ステラーラ皮下注45mgバイアル発売!小児クローン病への適応拡大と用量・薬価を解説

スポンサーリンク
ステラーラ皮下注45mgバイアルの発売と小児クローン病への適応拡大を表現した医療イメージ

こんにちは、薬剤師のしぐです。

2026年10月15日、ヤンセンファーマは「ステラーラ皮下注45mgバイアル」を発売しました。

ステラーラといえば、乾癬やクローン病、潰瘍性大腸炎などに使用される生物学的製剤として知られています。

今回発売されたのは、新しい有効成分ではなく、既存薬のウステキヌマブを含有する新たなバイアル製剤です。

注目したいのは、今回の製剤追加が「2歳以上の小児クローン病」への適応拡大に対応しているという点です。

これまで成人のクローン病で使用されてきたステラーラが、小児の治療にも使用できるようになりました。

ただし、小児の場合は成人と異なり、体重や体表面積に応じた投与量の設定が必要です。

今回は、ステラーラとはどのような薬なのか、なぜバイアル製剤が追加されたのか、用法・用量や注意点まで薬局実務の視点も交えて整理します。

ステラーラ皮下注45mgバイアルが新発売

2026年8月24日、ステラーラの小児クローン病に対する用法・用量等が承認され、同年10月14日に新しいバイアル製剤が薬価収載されました。

そして10月15日、ステラーラ皮下注45mgバイアルが発売となりました。

バイオシミラーとは?ジェネリックとの違い・薬局での変更と2026年度改定を解説
こんばんは、薬剤師のしぐです。「バイオシミラーに変えても、今までと同じように治療できる?」「注射薬のジェネリックなら、薬…

今回のポイントは次の3つです。

  • 2歳以上の小児クローン病に使用できるようになった
  • 体重40kg未満では体表面積に応じて投与量を調整する
  • 必要量を採取できるバイアル製剤が追加された

成人では一定量を投与することが基本ですが、小児では体格の違いを考慮する必要があります。

この違いが、今回のバイアル製剤追加を理解するうえで重要です。

ウステキヌマブによるIL-12とIL-23の働きの抑制をイメージした分子イラスト

そもそもステラーラとは?

ステラーラは、ウステキヌマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする生物学的製剤です。

免疫や炎症反応に関与するインターロイキン12(IL-12)とインターロイキン23(IL-23)の共通構成成分であるp40サブユニットに結合します。

これにより、IL-12とIL-23の働きを抑え、過剰な炎症反応をコントロールします。

ステラーラは、IL-23だけを選択的に阻害する薬剤とは異なり、IL-12とIL-23の両方に作用する点が特徴です。

ステラーラの主な適応疾患

皮下注製剤の効能・効果には、以下が含まれます。

  • 既存治療で効果不十分な尋常性乾癬
  • 既存治療で効果不十分な乾癬性関節炎
  • 中等症から重症の活動期クローン病の維持療法
  • 中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法

クローン病や潰瘍性大腸炎では、点滴静注製剤による導入療法を実施し、その後、皮下注製剤による維持療法へ移行します。

なお、今回の小児への適応拡大はクローン病が対象です。小児潰瘍性大腸炎も同時に承認されたという意味ではありません。

小児クローン病とは?

クローン病は、消化管に慢性的な炎症が生じる炎症性腸疾患(IBD)の一つです。

口から肛門まで消化管のさまざまな部位に炎症が起こる可能性があり、腹痛、下痢、血便、体重減少などの症状が現れます。

小児の場合に特に注意したいのは、消化器症状だけではありません。

炎症の持続や栄養吸収の障害などにより、身長の伸びや体重増加、思春期の発達などに影響する場合があります。

治療の目標は、単に腹痛や下痢を改善させるだけでなく、炎症を抑えながら、成長や日常生活への影響をできるだけ小さくすることです。

小児では治療選択肢の拡大が重要

クローン病の治療には、栄養療法、ステロイド、免疫調節薬、生物学的製剤などがあります。

しかし、すべての患者さんが同じ治療で十分な効果を得られるとは限りません。

既存治療で効果が不十分な場合や、副作用などによって治療継続が難しい場合には、別の治療選択肢が必要になります。

今回のステラーラの適応拡大は、そうした小児患者さんにとって、新たな選択肢が加わったという意味があります。

なぜバイアル製剤が必要になったのか?

