ジクトルテープ、まさかの限定出荷へ。現場の薬剤師として思うこと

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“がん疼痛にも使える湿布”だからこそ、現場で考えたいこと

こんばんは!薬剤師のしぐです。

薬局で働いていると、
「あれ?この薬、最近ちょっと出にくいな……」
という空気を感じることがあります。

今回のテーマは、ジクトルテープ75mg

久光製薬から、ジクトルテープ75mgについて2026年4月30日から2026年6月15日まで限定出荷になるとのお知らせが出ています。理由は、需要増加による一過性の需要過多。すべての受注に対応できない状況とのことです。 

ジクトルテープって、単なる“湿布”と思われがちなんですが、実はけっこう立ち位置が独特なんですよね。

そもそも、ジクトルテープとは?

ジクトルテープ75mgは、
ジクロフェナクナトリウムを有効成分とする、経皮吸収型の持続性疼痛治療剤です。

ジクロフェナクと聞くと、ボルタレンなどを思い浮かべる方も多いと思います。
NSAIDs、つまり非ステロイド性抗炎症薬のひとつで、炎症や痛みに関わるプロスタグランジンの産生を抑えることで、鎮痛・抗炎症作用を示します。

ジクトルテープの特徴は、
局所に貼るだけの湿布薬というより、全身的に効かせる設計の貼付剤というところです。

効能・効果としては、主に以下があります。

各種がんにおける鎮痛
腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、腱鞘炎における鎮痛・消炎

がん疼痛にも使える、という点がかなり大きいです。
ここが、一般的な「腰が痛いから湿布出しますね」とは少し違うところですね。 

用法・用量も、適応によってちょっと違う

ジクトルテープは、適応によって使い方が異なります。

がん疼痛に使う場合は、通常、成人に対して1日1回2枚を貼付し、約24時間ごとに貼り替えます。症状や状態により、1日3枚まで増量可能です。

一方で、腰痛症や肩関節周囲炎などの鎮痛・消炎目的では、通常、成人に対して1日1回1枚または2枚を貼付し、約24時間ごとに貼り替えます。 

つまり、同じジクトルテープでも、

がん疼痛なら、基本2枚。必要に応じて3枚。
整形外科的な痛みなら、1枚または2枚。

という感じです。

ここ、薬局ではけっこう大事です。

なぜなら、処方枚数を見たときに、
「これは何目的で出ているのか?」
によって、見方とその対応が変わるからです。

ジクトルテープの“1回処方の枚数制限”について

ここが現場的にはかなり大事なポイントです。

湿布薬には、原則として
1処方につき合計63枚まで
という処方枚数の制限があります。

そして、ジクトルテープ75mgを
腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、腱鞘炎における鎮痛・消炎
の目的で使用する場合は、この湿布薬の枚数制限の対象になります。

厚生労働省の疑義解釈でも、ジクトルテープ75mgをこれらの目的で使用する場合、湿布薬の1処方63枚上限の対象となり、ジクトルテープを含めて処方された湿布薬全体の合計上限が63枚であると示されています。 

