
手術で出血を止める方法には、糸で縫う、血管を結ぶ、電気で焼いて止血するなど、さまざまな方法があります。
それでも対応しにくい出血を補助する選択肢の一つが、出血部位に当てて使う「止血パッチ」です。
今回注目したいのは、ジョンソン・エンド・ジョンソンのエチコンが展開する「エチージア(ETHIZIA)」。
2026年10月30日に開催予定の厚生労働省「薬事審議会 医療機器・体外診断薬部会」で、議題に挙がっています。
ただし、正式な議題は「使用成績評価の要否」です。「承認済み」「発売決定」とは分けて理解しておきましょう。
この記事では、エチージアの基本的な特徴と、薬剤師として押さえておきたいポイントを整理します。
エチージアとは?手術中の止血を補助するパッチ
エチージアは、手術中の出血部位に使用する吸収性の止血パッチです。
海外では、標準的な外科的手法だけでは止血が十分にできない場合や、その実施が難しい場合に、止血を補助する医療機器として位置づけられています。
「パッチ」という名前から、皮膚に貼る絆創膏や貼り薬を想像するかもしれません。
しかし、エチージアは手術で使う止血材です。家庭で切り傷に貼ったり、患者さんが自分で使用したりする製品とは異なります。
| 項目 | エチージアの概要 |
|---|---|
| 英語名 | ETHIZIA |
| 製品の種類 | 手術で使う吸収性止血パッチ |
| 主な役割 | 出血部位で止血を補助する |
| 海外製品の主な素材 | ブタ由来ゼラチン、ポリオキサゾリン系ポリマー |
| 一般向けの絆創膏との違い | 手術中に医療従事者が使用する |
| 国内情報の確認点 | 正式な承認内容、使用目的、注意事項、発売・保険適用など |
※製品の素材や特徴は海外情報です。国内での使用条件は、日本の正式な承認内容・電子添文で確認する必要があります。
10月30日の部会では何が議題になる?
厚生労働省は、2026年10月30日17時から19時に、医療機器・体外診断薬部会を開催する予定です。
エチージアについて挙げられているのは、「使用成績評価の要否」。
使用成績評価は、承認後の実際の使用状況などを通じて、安全性や有効性を確認する制度に関係するものです。
ここで押さえたいのは、開催案内の議題が「製造販売承認の可否」という表記ではないことです。
そのため、今回の案内だけを根拠に、次の内容を断定することはできません。
- 10月30日に正式承認される
- 部会終了後すぐに発売される
- 国内での使用対象や価格が確定した
「部会の議題になったこと」と、「正式な承認・発売の情報」は、それぞれ確認する必要があります。

エチージアの特徴は?海外製品で押さえたい3つのポイント
ゼラチンとポリマーを組み合わせた止血材
海外製品では、ブタ由来ゼラチンとポリオキサゾリン系ポリマーが用いられています。
出血部位で物理的なバリアを形成し、止血を補助する仕組みです。
「血を止める成分を飲む」「注射して全身に作用させる」という使い方とは異なり、出血している場所に直接使用します。
両面を使え、形に合わせて調整できる
海外では、両面が機能する設計や、切る・丸めるなどして使用部位の形状に合わせられる点が特徴として挙げられています。
手術の現場では、出血している面が平らとは限りません。形状に合わせて扱えることは、止血材を選ぶ際のポイントになります。
ただし、実際の加工方法や使用方法は、国内の電子添文や適正使用情報に従う必要があります。
体内で吸収される設計
吸収性の止血材であり、海外情報では吸収の目安は約4〜6週間とされています。
ただし、使用量や使用部位などによって吸収の経過は変わります。「必ずこの期間で完全になくなる」と一律には考えないことが大切です。

海外の使用対象を、そのまま国内に当てはめない
同じ製品名でも、国や地域によって承認された使用対象が異なる場合があります。
例えば、米国の承認情報では、一定の条件を満たす成人の開腹肝臓手術における止血補助が対象です。一方、欧州向けの製品情報とは対象範囲が異なります。
海外で使用できる手術や臓器が、そのまま日本でも対象になるとは限りません。
国内導入時には、次の点を確認したいところです。
- どの手術・臓器で使用できるか
- 対象となる出血の程度
- 使用できない部位や患者さん
- 使用量や圧迫などの操作条件
- 原材料に対する過敏症への注意
「新しい止血材だから、どんな出血にも使える」という理解は避けましょう。
薬剤師が知っておきたいこと|止血材と抗血栓薬の管理は別に考える

