血の治療に使用される薬です。
商品名は「エベレンゾ錠」で、次の3規格が販売されています。
| 商品名 | 有効成分 |
|---|---|
| エベレンゾ錠20mg | ロキサデュスタット20mg |
| エベレンゾ錠50mg | ロキサデュスタット50mg |
| エベレンゾ錠100mg | ロキサデュスタット100mg |
ロキサデュスタットは、HIF-PH阻害薬と呼ばれるグループに分類されます。
透析を受けている患者さんだけでなく、透析を始める前の保存期慢性腎臓病患者さんの腎性貧血にも使用できます。
エベレンゾの薬価
2026年9月確認時点の薬価は、次のとおりです。
| 規格 | 1錠あたりの薬価 |
|---|---|
| エベレンゾ錠20mg | 341.80円 |
| エベレンゾ錠50mg | 701.30円 |
| エベレンゾ錠100mg | 1,296.00円 |
薬価は改定されることがあるため、実際の患者負担額は薬局で確認してください。JAPIC医薬品情報データベース
腎性貧血とは?
腎臓は、老廃物を尿として排出するだけの臓器ではありません。
「エリスロポエチン」というホルモンを作り、骨髄へ赤血球を作るよう働きかける役割もあります。
慢性腎臓病によって腎機能が低下すると、エリスロポエチンが十分に作られなくなり、赤血球やヘモグロビンが減少することがあります。これが腎性貧血です。
腎性貧血では、次のような症状が現れることがあります。
- 疲れやすい
- 息切れがする
- 動悸がする
- めまい、ふらつき
- 顔色が悪い
- 集中力が低下する
ただし、貧血がゆっくり進行すると、症状に気づきにくい場合もあります。
ロキサデュスタットの作用機序
ロキサデュスタットは、**低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素阻害薬(HIF-PH阻害薬)**です。
名称だけを見ると難しく感じますが、簡単に表すと、体を「酸素が少ない状態」に近い環境だと認識させ、赤血球を作る反応を促す薬です。
HIFと呼ばれる因子を安定化することで、
- 体内のエリスロポエチン産生を促す
- 鉄を赤血球の材料として利用しやすくする
- 赤血球やヘモグロビンの産生を促す
といった働きを発揮します。アステラス製薬・ロキサデュスタットの作用機序
注射薬であるESA製剤とは異なり、内服で腎性貧血を治療できることが特徴です。

エベレンゾは週3回服用する
エベレンゾは、毎日服用する薬ではありません。
通常は、あらかじめ決めた曜日に週3回服用します。
例えば、
- 月曜日・水曜日・金曜日
- 火曜日・木曜日・土曜日
など、2~3日に1回の間隔で服用します。くすりのしおり
処方箋の用法が「週3回」となっている場合は、薬袋に記載された曜日を必ず確認しましょう。
食前・食後の決まりはある?
エベレンゾは、食事の影響を大きく受けず、食事の有無にかかわらず服用できます。
ただし、後述する鉄剤、リン吸着薬、カルシウム製剤などとの服用間隔には注意が必要です。
服用時間を毎回変えるよりも、「月・水・金の朝」など、決まったタイミングにすると飲み忘れを防ぎやすくなります。
エベレンゾの開始用量
開始用量は、それまでESA製剤を使用していたかどうかなどによって異なります。
| 治療状況 | 一般的な開始用量 |
|---|---|
| ESA製剤を使用していない | 1回50mg、週3回 |
| ESA製剤から切り替える | 1回70mgまたは100mg、週3回 |
その後、ヘモグロビン濃度や患者さんの状態を確認しながら投与量が調整されます。
最高用量は、1回3.0mg/kgを超えない範囲とされています。エベレンゾ電子添文情報
自己判断で服用量や服用回数を変更してはいけません。
ロキサデュスタットを飲み忘れたら?
週3回の薬は、毎日の薬よりも服用日を忘れやすいという難しさがあります。
エベレンゾを飲み忘れた場合は、次の服用予定時間まで24時間以上あるかが判断のポイントです。
飲み忘れ時の対応
| 気づいたタイミング | 基本的な対応 |
|---|---|
| 次回服用まで24時間以上ある | 気づいた時点で1回分を服用 |
| 次回服用まで24時間未満 | 忘れた分は服用せず、次回予定日に1回分を服用 |
| いつ服用したか分からない | 追加服用せず、医療機関または薬局へ相談 |
| 誤って多く服用した | 医療機関へ連絡 |
次の服用日が近いからといって、2回分をまとめて服用してはいけません。アステラス製薬・エベレンゾ製品Q&A
飲み忘れを防ぐ工夫
- 薬袋へ服用曜日を大きく記載する
- カレンダーへ印を付ける
- スマートフォンで週3回の通知を設定する
- 一包化へ服用日を印字する
- 透析日に合わせて管理する
- 服薬カレンダーを使用する
「週3回」という情報だけでなく、具体的な曜日まで患者さんと共有することが重要です。