ここが今回、特に注目したいポイントです。

従来のステラーラ皮下注45mgシリンジは、1シリンジ0.5mL中にウステキヌマブ45mgを含有しています。

新しく発売されたバイアルも、1バイアル0.5mL中に45mgを含有します。

有効成分の種類と濃度は同じですが、製剤の形が異なります。

体重40kg未満では投与量が一定ではない

小児クローン病では、体重40kg未満の場合、体表面積に基づいて投与量を計算します。

つまり、必ずしも45mgや90mgといった一定量になるわけではありません。

バイアル製剤であれば、医療従事者が必要な液量を採取し、患者さんごとの投与量に対応できます。

例えば、計算上の投与量が45mgより少ない場合、45mgシリンジをそのまま全量投与する方法では対応できません。

このように、患者さんの体格に合わせた投与量を調整しやすくする点に、バイアル製剤の意義があります。

ただし、バイアルだからといって使い残しを別の患者さんに使用できるわけではありません。1回使い切り製剤であり、未使用残液は適切に廃棄します。

ステラーラの小児クローン病に対する用法・用量

今回の適応拡大で、特に確認しておきたいのが投与量です。

まず点滴静注製剤で導入療法

クローン病では、最初にステラーラ点滴静注製剤による導入療法を行います。

その後、初回点滴投与から8週後に皮下注製剤へ切り替えます。

点滴静注と皮下注では、投与目的と用法・用量が異なるため、同じステラーラでも区別して確認する必要があります。

小児の皮下投与量

2歳以上の小児クローン病では、以下のように設定されています。

体重1回の皮下投与量
40kg未満60mg/m²(体表面積)
40kg以上90mg

通常は12週間隔で維持投与し、効果が減弱した場合には8週間隔に短縮できます。

40kg未満の小児では、体重だけではなく体表面積を用いて投与量を決定する点に注意が必要です。

また、体格が変化する成長期の患者さんでは、継続投与中も最新の体重や身長を把握しておきたいところです。

投与間隔の短縮についても、医師が治療反応を評価したうえで判断します。

45mgシリンジと45mgバイアルの違い

比較項目45mgシリンジ45mgバイアル
有効成分ウステキヌマブウステキヌマブ
含量45mg/0.5mL45mg/0.5mL
剤形プレフィルドシリンジバイアル
投与量の調整充填済みの固定量必要液量を採取可能
保存温度2~8℃2~8℃
有効期間36カ月24カ月

