IBS治療薬ギュラックが国内初のスイッチOTCへ|ポリカルボフィルカルシウムの販売条件と薬局での確認ポイント

スポンサーリンク

ポリフルが市販薬に?IBS治療薬『ギュラック』9月30日発売|国内初ポリカルボフィルのスイッチOTC

IBS治療薬ギュラックとポリカルボフィルカルシウムのスイッチOTCをイメージした画像

こんにちは、薬剤師のしぐです。

小林製薬は2026年9月16日、過敏性腸症候群(IBS)の再発症状を改善する要指導医薬品「ギュラック」を、2026年9月30日に全国発売すると発表しました。

有効成分は、医療用医薬品の「ポリフル錠500mg」などで知られるポリカルボフィルカルシウム。

ポリカルボフィルカルシウムを有効成分とする国内初のスイッチOTC医薬品です。

IBS患者にとってセルフケアの選択肢が広がる、大きなニュースです。

ただし、ギュラックは「お腹の調子が悪い人なら誰でも購入できる整腸薬」ではありません。

対象となるのは、以前に医師からIBSの診断・治療を受けたことがあり、同じ症状が再発した人に限られます。

要指導医薬品でもあり、販売する薬剤師には、診断歴・症状・年齢・併用薬などの慎重な確認が求められます。

ギュラックとは?

ギュラックは、過敏性腸症候群による腹痛や腹部不快感を伴い、繰り返し、または交互に現れる下痢・便秘を緩和する薬です。

小林製薬の発表による製品概要は、次のとおりです。

項目内容
製品名ギュラック
医薬品区分要指導医薬品
有効成分ポリカルボフィルカルシウム
発売日2026年9月30日
対象年齢15歳以上75歳未満
用法・用量1回1錠、1日3回、食後
1日成分量ポリカルボフィルカルシウム1,500mg
包装10錠
希望小売価格1,000円(税抜)
使用対象以前に医師からIBSの診断・治療を受けた人の再発症状

10錠包装なので、用法どおりなら約3日分です。

「処方薬と同じ成分が市販された」という部分は注目されますが、販売対象はかなり限定されている点に注意が必要です。

国内初のポリカルボフィルカルシウム配合スイッチOTC

ポリカルボフィルカルシウムは、医療用では「ポリフル錠500mg」「ポリフル細粒83.3%」などとして使用されてきた成分です。

医療用医薬品では、過敏性腸症候群における次の症状に使用されます。

  • 下痢
  • 便秘
  • 腹痛
  • 腹部膨満感
  • その他の消化器症状

ギュラックには、1錠あたりポリカルボフィルカルシウム500mgが含まれます。

1回1錠を1日3回服用するため、1日量は1,500mgです。

医療用ポリフルの通常用量は1日1,500~3,000mgですが、ギュラックは一般用医薬品として1日1,500mgに固定されています。

下痢にも便秘にも使えるのはなぜ?

ポリカルボフィルカルシウムが腸管内の水分を吸収保持する作用機序のイメージ

ポリカルボフィルカルシウムの特徴は、腸管内の水分量を調整し、便の状態を整えることです。

胃の中でカルシウムが外れると、ポリカルボフィルとなり、腸管内で水分を吸収して膨潤・ゲル化します。

下痢のとき

腸管内の余分な水分を吸収してゲル化します。

便の通過速度を遅くすることで、排便回数の減少や便性状の改善につながります。

便秘のとき

吸収した水分を保持し、便をやわらかくします。

さらに、膨張して便の容量を増やすことで、腸管運動を促します。

下痢止めと便秘薬という相反する作用を持っているのではなく、腸管内の水分バランスを調整することで、便の状態を正常に近づける薬です。

誰でも購入できる薬ではない

ギュラックの効能・効果には、次の条件が明記されています。

以前に医師から、過敏性腸症候群の診断・治療を受けた人に限る。

つまり、次のような人は対象になりません。

  • 初めて腹痛や下痢、便秘が現れた人
  • 医師からIBSと診断されたことがない人
  • IBSの診断歴はあるが、今回の症状が以前と違う人
  • 今回の症状がIBSの再発か判断できない人

「ストレスを感じると下痢になるから、おそらくIBSだろう」という自己判断だけでは販売できません。

初発症状にギュラックを使用すると、大腸がんや炎症性腸疾患など、IBSに似た症状を示す病気の発見が遅れる可能性があります。

まず医療機関で診断を受ける必要があります。

薬局ではIBSの診断歴をどう確認する?