鉄剤・リン吸着薬との服用間隔に注意
エベレンゾで、薬局薬剤師が特に確認したいのが併用薬です。
エベレンゾは、リン吸着薬や多価陽イオンを含む薬と一緒に服用すると、消化管内で結合し、吸収が低下する可能性があります。
前後1時間以上空けたい薬
電子添文では、次の薬と併用する場合、エベレンゾの服用前後1時間以上の間隔を空けるよう定められています。
リン結合性ポリマー
- セベラマー塩酸塩:レナジェル、フォスブロック
- ビキサロマー:キックリン
多価陽イオンを含む経口薬
- クエン酸第二鉄水和物:リオナ
- スクロオキシ水酸化鉄:ピートル
- 炭酸ランタン:ホスレノール
- 沈降炭酸カルシウム
- 経口鉄剤
- カルシウム製剤
- マグネシウム製剤
- アルミニウムを含む薬
酸化マグネシウムなど、便秘薬として使用している薬も対象になる可能性があります。
電子添文では、エベレンゾと併用する場合、前後1時間以上空けることが案内されています。アステラス製薬・製品Q&A
「食後の薬が多い患者さん」は要注意
透析患者さんでは、食直前・食直後に服用するリン吸着薬が複数処方されていることがあります。
エベレンゾもほかの薬とまとめて一包化すると、服用間隔を確保できなくなる可能性があります。
そのため、
- エベレンゾだけ別包にする
- 服用時間を食事からずらす
- 一包化へ「エベレンゾ」と印字する
- 曜日と服用時間を薬袋へ明記する
などの工夫が必要です。
処方内容によって適切な時間が異なるため、服用スケジュールは薬局で確認してください。