バイアル製剤の追加によって、小児の体表面積に応じた投与量にも対応しやすくなりました。

なお、製剤の使い分けにあたっては、処方内容や施設の調製・投与体制を踏まえた確認が必要です。

ステラーラ皮下注45mgバイアルの薬価

2026年10月14日に薬価収載されたステラーラ皮下注45mgバイアルの薬価は、1瓶211,919円です。

ウステキヌマブは生物学的製剤であり、薬剤費も高額になります。

ただし、薬価と患者さんが実際に支払う自己負担額は同じではありません。

医療保険の自己負担割合に加えて、小児医療費助成や指定難病に関する医療費助成など、患者さんの状況や制度の適用条件によって負担額が異なります。

小児の患者さんでは、治療内容だけでなく、経済的な負担についても相談できる体制が重要です。

ステラーラの副作用と注意点

ステラーラは免疫反応に関与する薬剤であるため、感染症への注意が必要です。

① 重篤な感染症

肺炎や尿路感染症など、重篤な感染症が報告されています。

発熱、咳、強い倦怠感などの症状がある場合には、自己判断せず主治医へ連絡することが重要です。

② 結核の発症・再活性化

ステラーラでは、結核の発症や再活性化に注意が必要です。

投与開始前には、結核に関する問診や画像検査、必要な感染スクリーニングなどが行われます。

③ アナフィラキシー

頻度不明ですが、アナフィラキシーが重大な副作用として記載されています。

急な呼吸困難、血管性浮腫、全身の蕁麻疹などが現れた場合は、速やかな対応が必要です。

④ 生ワクチン

ステラーラによる治療中は、生ワクチンを接種しないこととされています。

小児では予防接種の予定が多いため、治療開始前から主治医と接種スケジュールを確認しておきたいポイントです。

⑤ 長期的な安全性

小児への適応が拡大したとはいえ、すべての長期的な安全性情報が十分に蓄積されたわけではありません。

成長や発達、感染症の発生状況などについて、継続的に確認することが大切です。

小児クローン病患者の通学と生物学的製剤による継続治療をイメージした画像

薬局で押さえておきたいポイント

今回のニュースは、小児の治療選択肢が広がったという臨床的な意味だけでなく、薬剤師の確認事項が増えるという面でも注目したいところです。

① 体重・体表面積と投与量を確認

40kg未満では、60mg/m²という体表面積に応じた投与量になります。

処方量を確認する際には、現在の体格に基づく計算かどうかが重要です。

特に成長期では、以前の体重や身長をそのまま用いていないかにも注意したいところです。

② 点滴から皮下注への移行時期

ステラーラはクローン病で使用する場合、点滴静注による導入療法から皮下注による維持療法へ移行します。

初回点滴投与日、皮下注の開始日、次回投与予定日を確認し、投与間隔の認識にずれがないようにすることが大切です。

③ 製剤の取り違えを防ぐ

ステラーラには点滴静注製剤、皮下注シリンジ製剤、皮下注バイアル製剤があります。

同じ有効成分でも用途や用法・用量が異なるため、剤形・規格を含めて確認する必要があります。

④ 予防接種・感染症を確認

小児では、学校生活や集団生活で感染症に接する機会もあります。

発熱、咳、感染症の治療歴、予防接種の予定などは、服薬指導や患者フォローでも確認したい項目です。

⑤ 治療継続を支える

小児クローン病では、治療が長期にわたることがあります。

定期的な注射だけでなく、腹痛や下痢の変化、食欲、体重、通学への影響なども把握しておきたいところです。

生物学的製剤の薬学管理は、副作用を確認するだけではありません。

治療によって日常生活がどの程度改善しているのか、患者さんや家族が治療を継続するうえで困っていることはないか。

そうした情報を拾い上げ、必要に応じて医療機関へ共有することも、薬局の重要な役割だと思います。

レボセチリジンDS「日本臓器」が供給停止|他社の供給状況一覧と薬局での対応
レボセチリジンDS「日本臓器」が供給停止|他社の供給状況一覧こんにちは、薬剤師のしぐです。レボセチリジン塩酸塩ドライシロ…

まとめ|小児クローン病の新たな治療選択肢へ

ステラーラ皮下注45mgバイアルが発売され、2歳以上の小児クローン病に対する維持療法で、体格に応じた投与量への対応が可能になりました。

今回のポイントを振り返ります。

  • 2026年10月15日に45mgバイアルを発売
  • 小児クローン病への適応拡大に対応
  • 体重40kg未満では60mg/m²、40kg以上では90mg
  • 点滴による導入療法後、皮下注で維持療法を実施
  • 感染症、結核、ワクチンなどの確認が重要

小児クローン病の治療は、症状を抑えるだけでなく、成長や学校生活を守るという視点も欠かせません。

既存薬にバイアル製剤が追加されたというニュースですが、その背景には、患者さん一人ひとりの体格に合わせた治療を実現するという大きな意義があります。

薬局でも製剤の違いや投与量だけでなく、治療継続や日常生活を支える視点を持って関わっていきたいですね。

※本記事は2026年10月17日時点の国内承認情報・電子添文等を基に作成しています。実際の使用にあたっては最新の電子添文および医療機関の治療方針を確認してください。

③ FAQ(よくある質問)

Q1. ステラーラ皮下注45mgバイアルは何歳から使用できますか?

小児クローン病では、2歳以上が対象です。ただし、既存治療で十分な効果が得られない中等症から重症の活動期クローン病に対する維持療法として使用されます。

Q2. シリンジ製剤との違いは何ですか?

どちらもウステキヌマブ45mg/0.5mLを含有します。バイアル製剤は必要な液量を採取できるため、体表面積に応じた投与量の調整が必要な小児にも対応しやすい点が特徴です。

Q3. 小児クローン病では何週間隔で注射しますか?

通常、点滴静注製剤による導入療法の8週後に皮下注を開始し、その後は12週間隔で投与します。効果が減弱した場合には8週間隔への短縮が可能です。

Q4. ステラーラは小児潰瘍性大腸炎にも使用できますか?

2026年10月17日時点で、今回の小児への適応拡大はクローン病が対象です。小児潰瘍性大腸炎については別途承認申請が行われていますが、申請と承認は異なります。

Q5. バイアルの残液は次回に使用できますか?

できません。ステラーラ皮下注45mgバイアルは1回使い切りの製剤です。未使用残液は適切に廃棄する必要があります。

Q6. ステラーラ投与中に予防接種はできますか?

治療中は生ワクチンの接種を行わないこととされています。不活化ワクチンを含め、個々の予防接種の必要性や時期は主治医に確認してください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました