キイトルーダのバイオシミラー開発が進行、日本でも第Ⅲ相治験に参加

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エメラルドグリーンの背景に並ぶ薬剤バイアルと抗体を表すオブジェ

こんばんは、薬剤師のしぐです。

「キイトルーダにも、バイオシミラーが登場するの?」

免疫チェックポイント阻害薬として多くのがん治療に使われるキイトルーダ。実は、そのバイオシミラー候補の開発が進み、日本の医療機関も第Ⅲ相試験に参加しています。

ただし、日本で使えるようになる時期が決まったわけではありません。今回は、国内で確認できる治験情報と海外の開発状況、薬局で押さえておきたいポイントを整理します。

※2026年10月20日時点の公開情報をもとにしています。

先に結論|日本でも開発との接点がある

  • キイトルーダのバイオシミラー候補「SB27」の第Ⅲ相試験に、日本の医療機関が参加しています。
  • SB27は、転移性非扁平上皮非小細胞肺がんを対象に、キイトルーダとの比較が行われています。
  • 別候補の「FYB206」は、米国でFDAが承認申請を受理した段階です。
  • 今回確認した範囲では、日本での承認申請・承認・発売予定の公式発表は見つかっていません。

「海外で開発が進んでいる」という話に加えて、国内施設も治験に参加している点が今回の注目ポイントです。

キイトルーダはどんな薬?

キイトルーダの一般名はペムブロリズマブ。免疫チェックポイント阻害薬のうち、抗PD-1抗体に分類されます。

PD-1は、免疫を担うT細胞に存在し、その働きにブレーキをかける仕組みに関わります。ペムブロリズマブはPD-1に結合し、PD-L1・PD-L2との結合を阻害することで、抑えられていたT細胞の抗腫瘍作用を回復させます。

がん細胞を直接傷つける従来の細胞傷害性抗がん薬とは異なる作用を持ち、単独またはほかの薬との併用で使われます。

一方で、免疫が自分の臓器にも影響する免疫関連有害事象への注意が必要です。治療の選択肢が広がっても、副作用を早く見つける重要性は変わりません。

バイオシミラーは「効果を弱くした薬」ではない

バイオシミラーは、日本では「バイオ後続品」と呼ばれます。先行バイオ医薬品と同等/同質の品質・安全性・有効性を持つことを確認して承認される医薬品です。

抗体医薬品は構造が複雑で、製造工程も品質に影響します。そのため、一般的な低分子のジェネリック医薬品とは異なる比較・評価を積み重ねます。

ここで区別したいのは、「バイオシミラーとして承認された製品」と「開発中のバイオシミラー候補」です。SB27やFYB206については、今回紹介する段階では候補品として扱います。

バイオシミラーの基本は、コチラでもまとめています。

バイオシミラーとは?ジェネリックとの違い・薬局での変更と2026年度改定を解説
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ラベンダー色の肺のオブジェと治験をイメージしたファイル

日本の医療機関も参加|SB27の第Ⅲ相試験

SB27は、サムスンバイオエピスが開発するペムブロリズマブのバイオシミラー候補です。

国内の試験登録では、転移性非扁平上皮非小細胞肺がんを対象とした、第Ⅲ相の無作為化・二重盲検・多施設共同試験が確認できます。

項目内容
開発コードSB27
試験番号jRCT2061230106/SB27-3004
対象転移性非扁平上皮非小細胞肺がん
比較SB27とキイトルーダ
主な評価24週時点の客観的奏効率による有効性の同等性
そのほかの評価安全性、薬物動態、免疫原性
国内施設の例北里大学病院、災害医療センター、岩国医療センター、大阪刀根山医療センターなど

この試験は、SB27がキイトルーダより強く効くことを目指す試験ではありません。先行品と比較して、同等性を検証することが目的です。

客観的奏効率(ORR)は、一定の基準で腫瘍の縮小などが確認された患者さんの割合です。薬物動態は薬の体内での動き、免疫原性は薬に対する抗体ができる可能性などを評価する項目です。

なお、jRCTの進捗状況は「募集終了」です。国内施設の参加実績を紹介するもので、現在の新規参加を案内するものではありません。

SB27は国際試験で良好な予備結果を発表

2026年6月、サムスンバイオエピスはSB27の第Ⅰ相・第Ⅲ相試験について、主要評価項目を達成した予備結果を発表しました。

第Ⅰ相では薬物動態、第Ⅲ相では24週時点の客観的奏効率が、事前に設定した同等性基準を満たしたとされています。

開発が前進したことを示す情報ですが、企業による予備結果の発表と、規制当局の承認は別の段階です。また、今回の情報だけで、日本人集団に限った有効性・安全性の結果を示すことはできません。

ガラスの地球儀と薬剤バイアルで表す国際的なバイオシミラー開発

海外ではFYB206が米FDAの審査へ

別の候補品として、FormyconとZydusが展開するFYB206も注目されています。

2026年10月13日、両社はFDAがFYB206の承認申請を受理したと発表しました。これは米国で審査に進むという意味で、承認取得や日本での申請を意味しません。

FYB206は、詳細な分析・機能比較と薬物動態試験などを基盤に、FDAと合意した開発方針に沿って、比較有効性を評価する第Ⅲ相試験を実施せずに申請へ進んだ点も特徴です。