エベレンゾと鉄補充の関係
赤血球を作るためには、材料となる鉄が必要です。
ロキサデュスタットによって赤血球産生が促されても、体内の鉄が不足していると十分な効果が得られない可能性があります。
そのため、治療中は次のような検査値が確認されます。
- ヘモグロビン
- フェリチン
- TSAT(トランスフェリン飽和度)
- 血清鉄
鉄が不足している場合には、経口鉄剤または静注鉄剤が使用されることがあります。
ただし、経口鉄剤はエベレンゾの吸収へ影響するため、自己判断で同時に服用せず、指示された間隔を守ることが大切です。
最も注意したい副作用は血栓塞栓症
エベレンゾの電子添文には、重篤な血栓塞栓症に関する警告が設けられています。
ヘモグロビン濃度が急激に上昇した場合などには、血液が固まりやすくなり、次のような病気につながる可能性があります。
- 脳梗塞
- 心筋梗塞
- 肺塞栓症
- 深部静脈血栓症
- シャント閉塞
電子添文では、血栓塞栓症が現れ、死亡に至るおそれがあるため、治療前のリスク評価と治療中の観察が必要とされています。エベレンゾ電子添文
すぐに受診したい症状
- 片側の手足に力が入らない
- 言葉が出にくい、ろれつが回らない
- 突然の強い胸痛
- 急な息切れ、呼吸困難
- 片脚だけが腫れる、痛む
- シャントの音や振動が弱くなった
- 急な視力低下、視野の異常
このような症状が現れた場合は、次回受診まで待たず、速やかに医療機関を受診してください。
そのほかに注意したい副作用
エベレンゾでは、血栓塞栓症以外にも次の症状へ注意が必要です。
血圧上昇
服用中に血圧が上昇することがあります。
自宅で血圧を測定している場合は、普段より高い状態が続いていないか確認しましょう。
甲状腺機能低下症
中枢性甲状腺機能低下症が現れることがあります。
治療中は必要に応じて、TSH、遊離T3、遊離T4などの甲状腺機能検査が行われます。くすりのしおり
強い倦怠感、寒がり、むくみ、便秘、眠気などが続く場合は相談してください。
網膜出血・眼科疾患への注意
HIF経路は血管新生にも関係するため、目の病気がある患者さんでは慎重な経過観察が必要です。
急に見えにくくなった、視野が欠ける、黒い点が増えたなどの変化があれば、早めに受診してください。
悪性腫瘍への注意
血管新生を促す可能性があることから、悪性腫瘍を増悪させる可能性についても注意が必要です。
がんの治療歴や治療中の病気については、処方医と薬剤師へ伝えておきましょう。
HIF-PH阻害薬はエベレンゾだけではない
腎性貧血に使用されるHIF-PH阻害薬には、次のような製品があります。
| 一般名 | 商品名 | 基本的な服用回数 |
|---|---|---|
| ロキサデュスタット | エベレンゾ | 週3回 |
| ダプロデュスタット | ダーブロック | 1日1回 |
| バダデュスタット | バフセオ | 1日1回 |
| エナロデュスタット | エナロイ | 1日1回 |
| モリデュスタット | マスーレッド | 1日1回 |
同じHIF-PH阻害薬でも、服用回数、用量調整、併用薬との間隔などが異なります。
「前の薬と同じ飲み方」と考えず、切り替え時には薬袋や説明書を改めて確認しましょう。
薬局で確認したいポイント
エベレンゾが処方されたとき、薬局では次の点を確認したいところです。
- 服用曜日が明確になっているか
- 週3回を毎日と誤解していないか
- 1回の錠数や規格が合っているか
- ESA製剤からの切り替え時期は適切か
- 鉄剤やリン吸着薬と1時間以上空けられるか
- 酸化マグネシウムやカルシウム製剤を併用していないか
- 一包化によって同時服用になっていないか
- 飲み忘れが起きていないか
- 血圧上昇や血栓塞栓症を疑う症状がないか
- 視力・視野に変化がないか
- シャントの音や振動に変化がないか
- Hb、フェリチン、TSATなどの検査状況
- 甲状腺機能検査が行われているか
特に、エベレンゾとリン吸着薬が同じ用法で処方されている場合は、服用時間を整理して患者さんへ伝える必要があります。
「前後1時間以上」という指示が、実際の生活の中で実行できるスケジュールになっているかまで確認することが大切です。

まとめ|週3回と併用薬との間隔が重要
ロキサデュスタット(エベレンゾ)は、腎性貧血に使用される内服のHIF-PH阻害薬です。
ポイントを整理すると、
- 商品名はエベレンゾ
- 腎性貧血に使用される
- 毎日ではなく週3回服用する
- 飲み忘れ時は次回服用まで24時間以上あるか確認する
- 2回分をまとめて服用しない
- 鉄剤や一部のリン吸着薬などとは前後1時間以上空ける
- 血栓塞栓症を疑う症状に注意する
- 血圧、眼症状、甲状腺機能にも注意する
という点が重要です。
エベレンゾは注射を使わずに腎性貧血を治療できる一方、週3回投与と併用薬との服用間隔が複雑になりやすい薬です。
服用曜日や時間が分からなくなった場合は、自己判断で服用せず、医療機関や薬局へ相談してください。
FAQ
ロキサデュスタットの商品名は何ですか?
国内の商品名はエベレンゾ錠です。20mg、50mg、100mgの3規格があります。
エベレンゾは毎日飲みますか?
通常は毎日ではなく、月・水・金など、あらかじめ決めた曜日に週3回服用します。
エベレンゾを飲み忘れたらどうしますか?
次回服用まで24時間以上ある場合は、気づいた時点で服用します。24時間未満の場合は忘れた分を飛ばし、次回予定日に1回分だけ服用します。
エベレンゾと鉄剤は一緒に飲めますか?
同じタイミングでの服用は避け、エベレンゾの前後1時間以上空けます。具体的な服用時間は医師または薬剤師へ確認してください。
エベレンゾと酸化マグネシウムは間隔が必要ですか?
酸化マグネシウムは多価陽イオンを含むため、エベレンゾとの服用は前後1時間以上空ける必要があります。
エベレンゾで注意する症状は?
片側の手足の麻痺、ろれつが回らない、胸痛、急な息切れ、片脚の腫れ、急な視力低下などは、血栓塞栓症などの可能性があるため速やかな受診が必要です。
薬剤師のしぐです。
今回はアステラスさんが「透析施行中の腎性貧血」の適応で製造販売承認を取得した新薬、ロキサデュスタットについて!
自分を筆頭に、たぶん、作用機序すらわからない薬剤師さんがほとんどであろうこのお薬。
マニアックすぎてホントに自己満足のために書く感じになるかもですが、、、
簡単に、わかりやすく、まとめていきます!

あ、ちなみにもちろん、新薬なので14日の処方日数制限ありますからねーー。
新薬による処方日数制限については、2020年12月1日に解除になりました!!
HIF-PHD阻害薬とは
えーと、いろいろとわからないことばかりでどれから説明したらいいのか迷うのですが、、、まずHIF(Hypoxia-Inducible Factor:低酸素誘導因子)について。
HIFは、体内が低酸素状態に陥ったときに誘導される因子で、低酸素状態に対応するために様々な蛋白質の発現を促す作用があります。
通常の状態では、HIFは、HIF-プロリン水酸化酵素(PHD)によって水酸化され、分解へと導かれます。HIFの分解を抑制してHIFを安定化させることで、低酸素状態への対応に必要な様々な蛋白質を活性化することができる。
というのがこのHIF-PHD阻害薬というお薬のコンセプト。
HIF-PHD阻害薬の作用機序として、HIFはエリスロポエチン(EPO)を誘導し、骨髄での赤血球の産生を促すほか、鉄代謝を刺激し、ヘモグロビンの産生刺激にも関与します。
HIF-PHD阻害薬を投与することでHIFの不活性化を抑制し、赤血球の産生を促すことができるということですね。
ちなみに、この「低酸素応答」のメカニズムを解明した3人の研究者が、2019年のノーベル賞を受賞してます。
ホントにスゴイ発見だったんだね!!
腎性貧血とは
腎性貧血は慢性腎臓病(CKD)の一般的な合併症の1つ。腎臓の機能が低下すると、骨髄で赤血球の産生を促すのに重要な働きをするホルモン「エリスロポエチン」の分泌が減り、赤血球を十分につくれなくなることで貧血を引き起こします。
このエリスロポエチンを作る細胞が、腎臓の尿細管と尿細管の間質にあります。
糸球体硬化や尿細管障害がおこるとエリスロポエチンを作る細胞の形質がかわり、エリスロポエチンをつくる機能が失われてしまうんですよねー。

透析患者では、腎障害によるエリスロポエチン産生不足のほか、尿毒素や炎症性サイトカイン、あるいは体外循環や血液ポンプなどによる機械的な損傷による赤血球寿命の低下、透析時の回路内残血などにより貧血をきたします。
そのため、赤血球の産生を促すEPO製剤の登場は、腎性貧血に苦しむ透析患者から心待ちにされていました。
さらに、透析にはまだ至っていないものの腎性貧血を呈する「保存期慢性腎臓病(CKD)」患者にも重要なお薬となります。
現在この腎性貧血には、エリスロポエチンの分泌不足を補うためにエリスロポエチン(EPO)の投与か、エリスロポエチンレセプターに作用し赤血球造血刺激を行う赤血球造血刺激因子製剤(ESA)による薬物治療が行われます。また、あわせて食事療法や、鉄剤の投与も行われます。
ただし造血ホルモンという蛋白質を有効成分とするEPO製剤は、静注もしくは皮下投与が必要で、冷暗所保存が必要という管理上の手間もありました。また、一部の患者では既存のEPO製剤では貧血が改善しにくいという課題があります。
そんな中、開発が進められているのが経口低分子薬のHIF活性化薬!正式には、低酸素誘導因子(HIF)プロリン水酸化酵素(PHD)阻害薬と呼ばれます。

