実務実習質向上宣言薬局とは?東京都薬剤師会が2027年1月に開始予定

こんにちは、薬剤師のしぐです。
薬学生の実務実習を受け入れていると、「今日は何を経験してもらおう」「忙しい時間でも、きちんと振り返りの時間を取れただろうか」と考える場面があります。
調剤や監査、服薬指導。普段行っている業務でも、学生に理由を説明するとなると、改めて考えることがたくさんあるんですよね。
そんな実務実習の質に関わる、新しい制度が発表されました。
東京都薬剤師会は、一定の研修や取り組みを行った薬局を評価する「実務実習質向上宣言薬局」制度を、2027年1月から開始する予定です。
今回は制度の概要と、受入薬局として今から考えておきたいことを整理します。しぐとして注目しているのは、実習の指導を薬局全体で見直すきっかけになるかどうか、という点です。
※2026年10月4日時点で確認できた公開情報に基づきます。具体的な申請要件等には未確認の項目があり、以下の実習改善案は制度の公式要件ではありません。
実務実習質向上宣言薬局とは?
「実務実習質向上宣言薬局」は、薬局で行われる薬学実務実習の質向上を目的として、東京都薬剤師会が立ち上げる制度です。
2026年10月2日の会見に関する報道では、一定の研修や取り組みを行った薬局を評価し、証明書の薬局内掲示などにつなげる仕組みとされています。開始予定は2027年1月です。
現時点で押さえたい概要
| 項目 | 確認できた内容 |
|---|---|
| 制度名 | 実務実習質向上宣言薬局 |
| 実施主体 | 東京都薬剤師会 |
| 発表 | 2026年10月2日の会見に関する報道 |
| 開始時期 | 2027年1月予定 |
| 目的 | 薬局での薬学実務実習の質向上 |
| 仕組みの概要 | 一定の研修や取り組みを行った薬局を評価 |
| 見える形での取り組み | 証明書の薬局内掲示などが報じられている |
制度名にある「宣言」は、受け入れる薬局が教育にどう向き合うかを示す言葉として印象的です。
ただし、名称だけから「申告すれば誰でも取得できる」「薬局を順位づけする制度」と判断することはできません。具体的な評価方法は正式な案内で確認する必要があります。
研修・申請・更新の要件は?詳しい条件は今後の案内を確認
受入薬局として、まず気になるのは実際の手続きですよね。
今回確認できた公開情報だけでは、必要な研修の名称・回数、取り組みの具体的な評価項目、申請方法などは確認できませんでした。
| 今後確認したい項目 | 薬局で確認するポイント |
|---|---|
| 対象薬局 | 都内の薬局が対象か、会員要件があるか |
| 必要な研修 | 指定研修の内容、回数、受講者、対象期間 |
| 評価する取り組み | 実習計画、実績、指導体制などのうち何が求められるか |
| 申請手続き | 受付開始日、提出先、必要書類 |
| 費用 | 申請や更新に費用がかかるか |
| 有効期間・更新 | 有効期間、更新時の研修や報告の条件 |
| 証明書の扱い | 掲示方法、名称の使用条件、変更時の手続き |
「研修を何回受ければよいか」「今までの実習実績が使えるか」といったことは、推測で準備を進めるより、正式な案内を確認してから判断したいところです。
東京都薬剤師会が発表した制度ですので、東京都外の薬局も参加できるとは、現時点ではいえません。
また、この制度を取得すれば調剤報酬を算定できる、実務実習の受け入れが優先される、といった効果も、確認できた情報にはありません。実際の取り扱いを確認することが大切です。
そもそも薬局の実務実習は何を学ぶ場?
実務実習は、大学で学んだ知識・技能・態度を、患者さんや地域の生活者との関わりの中で育てる学習です。
文部科学省の薬学実務実習に関するガイドラインでは、参加・体験を通じた学習や、大学・病院・薬局の連携が重視されています。
ここから受入側が考えたいのは、学生が作業に慣れることと、薬剤師として考えられるようになることの違いです。
例えば、処方箋を見て正しい薬をそろえる。その経験は大切です。そこに「なぜこの薬が必要なのか」「用量は患者さんに合っているか」「飲めているかをどう確認するか」が加わると、学びはもっと深くなります。
薬局で目指したいのは、日々の業務の中にある判断を学生が理解し、自分でも考え、指導を受けながら行動できる実習です。

「実習の質」を高めるために、薬局で見直したい5つのこと
ここからは、新制度の申請要件ではなく、しぐが考える実習改善の具体案です。制度の詳細が出る前でも、自薬局の受入体制を振り返ることはできます。
① 実習計画を、担当者以外も共有する
実習の予定や学生の到達状況が、指導担当者だけの頭の中に入っている。これだと、担当者が休みの日に学びが途切れやすくなります。
今週の目標、学生が経験したこと、次に経験してほしいこと。この3つをスタッフ間で共有すると、声のかけ方が変わります。
「今日は監査を見てもらう」だけでなく、「相互作用の確認を一緒に行い、何を根拠に判断したか説明してもらう」と決めておくと、その日の学びが具体的になります。
② 経験した件数に加えて、考えた内容を見る
服薬指導を何件経験したかは、進捗を知るうえで役立ちます。ただ、件数だけでは、どこまで理解できたかはわかりません。
| 経験 | 振り返りで聞きたいこと |
|---|---|
| 処方監査 | どの情報を確認し、何が気になったか |
| 服薬指導 | 患者さんから何を聞き、説明をどう変えたか |
| 疑義照会 | 何が問題で、どんな根拠や提案を用意したか |
| 服薬後のフォロー | 何を確認し、どのような場合に相談が必要と考えたか |
| OTC相談 | 症状や併用薬をどう確認し、受診の必要性をどう考えたか |
「できた」「難しかった」で終わらず、判断の途中を言葉にしてもらう。ここに指導する側の役割があると思います。

③ 一人の患者さんを、継続して見る機会をつくる
前回は飲み忘れがあった患者さんが、次の来局ではどうなっていたか。新しい薬が始まったあと、生活や体調に変化があったか。
こうした経過を追うと、服薬指導の意味が見えやすくなります。
例えば経口抗がん薬なら、服用方法の説明に加え、患者さんが自宅で治療を続ける中で困ることを考える。指導薬剤師の監督のもとで、確認事項を整理し、必要な情報を医療機関へ伝える過程まで学べると、薬局薬剤師の仕事が立体的になります。
大学病院前など専門性の高い処方が多い薬局では、その強みを活かしつつ、学生が基本的な薬物治療や地域の健康相談も経験できるように計画したいところです。
④ 在宅・OTC・学校薬剤師など、薬局の外へ視野を広げる
薬剤師の仕事は、処方箋を受け取ったあとだけに限りません。
在宅で薬を管理する工夫、OTCの相談、地域の健康支援、学校での環境衛生や健康教育。こうした場面には、薬学の知識が生活につながるおもしろさがあります。
学校薬剤師の活動を実習に組み込むなら、大学や学校、関係者と調整し、実習目標に沿った経験として位置づけることが大切です。
例えば教室の環境検査でも、測定器を使って終わりではなく、結果からどんな助言をするのかまで一緒に考える。学生にとって、薬剤師の役割の広さを知る機会になります。
「学校薬剤師の仕事の全体像は、こちらの記事でも整理しています。」

「教室で行う環境検査の具体例は、こちらも参考にしてください。」

薬局単独で経験しにくい分野は、大学や地域の薬局、病院などとの連携も含めて検討したいですね。
⑤ 学生が質問できる環境と、指導する時間を確保する
「わからなかったら聞いてね」と伝えていても、いつ聞いてよいかわからず困る学生はいると思います。
一日の終わりに短い振り返りを設ける、担当者不在時の相談先を決める、患者さんへの対応で困ったらすぐ引き継げるようにする。こうした小さな仕組みが、学びと安全の両方を支えます。
患者さんの同意や個人情報の扱い、学生が行う業務の範囲、指導薬剤師による確認方法も、受け入れ前に整理しておきたいところです。
忙しさの中で担当者の頑張りだけに頼ると、指導が続きにくくなります。管理者が業務配分や時間の確保まで考えることも、実習の質を支える大切な取り組みです。
認定実務実習指導薬剤師との違いは?
実務実習には、薬剤師個人の指導に関わる「認定実務実習指導薬剤師」という仕組みがあります。
今回報じられた「実務実習質向上宣言薬局」は、研修や取り組みを行う薬局を評価する制度です。
つまり、個人の指導に関わる認定と、薬局としての取り組みを示す制度という、対象の違いがあります。ただし、新制度の申請でどの認定や配置が必要かは、正式な要件を確認しなければわかりません。
新しい証明書が既存の認定や受入施設の要件を置き換える、と考えるのは早い段階です。それぞれの仕組みを分けて確認しておきましょう。

しぐの視点|学生に説明できる薬局は、自分たちの仕事も磨ける
しぐとしては、教育に取り組む薬局の姿勢が見える形になることには、前向きな意味があると思っています。
学生に「なぜ、その確認が必要なんですか?」と聞かれたとき、いつもの業務をもう一度考える。説明してみて、根拠を確認し直したくなる。実務実習には、指導する側も学び直せる良さがあります。
例えば、薬歴にはどんな情報を残すと次の対応に役立つか。疑義照会では、疑問に加えてどんな提案を用意するか。服薬後のフォローは、誰に何を確認するために行うか。
こうしたことを薬局全体で共有できれば、実習改善が普段の患者さんへの対応にもつながるはずです。
証明書の掲示が始まったあとも、学生からの声を受け止め、次の実習計画を修正する。その積み重ねが、制度の価値を育てていくのではないでしょうか。
教育する薬局として、次の世代に何を伝えたいか。今回のニュースは、それを考える良いきっかけだと思います。
まとめ|2027年1月の開始に向け、薬局全体の指導体制を見直したい
東京都薬剤師会が発表した「実務実習質向上宣言薬局」は、一定の研修や取り組みを行う薬局を評価し、実務実習の質向上につなげる制度です。2027年1月からの開始が予定されています。
具体的な研修・申請・更新などの条件は、今後の正式な案内で確認する必要があります。
その間に受入薬局でできるのは、実習計画の共有、患者さんを継続して見る機会、振り返りの時間、相談しやすい環境を整えること。
学生が薬剤師の判断を学べて、指導する側も自分たちの仕事を見直せる。そんな実習につなげていきたいですね。
FAQ
Q1. 実務実習質向上宣言薬局はいつから始まりますか?
2027年1月から開始予定と報じられています。2026年10月4日時点では、開始前の制度です。
Q2. どんな薬局が対象になりますか?
一定の研修や取り組みを行った薬局を評価する制度とされています。所在地や会員資格など、具体的な対象条件は正式な案内で確認する必要があります。
Q3. 必要な研修は何回ですか?
今回確認できた公開情報では、研修名や必要回数は確認できません。この記事の実習改善案は、指定研修や申請要件を示したものではありません。
Q4. 東京都外の薬局も申請できますか?
東京都外の薬局が申請できるかは確認できていません。東京都薬剤師会が実施する制度として、対象地域を確認してください。
Q5. 認定実務実習指導薬剤師とは違いますか?
認定実務実習指導薬剤師は薬剤師個人の指導に関わる認定です。新制度は薬局の研修や取り組みを評価する制度として報じられています。両者の具体的な要件上の関係は、正式な案内を確認する必要があります。
Q6. 取得すると調剤報酬が算定できますか?
この制度の取得によって調剤報酬を算定できるという情報は、現時点で確認できていません。報酬算定との関係を推測で結びつけないことが大切です。
Q7. 詳細が出る前に、何を準備するとよいですか?
実習計画、スタッフの役割分担、大学との連絡体制、振り返りの方法など、自薬局の教育体制を整理するとよいでしょう。これは実習改善の提案で、制度への申請に必須と確認されたものではありません。


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