保険薬局では、手術用の止血パッチそのものを扱う機会は限られるかもしれません。
それでも、このニュースは手術前後の薬の確認につながります。
特に大切なのが、抗血小板薬・抗凝固薬を使用している患者さんへの対応です。
新しい止血材が登場しても、それだけで抗血栓薬の休薬が不要になるわけではありません。
薬を続けた場合の出血リスクと、中止した場合の血栓リスクを踏まえて、手術内容や患者さんの状態に応じた判断が必要です。
薬局で確認したい項目
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 手術・処置の予定 | いつ、どの医療機関で、何を受けるのか |
| 使用中の薬 | 抗血小板薬・抗凝固薬を含む処方薬、OTC薬、サプリメント |
| 中止・継続の指示 | どの薬を、いつから中止するか。継続する薬はどれか |
| 指示の共有 | 手術を行う医療機関と処方元の指示が一致しているか |
| 一包化・薬ケース | 中止対象の薬が混ざったままになっていないか |
| 手術後の再開 | 再開日や再開条件が決まっているか |
この表は、薬局での確認漏れを減らすための実務上の整理です。薬ごとの休薬日数を一律に決めるものではありません。

「止める日」だけでなく「戻す日」まで確認する
手術前は、薬を中止する日へ意識が向きやすくなります。
しかし、手術後に再開する予定だった薬が、そのまま中止になっていないかも大切です。
薬局では、お薬手帳や退院時の説明書を確認し、再開の指示が不明な場合は医療機関へ確認する。
こうした対応が、手術前後の薬物療法をつなぐ役割になります。
抗血小板薬・抗凝固薬は、患者さん自身の判断で中止・再開しないよう伝えましょう。
発売日・価格・保険適用は?
今回確認した部会の開催案内・議題では、エチージアの国内発売日、価格、保険適用の詳細までは確認できませんでした。
また、エチージアは医療機器のため、内服薬のように「薬価はいくら?」だけでは整理できません。
国内での情報が公表された段階で、次の項目を分けて確認する必要があります。
- 正式な承認日と承認内容
- 国内での販売開始時期
- 製品規格・包装
- 保険上の取扱い
- 医療機関での採用状況
海外の販売情報や価格から、国内の患者負担を推測することはできません。
しぐの視点|新しい止血材を、薬局での確認につなげたい
エチージアは、手術中の止血を支える新たな選択肢として注目したい製品です。
ただ、薬局でこのニュースに触れるときは、「新しい止血パッチが出るらしい」で終わらせず、患者さんの手術予定や薬の管理へつなげたいところ。
「手術前に薬を止めるよう言われていますか?」
「一包化の中に、その薬は入っていませんか?」
「手術後は、いつから再開する予定ですか?」
手術室で使う製品のニュースでも、薬局で確認できることはあります。
新しい医療機器への理解と、日々の服薬支援。その両方を少しずつつなげていきたいですね。

よくある質問
Q. エチージアは絆創膏や貼り薬ですか?
手術中の出血部位に使用する吸収性の止血パッチです。家庭で皮膚の傷に貼る絆創膏や、患者さんが自分で使用する貼り薬とは異なります。
Q. 2026年10月30日に承認されることが決まっていますか?
厚生労働省の開催案内で確認できる正式な議題は、「使用成績評価の要否」です。開催案内だけで正式な承認日を断定することはできません。
Q. 使ったパッチは体内に残りますか?
海外製品は体内で吸収される設計です。吸収の目安は約4〜6週間ですが、使用量や部位などによって経過は変わります。
Q. 血液をサラサラにする薬を飲んでいても、休薬せずに手術できますか?
エチージアの使用だけを理由に、休薬が不要とは判断できません。手術内容、薬の種類、出血や血栓のリスクなどを踏まえて医療機関が判断します。自己判断で薬を中止・再開しないでください。
Q. 発売日や価格は決まっていますか?
今回確認した部会の開催案内・議題では、国内発売日や価格の詳細は確認できませんでした。正式な製品情報や保険上の取扱いを確認する必要があります。
まとめ
エチージアは、手術中の出血部位に使用する吸収性の止血パッチです。
2026年10月30日の厚労省部会では、「使用成績評価の要否」が議題となっています。
海外での特徴と国内の承認内容を分けて理解し、発売日や価格は正式な発表を確認することが大切です。
薬局では、このニュースをきっかけに、手術前後の抗血栓薬の中止・継続・再開まで確認していきましょう。
※2026年10月19日時点。海外製品の情報は、日本での使用条件を示すものではありません。


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