HIF-PHD阻害薬ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉の利用
腎性貧血を対象に開発が進むHIF-PHD阻害薬は、細胞への酸素供給が不足状態に陥ると誘導されるエリスロポエチン転写因子「低酸素誘導因子(HIF)」を安定化させ、エリスロポエチンの産生を増やすとともに、鉄の利用効率を高めて赤血球の産生を増やします。
HIF-PHD阻害薬によって活性化されるタンパク質としては、エリスロポエチン(EPO)や鉄代謝関連因子などがあります。腎性貧血に対しては、EPOの誘導だけでなく、鉄代謝関連因子も同時に刺激することで鉄利用効率が高まることから、EPO製剤で改善しない貧血への有効性も期待されています。
HIF-PHD阻害薬はEPO製剤と同じ作用が期待できるわけですから、腎性貧血患者の治療を経口薬に置き換えられる可能性があります。EPO製剤は長い使用経験がありますが、一部の患者ではEPO製剤を投与しても貧血がなかなか改善しないケースがあります。
しかもEPO製剤の投与量を増やしすぎると、逆に心血管疾患のリスクが高まることが欧米の臨床試験で確認されています。そこで、外部から大量のEPOを補充するのではなく、体に備わっているEPO産生促進機構を刺激する方が安全だろうとも考えられています。
HIFは低酸素状態に対する防御機構です。臓器が虚血などで低酸素状態になってしまったとき、障害が進まないように保護する効果が期待されます。様々な原因で引き起こされる低酸素状態による臓器障害に対してHIF-PHD阻害薬は臓器保護効果があるのではないかと期待されています。
EPO・ESAは注射剤であることに加え、低反応性で効果が得られない患者がいることが課題として指摘されています。経口剤のHIF-PHD阻害薬は、ESA低反応性の患者にも効果がある可能性があり、ESAの次を担う腎性貧血治療薬として期待が寄せられています。

ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉の用法用量
用法用量はこんな感じ。
【赤血球造血刺激因子製剤で未治療の場合】成人に1回50mgを開始用量とし、週3回経口投与。患者の状態により適宜増減するが、最高用量は1回3.0mg/kgを超えないこと
【赤血球造血刺激因子製剤から切り替える場合】成人に1回70mg又は100mgを開始用量とし、週3回経口投与。患者の状態により適宜増減するが、最高用量は1回3.0mg/kgを超えないこと
規格が20mg、50mg、100mgと、3規格あるみたい。
これだけの種類があるので、規格間違いに注意ですね。
週3回っていう服用タイミングも難しいらしく、あらかじめ「月・水・金」や「火・木・土」などに定めておくのをお勧めしてるみたい。

ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉の適応追加申請
先日、このような通知が出ました。
また、この日の報告品目も1品目。経口腎性貧血治療薬のHIF-PHD阻害薬エベレンゾ錠(同ロキサデュスタット)について、これまでの透析期のほかに、保存期でも使えるようにする。
HIF-PHD阻害薬と呼称するファースト・イン・クラス薬。現在の適応は「透析施行中の腎性貧血」だが、今回、「透析施行中の」との文言を削除し、保存期の腎性貧血にも使えるようにする。HIF-PHD阻害薬は同剤のほかにバフセオ錠(バダデュスタット)、ダーブロック錠(ダプロデュスタット)、エナロイ錠(エナロデュスタット)の計4剤が承認されているが、エベレンゾ以外の3剤は透析期と保存期の両方の適応をもっている。
2020.12、ついに「保存期慢性腎臓病に伴う貧血」への適応も取得し、適応、効能効果が
腎性貧血
になっています。
エベレンゾ錠も使いやすくなりますね!

HIF-PHD阻害薬ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉の効果について
維持透析患者に対するHIF-PHD阻害薬の投与により、Hb値が平均1.7g/dL改善し、Hb目標値以上に到達した患者は9割以上(EPO製剤未治療患者)だったという成績が、最近の学会で報告されているそうですよ!
ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉各規格の薬価
薬価はこんな感じ。
- エベレンゾ錠20mg:387.4円/錠
- エベレンゾ錠50mg:819.2円/錠
- エベレンゾ錠100mg:1443.5円/錠

エベレンゾの名前の由来
山脈のいただき、エベレスト(Everest)と、酵素阻害薬を意味する(Enzyme inhibitor)が由来です。
作用機序の、低酸素状態ってあたりが、エベレストとうまく絡んでる気がして、ナイスなネーミングですね。
ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉その他
腎性貧血治療薬として最も使われているネスプは2019年に特許切れが迫っており、協和発酵キリンはオーソライズド・ジェネリックを開発する方針なんだとか。
最近はもう国がGEに変更するように患者にも病院にも指導が入るみたいなので、AG作らないと先発メーカーはやってけないですよね、、、。
もちろん、売上がいいお薬ということもあるので複数の企業がバイオシミラーの開発を進めています。HIF-PH阻害薬とバイオシミラーの登場で、腎性貧血治療薬の市場が大きく変化していくことになりそうですね。
バイオシミラーについてはこちら!けっこう詳しくまとめてあるよ

同系統のバフセオ錠について!
こちら、バフセオ錠についてもまとめてあります。

エベレンゾ錠投薬期間制限解除へ!
月日が経つのは早いです。もう、この通知が来ました。
エベレンゾ錠20mg・50mg・100mg
投薬期間制限解除のご案内
エベレンゾ錠は2020年12月1日より2週間の投薬期間制限が解除となります。
謹啓
時下、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は、弊社ならびに弊社製品に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、昨年11月に薬価基準収載され新発売いたしましたHIF-PH阻害薬「エベレンゾ錠20・50・100mg」(一般名:ロキサデュスタット)につきまして、2020年12月1日より投薬期間制限が解除になりますので、お知らせ致します。
「エベレンゾ錠20・50・100mg」は、透析施行中の腎性貧血
こんな感じですねーーー。
透析や腎不全などの腎疾患って苦手意識が強い薬剤師さんが多いと思います。
でも、薬剤の適正使用を考えるにあたって腎機能・肝機能はとても重要です。
院内の治療から外来での治療へ。
抗癌剤や肝炎治療薬はすでに外来での治療へシフトしています。
自分が苦手な分野こそ、こうやって学んだことをアウトプットしていくぞーーーーってことで。
ではでは。しぐでしたっ
↑コレ、透析患者への薬物投与量が細かく記載されてるのでオススメです!
なかなかの金額なので、会社の経費で購入してもらう必要があるかもですが、透析患者の処方箋を応需する薬局だと必須です!!
むしろ、1薬局に1冊くらいのレベルで欲しいですよね。
※追記:院外処方の可否について
このロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉の薬価収載に合わせて医科点数表の整理が行われました。
医科点数表では、人工透析に用いる「透析液」や「生理食塩水」・「エリスロポエチン製剤」などの人工透析関連での所定のものは「所定点数に含まれており、別に算定できない」と規定されています。
これは「人工透析関連の所定のものは医科の技術料に包括化されていて、院内処方を行う」ということになってるんですね。
この「人工透析関連の所定のもの」に今回の「ロキサデュスタット:エベレンゾ」も含まれることになったのです。
まあ当面の対応として、という文言がついてるので今後の改定で少しずつ変わっていくかもしれないのですが。
このロキサデュスタット(エベレンゾ)を調剤薬局で扱うことは、まだ先かもしれません。
っと!!思っていたのですが。
なんとなんと、このエベレンゾ錠が院外処方も可能なんだとか。
その条件が、「腹膜透析の患者さん」であること。
そういえば、腹膜透析の透析液も院外処方可能なんですよね。なので透析に付随するこのエベレンゾも処方可能ってわけ。
いやー調剤薬局で働く薬剤師さんも、もう一度用法用量について再確認しておきましょう!!!
ロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉の投薬期間制限解除!
ついに、このロキサデュスタット〈エベレンゾ錠〉も投薬期間制限解除。
月日が経つのは早いです、、、。もう、販売後1年になるんですね。
投薬期間制限解除のご案内
エベレンゾ錠は2020年12月1日より2週間の投薬期間制限が解除となります。
謹啓
時下、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は、弊社ならびに弊社製品に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、昨年11月に薬価基準収載されましたHIF-PH阻害薬「エベレンゾ錠20・50・100mg」(一般名:ロキサデュスタット)につきまして、2020年12月1日よろ投薬期間制限が解除になりますので、お知らせ致します。
「エベレンゾ錠20・50・100mg」は、透析施行中の腎性貧血にお役立ていただいており、今般の投薬期間制限の解除により、先生方がよりご処方いただきやすくなるものと期待しております。
引き続き、先生方の日常診療におきまして、「エベレンゾ錠20・50・100mg」をお役立ていただけますよう、本剤の適正使用に関する情報提供及び最新の学術情報の提供に努めてまいります。
今後とも弊社へのご指導、ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
末筆ながら、益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
謹白
アステラス製薬株式会社
透析の患者さんは、定期的に受診する必要があるので、そこまで恩恵は受けれないかもしれませんが、保存期の患者さんにはすごく助かるこの投薬期間制限解除。
処方量も増えていくのか。気になるところです。


コメント
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