候補品によって試験計画は異なります。「バイオシミラーは必ず同じ第Ⅲ相試験を行う」「第Ⅲ相試験がないから評価が不十分」と、一律には判断できません。

候補品今回確認できた主な動き読み取るときの注意
SB27日本の医療機関が第Ⅲ相試験に参加。国際試験の良好な予備結果を企業が発表日本での承認・発売決定ではない
FYB206米FDAが承認申請を受理米国の審査入りであり、日本の申請ではない
GME751国内の第Ⅲ相試験と継続投与試験の登録あり第Ⅲ相には早期中止の記録があり、単純に「第Ⅲ相が順調に進行中」と扱わない

GME751の第Ⅲ相試験(jRCT2041240020)は、バイオシミラー開発をめぐる規制環境の変化を背景に早期中止されています。登録情報では、安全性上の懸念とは無関係の判断とされています。ただし、この試験の中止だけで、候補品全体の開発中止と結論づけることもできません。

日本ではいつ使える?薬価は?

2026年10月20日時点で今回確認した公開情報からは、日本での承認申請・承認・発売予定の公式発表を確認できていません。日本バイオシミラー協議会の2026年9月30日更新の国内承認品一覧にも、ペムブロリズマブBSの掲載はありません。

国内施設が国際共同治験に参加していても、そのまま国内の申請日や発売日が決まるわけではありません。今後は、国内の申請・承認、効能・効果、薬価収載、発売、知的財産上の条件などを個別に確認する必要があります。

海外の特許満了見通しや承認時期を、そのまま日本の発売予定に置き換えることもできません。

薬価も未確定です。将来の薬剤費軽減には期待が持てますが、具体的な価格や、患者さんの自己負担がいくら減るかは現時点で示せません。

薬の手帳とバイアルを置いた薬局相談デスク

薬局で押さえたい「しぐ目線」のポイント

まず、どの製品の話かを確認する

今後は、キイトルーダの点滴製剤、ペムブロリズマブを含む皮下注配合製剤、バイオシミラー候補のニュースが並ぶことになります。

成分名が共通していても、製品、剤形、開発段階を分けて確認したいところです。皮下注配合製剤のキイジェクトは、今回のSB27などのバイオシミラー候補とは別の製品です。

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副作用確認は「点滴の名前」まで聞く

薬局では、内服薬の確認だけでなく、病院で受けている点滴・注射治療も把握することが大切です。

ペムブロリズマブ治療中は、新しい咳・息切れ、続く下痢、強いだるさ、口渇・多尿など、免疫関連有害事象を疑う変化に注意します。こうした変化があれば、自己判断で市販薬だけで様子を見ず、治療施設へ速やかに相談するよう案内します。強い呼吸困難や意識の変化がある場合は、救急対応が必要です。

将来バイオシミラーが導入された際も、実際の製品名、投与日、併用治療を記録し、症状がいつから変わったかを共有できる体制が役立ちます。

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患者さんには「今」と「これから」を分けて説明する

「同じように使えることを確かめる開発が進んでいて、日本の病院も治験に参加しています。ただ、日本で使える時期や値段はまだ確認できていません」

このくらいの説明なら、開発への期待を伝えながら、現在の治療との混同を避けられます。

医療費全体の軽減と、一人ひとりの窓口負担の変化も分けて考えたいところです。高額療養費制度などの適用によって、薬剤費が下がっても自己負担が同じになる場合があります。

よくある質問

Q. キイトルーダのバイオシミラーは、日本でもう使えますか?

今回確認した範囲では、日本で承認されたペムブロリズマブBSは確認できていません。治験での使用と、承認後の通常診療での使用は別です。

Q. 日本の治験は、どんながんを対象にしていますか?

今回紹介したSB27の第Ⅲ相試験は、転移性非扁平上皮非小細胞肺がんが対象です。この試験だけで、キイトルーダのすべての適応について結果が出たとはいえません。

Q. バイオシミラーは、先行品より効果が弱いのですか?

承認されたバイオシミラーは、先行品との同等/同質性が確認された医薬品です。ただし、開発中の候補品は、まだ承認された製品と分けて考える必要があります。

Q. FDAが申請を受理したら、日本でも発売されますか?

日本の承認や発売は別途確認が必要です。FDAによる申請受理は、米国での承認取得そのものでもありません。

Q. 皮下注のキイジェクトもバイオシミラーですか?

キイジェクトは、ペムブロリズマブとベラヒアルロニダーゼ アルファを含む皮下注配合製剤です。今回のバイオシミラー候補とは区別して扱います。

Q. 価格や発売年は決まっていますか?

今回確認した範囲では、日本での薬価や発売年を示す公式情報は見つかっていません。海外の見通しを、そのまま日本の予定として扱わないことが大切です。

まとめ

キイトルーダのバイオシミラー開発は進んでおり、SB27の第Ⅲ相試験には日本の医療機関も参加しています。海外ではFYB206が米FDAの審査へ進むなど、候補品ごとの動きも具体化してきました。

一方で、日本の承認・発売時期や薬価は、まだ確認できていません。今後も「国内治験」「海外の申請」「日本での承認」を区別しながら、治療の選択肢と患者さんへの説明につながる情報を追っていきたいですね。


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