たとえば、

ジクトルテープ75mg 1日2枚
30日分
合計60枚

これは63枚以内なので、整形領域の処方としても枚数的には収まります。

でも、

ジクトルテープ75mg 1日2枚
35日分
合計70枚

となると、湿布薬の63枚制限を超えてきます。

このとき、がん疼痛目的なのか、整形外科的な痛みなのかで扱いが変わってくるわけです。

がん疼痛目的なら、63枚制限とは話が変わる

ここがジクトルテープのややこしくて、でも大事なところ。

ジクトルテープは、
各種がんにおける鎮痛
にも適応があります。

がん疼痛で使用する場合、湿布薬の63枚制限と同じ感覚で見ると、現場で混乱しやすいです。

たとえば、がん疼痛で1日3枚使用する場合、
21日分で63枚。
30日分なら90枚になります。

がん疼痛のコントロール目的で必要な処方であれば、単純に「湿布だから63枚までですよね」とは言い切れません。

一方で、処方箋上に目的が見えないと、薬局側としては判断に迷います。

だからこそ、63枚を超えるジクトルテープが処方された場合には、

がん疼痛目的なのか
整形領域の鎮痛・消炎目的なのか
レセプト上、適切に判断できる情報があるか
必要に応じて疑義照会が必要か

このあたりを丁寧に確認する必要があります。

薬剤師としては、ここを機械的に「枚数オーバーです」とするのではなく、
処方意図を読み取る力
が求められる薬だなと思います。

そして今回、ジクトルテープが限定出荷に

そんなジクトルテープについて、今回の資料では、久光製薬から限定出荷に関するお知らせが出されています。

対象は、
ジクトルテープ75mg

限定出荷期間は、
2026年4月30日から2026年6月15日まで

理由としては、需要が増加しており、しばらくこの状況が続くことが予想されるため、とされています。出荷量の状況は「A 通常量出荷」ですが、製造販売業者の対応状況としては「④限定出荷(その他)」、理由は「一過性需要過多」により、すべての受注に対応できない状況とされています。 

ここ、ちょっと現場感覚ではややこしいです。

「出荷量:A 通常量出荷」なのに、
「限定出荷」なの?
と思う方もいるかもしれません。

ざっくり言うと、メーカーとしては通常量の出荷はしているけれど、需要がそれを上回ってしまっていて、結果としてすべての注文に応じきれない、ということですね。

つまり、製造トラブルで大きく供給量が落ちたというより、
需要の増加に供給が追いつきにくくなっている状態
と考えるとわかりやすいです。

薬局で困るのは、“代替しにくさ”

ジクトルテープが限定出荷になると、薬局では地味に困ります。

なぜなら、ジクトルテープは単なる外用NSAIDsの湿布というより、
がん疼痛にも使われる経皮吸収型の鎮痛薬
という側面があるからです。

もちろん、一般的な鎮痛・消炎目的であれば、他の外用NSAIDsや内服薬などを検討する余地はあります。

でも、がん疼痛目的で使われている場合は、話が違います。

患者さんの痛みのコントロールに関わる薬なので、
「在庫がないので、似た湿布に変えますね」
とは簡単に言えません。

痛みの程度、内服可否、腎機能、消化管リスク、オピオイド使用状況、レスキュー薬の有無、貼付部位の皮膚状態。
そういった背景を含めて、処方医と相談する必要があります。

限定出荷。こういう時こそ薬剤師の“確認力”が大事

限定出荷のとき、薬局でやるべきことはシンプルです。

まず、在庫状況を確認する。
次に、患者さんの使用目的を確認する。
そして、必要に応じて処方元へ相談する。

特にジクトルテープでは、
がん疼痛目的なのか、整形領域の鎮痛・消炎目的なのか
を確認することが大切です。

がん疼痛目的なら、痛みのコントロールが崩れないようにすることが最優先です。

一方で、腰痛や肩関節周囲炎などで使用されている場合は、処方枚数の63枚制限や、他剤への変更可能性も含めて検討しやすいかもしれません。

ただし、どちらにしても患者さんにとっては、
「いつも使っている薬が急にない」
というだけで不安になります。

だから、薬局ではこう伝えたいところです。

「今、メーカーから限定出荷のお知らせが出ています。必要な治療が続けられるように、処方元とも相談しながら確認しますね」

これだけでも、患者さんの不安は少し和らぐと思います。

まとめ:ジクトルテープは“ただの湿布”では終わらない

ジクトルテープ75mgは、ジクロフェナクナトリウムを含む経皮吸収型の疼痛治療剤です。

腰痛症や肩関節周囲炎などの鎮痛・消炎にも使われますが、特徴的なのは、
各種がんにおける鎮痛
にも使われるという点です。

そして、整形領域の痛みに使う場合は、湿布薬として1処方63枚までの制限対象になります。
一方で、がん疼痛目的ではその文脈が変わるため、処方意図の確認が大切になります。

今回の限定出荷は、2026年4月30日から6月15日までの予定で、理由は需要増加による一過性需要過多です。 

供給不安が起きるたびに思うのですが、薬局の仕事って、ただ薬を渡すだけではないんですよね。

その薬が、
何のために出ているのか。
患者さんにとって、どれくらい必要な薬なのか。
代替できるのか、できないのか。
医師に確認すべきことは何か。

そういうところを1つずつ拾っていく。

ジクトルテープの限定出荷は、まさに
“薬剤師の確認力”が問われる供給問題
だと思います。

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