ギュラック販売時にIBSの診断歴や年齢を確認する薬局実務のイメージ

販売時には、単に「IBSと診断されたことがありますか?」と聞くだけでは不十分です。

少なくとも、次の内容を確認したいところです。

  • 医師からIBSと診断されたことがあるか
  • いつ頃、どの医療機関で診断されたか
  • IBSの治療を受けたことがあるか
  • 診断されたときは、どのような症状だったか
  • 今回の症状が、以前と同じか
  • 症状が長期間続いていないか
  • 他のIBS治療薬を使用していないか

診断から長期間が経過し、本人も以前の症状を覚えていない場合は、IBSの再発と判断せず、受診勧奨を優先します。

薬局で新しくIBSを診断するわけではありません。

過去に診断されたIBSと同じ症状が再発したことを確認したうえで、セルフケアが可能かを判断する薬です。

受診勧奨が必要な症状

次の症状がある場合は、IBSの再発と決めつけず、ギュラックを販売せずに受診勧奨します。

  • 夜間に便意や腹痛で目が覚める
  • 発熱がある
  • 関節痛がある
  • 血便・粘血便がある
  • 急性の激しい下痢がある
  • ひどい下痢を繰り返している
  • 排便しても改善しない腹痛がある
  • 嘔吐がある
  • 6か月以内に3kg以上の予期しない体重減少がある
  • 激しい腹痛がある
  • おならが出ない
  • 著しい腹部膨満や便秘がある

これらは、大腸がん、炎症性腸疾患、感染性腸炎、腸閉塞など、IBS以外の病気を疑うサインになります。

また、大腸がんやクローン病、潰瘍性大腸炎にかかったことがある人も服用できません。

75歳以上は服用できない

ギュラックを服用できるのは、15歳以上75歳未満です。

次の年齢では服用できません。

  • 15歳未満
  • 75歳以上

「成人用だから高齢者も服用できる」と考えないよう注意が必要です。

高齢者では、下痢・便秘の原因がIBS以外である可能性や、嚥下機能の低下、併用薬の増加なども考慮しなければなりません。

また、50歳以上の人は一律に服用禁止ではありませんが、添付文書上は服用前に医師または薬剤師へ相談する対象です。

薬局では年齢を口頭確認するだけでなく、生年月日まで確認できる運用が安心です。

医療用ポリフルとの重複に注意

医療用のポリフル錠、ポリフル細粒、ポリカルボフィルカルシウム錠などを服用している場合、ギュラックと有効成分が重複します。

さらに、ギュラック服用中は、ポリカルボフィルカルシウムだけでなく、他のIBS症状改善薬も服用できません。

代表例として、トリメブチンマレイン酸塩を含む医薬品が挙げられます。

販売時には、次の方法で処方薬・市販薬を確認します。

  • お薬手帳
  • マイナポータル等の薬剤情報
  • 現在服用している薬の現物
  • 市販薬・サプリメントを含めた本人への聞き取り

「病院からもお腹の薬をもらっているけれど、名前は分からない」という場合は、その場で販売せず、薬の内容を確認してから判断したほうが安全です。

PPIやH2ブロッカーなども併用不可

ギュラックをコップ1杯の水で服用し併用薬を確認するイメージ

ギュラックで特に注意したいのが、併用できない医薬品の多さです。

添付文書では、ギュラック服用中に次の成分を含む医薬品を服用しないこととされています。

  • 他のIBS症状改善薬
  • 活性型ビタミンD製剤
  • カルシウム剤
  • 強心配糖体
  • テトラサイクリン系などの抗菌薬
  • ノルフロキサシンなどの抗菌薬
  • プロトンポンプ阻害薬(PPI)
  • H2受容体拮抗薬
  • 制酸剤

具体例としては、次のような薬があります。

薬効群代表的な成分例
IBS症状改善薬トリメブチン
活性型ビタミンD製剤アルファカルシドール
カルシウム剤乳酸カルシウム
強心配糖体ジゴキシン
抗菌薬テトラサイクリン、ノルフロキサシン
PPIオメプラゾールなど
H2ブロッカーファモチジンなど
制酸剤水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなど

胃薬は処方薬だけでなく、市販薬にも含まれています。

「お腹の薬だから胃薬とは関係ない」と考えず、処方薬・市販薬・サプリメントまで確認する必要があります。

医師の治療を受けている人は、服用前に医師または薬剤師へ相談する対象でもあります。

服用時はコップ1杯の水が必要

ギュラックは、コップ1杯、約180mLの水と一緒に服用します。

水分を吸収して膨張する性質があるため、水が少ないと、のどや食道につかえる可能性があります。

次のような服用方法は避けます。

  • 少量の水で飲む
  • 水なしで飲む
  • 錠剤を割る
  • 錠剤を砕く
  • 服薬ゼリーやとろみ剤と一緒に飲む
  • 錠剤・カプセル状の健康食品と同時に飲む

嚥下が困難な人や、食べ物を飲み込みにくいと感じている人も服用できません。

「大きいから半分に割る」「ゼリーに包めば飲みやすい」といった対応はできないため、販売時に説明しておきたいポイントです。

牛乳やヨーグルトで飲まない

ギュラックは、水以外で服用しないことが基本です。

特に、牛乳やヨーグルトなどカルシウムを多く含む食品と一緒に服用すると、腸内でカルシウムと再結合し、効果が弱まる可能性があります。

食後に服用する薬ですが、乳製品で流し込むことは避け、必ずコップ1杯の水で服用します。

使用期間にも上限がある

ギュラックを2週間服用しても症状が改善しない場合は、服用を中止して医師または薬剤師へ相談します。

症状が改善した場合でも、服用できる期間は最長4週間です。

「効いているから、そのまま何か月も服用する」という使い方はできません。

IBSは症状を繰り返しやすい病気ですが、市販薬を長期間使用し続けることで、別の病気を見逃す可能性があります。

短期間で何度も購入している人については、購入履歴も確認し、漫然使用になっていないかを評価したいところです。

薬局で確認したいチェックリスト

ギュラックの販売前には、少なくとも次の項目を確認します。

IBSに関する確認

  • 医師からIBSと診断・治療を受けたことがある
  • 今回の症状は診断時と同じである
  • IBSの再発と本人が明確に判断できている
  • 初発症状ではない

年齢・症状の確認

  • 15歳以上75歳未満である
  • 血便、発熱、嘔吐、体重減少などがない
  • 夜間症状がない
  • 激しい腹痛や急激な下痢がない
  • 嚥下困難がない

既往歴の確認

  • 大腸がんの既往がない
  • クローン病・潰瘍性大腸炎の既往がない
  • 腎不全、高カルシウム血症、腎結石などの治療中ではない
  • 開腹手術後の腸閉塞様症状がない

薬剤・サプリメントの確認

  • 医療用ポリフルなどを服用していない
  • 他のIBS治療薬を服用していない
  • PPIやH2ブロッカーを服用していない
  • カルシウム剤や活性型ビタミンD製剤を服用していない
  • 抗菌薬、強心配糖体、制酸剤を服用していない
  • 市販の胃薬やカルシウムサプリを使用していない

服用方法の説明

  • 1回1錠、1日3回、食後
  • コップ1杯、約180mLの水で服用
  • 分割・粉砕しない
  • 服薬ゼリーを使わない
  • 牛乳やヨーグルトで飲まない
  • 2週間で改善しなければ相談
  • 改善しても最長4週間まで

薬剤師の役割が大きいスイッチOTC

ギュラックの登場によって、IBSと診断されたことがある人は、症状の再発時に薬局で対処できる可能性が広がります。

通院の時間が取れない人や、外出・通勤・試験などを控えている人にとっては、有用な選択肢になりそうです。

一方で、薬剤師の確認が不十分であれば、初発の症状や別の病気に対して使用される可能性があります。

ギュラックは、単なる下痢止めでも、整腸薬でもありません。

「以前に医師の診断・治療を受けたIBSの再発症状」に使用する要指導医薬品です。

販売できる人を見つけるだけでなく、販売してはいけない人を適切に受診へつなぐこと。

今回のスイッチOTCでは、薬剤師のトリアージ機能がこれまで以上に問われることになりそうです。

慢性便秘症について!生活習慣の改善方法、食事等注意点から薬物治療まで
薬剤師のしぐです。今回は若い人から高齢者まで悩んでる方が多い疾患、便秘症についてです。便秘の有症率は一般人口の 2〜28…

まとめ

ギュラックは、ポリカルボフィルカルシウムを有効成分とする国内初のスイッチOTC医薬品です。

2026年9月30日に全国発売され、IBS再発時のセルフケアに新たな選択肢が加わります。

ただし、販売対象は、以前に医師からIBSの診断・治療を受け、今回も同じ症状が再発した15歳以上75歳未満の人です。

薬局では、次のポイントを重点的に確認する必要があります。

  • IBSの診断・治療歴
  • 前回と同じ再発症状か
  • 受診が必要な警告症状がないか
  • 年齢が対象範囲内か
  • 医療用ポリフルや他のIBS治療薬との重複
  • PPI、H2ブロッカー、制酸剤などの併用
  • 嚥下機能と適切な服用方法
  • 長期連用になっていないか

「市販されたから簡単に使える薬」ではなく、薬剤師の確認によって安全なセルフケアにつなげる薬。

ギュラックは、スイッチOTCにおける薬剤師の役割をあらためて考える製品になりそうです。

※本記事は2026年9月16日時点の公表情報をもとに作成しています。実際の販売時には、最新の添付文書、適正使用チェックシートおよびメーカー情報をご確認ください。

FAQ

ギュラックは下痢なら誰でも使用できますか?

使用できません。以前に医師からIBSの診断・治療を受け、今回も同じ症状が再発した人が対象です。初めての下痢や、以前と違う症状には使用せず、受診が必要です。

便秘型IBSにも使用できますか?

効能・効果には、腹痛または腹部不快感を伴い、繰り返しまたは交互に現れる下痢・便秘が含まれています。ただし、IBSの診断歴と同じ再発症状であることが前提です。

医療用のポリフルとの違いは何ですか?

有効成分は同じポリカルボフィルカルシウムです。ギュラックは1日量1,500mgに固定され、対象年齢や使用期間、併用薬などにOTC独自の条件があります。

ギュラックを75歳以上が服用してはいけないのはなぜですか?

75歳以上は添付文書上の服用禁止対象です。自己判断で服用せず、腹痛・下痢・便秘について医療機関へ相談してください。

ファモチジンと一緒に服用できますか?

ギュラック服用中は、ファモチジンなどのH2ブロッカーを含む医薬品を服用しないこととされています。自己判断で併用せず、薬剤師または医師へ相談してください。

錠剤を半分に割ってもよいですか?

分割・粉砕はできません。途中で膨張して、のどや食道につかえる可能性があります。錠剤のまま、コップ1杯程度の水で服用します。

どのくらいの期間使用できますか?

2週間服用しても改善しない場合は中止して相談します。改善した場合でも、使用できる期間は最長4週間です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました